2020年04月15日

社内ビジネスコンテスト「DigiCom2019」を開催
発表時間 “6分間”に込められた、決勝進出12チームの熱い想いと新アイデア

※この記事は2019年10月の情報です。

デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)による働き方改革・業務の生産性向上や、新規事業創出に向けたイノベーションの促進などを目的に実施される「DigiCom2019」の決勝戦が、2019年9月17日にNTTコミュニケーションズ本社(東京都千代田区)で開催された。この日熱い戦いを繰り広げたのは、99チーム642人の全参加者のうち、予選会を勝ち上がった12チーム。本記事では、その決勝戦と表彰式の模様を紹介する。

DigiCom2019とは

NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)が2016年から実施する、DXとイノベーションの新アイデアを発表する社内ビジネスコンテスト(アイデアソン+ハッカソン)。グループ社員は誰でも参加可能。社内外の有識者が審査し、上位賞などを決定する。

今年は「N-ISUCON」とコラボ

今年のDigiComにおける新しい取り組みは、初開催の「N-ISUCON*」とのコラボだ。予選会(DigiCom)や本戦(N-ISUCON)はそれぞれの日程で行ったが、表彰式は2019年9月17日、DigiCom決勝戦後に合同で実施した。本記事ではDigiComをメインに紹介するが、N-ISUCONの本戦の模様はこちらの記事で紹介しているので、併せてご覧いただきたい。

* N-ISUCONとは:Webアプリケーションのパフォーマンスチューニングコンテスト「ISUCON(イスコン)」をNTT Com内製版にアレンジしたコンテスト。参加者は丸1日かけて、与えられたアプリケーションのパフォーマンス改善に取り組む。ソフトウェアエンジニアの腕試しのようなイベント。

前回よりハイレベルの発表が続いた決勝戦

DigiCom2019は、DX部門とイノベーション部門の2つの部門で実施された。予選会に参加したのは、過去最多となる99チーム(DX部門38チーム、イノベーション部門61チーム)。激戦の末、決勝戦に勝ち進んだのは、DX部門5チーム、イノベーション部門7チームの計12チームだ。

その12チームがそれぞれ6分間の持ち時間で、実機によるデモンストレーションを交えてプレゼンテーションを行った。

DX部門で最優秀賞を受賞した「逆襲のガラパゴスペンギン」チームは、「FiNMS Deluxe(Fiber Network Management System)」というアイデア名で発表した。

このチームは、NTT Comサービス基盤部のメンバーで構成されている。彼らの使命は、全国に張り巡らされた1万8000kmの光ファイバーケーブルネットワークを守ること。これまで台風や地震などで光ファイバーが切断されると保守員を派遣して故障復旧にあたっていたが、その対応方法は20年間変わらないやり方で行われていた。例えば、設備情報や刻々と変わる被災現場の情報を紙やホワイトボードに記していたため情報の管理が難しく、また、現場の保守員と統制者が1対1で電話連絡をしていたため多くの関係者との情報共有が十分に行えていなかった。そこで、情報を一元管理して故障復旧を迅速化させるツール「FiNMS Deluxe」を開発した。

仕組みは、Google Cloud Platform上にケーブル設備の情報や保守員の状況などをすべて載せ、統制者と現場の保守員がスマホやパソコンなどで確認できるようにした。

デモでは、被災したケーブルルートをGoogleマップ上に赤い線で表示後、被災地に一番近い保守員の居場所や、現場に駆けつけるまでの距離と時間を表示。周辺の天気や交通状況などもデータベースで確認できる。また、ウェアラブルカメラシステムによって、統制側はリアルタイムで現地の故障状況を確認でき、電子媒体への記録も可能。さらにNTT東日本のケーブル情報を確認して、使用可能なケーブルを手配するという流れだ。

今後は、NTT東日本/西日本とのグループ連携によって、故障復旧のスピードアップや復旧保守員の稼働削減を目指すとしてプレゼンを終えた。

発表後の質疑応答の中で、審査員から「このツールは、電力やガスなどのインフラ会社や自治体などへの展開が可能だ」と期待の言葉が寄せられた。最終審査の結果は、「さまざまな技術を組み合わせて、課題を解決されているのが素晴らしい、まさに具体的なDXだ」という高い評価だった。

「逆襲のガラパゴスペンギン」の発表風景

イノベーション部門で最優秀賞を受賞した「NTTPC.make」チームは、「あらゆる音声の魅力を最大化するVoice Mart」というアイデア名で発表した。同チームは昨年に続いての最優秀賞受賞だが、全員が新メンバーだ。

ユーザーに声を「辞書登録」してもらい、その集まったデータを活用して人の声を別人の声に変換するVoice Martは、AIを活用した声のライブラリであり、声のライセンスプラットフォームである。

AI、API、iOSを独自実装したデモでは声変換を実演した。女性メンバーがVOICE BARというiOSアプリを使って自分の声を録音。その声を全く別の3人の声に変換して会場に流した。この声変換AIは、「敵対的生成ネットワーク」という技術を使っている。シマウマの画像を馬の画像に変えるといった、フェイク画像をつくる技術を音声に応用した。

発表者は、デザイン思考に即した開発プロセスと音声市場についても紹介。各業界で活躍している方々にヒアリングしたところ、「声を自由に利用して多様なコンテンツを作りたい」というニーズがあり、成長市場であることが分かった。

発表後の質疑応答では、「今後は『声質の権利』化や『声のチューニング』のノウハウなど、マーケットで先行できそうな要素もたくさんある」という市場の可能性に関する意見が出た。最終審査の結果は、「声にフォーカスしたプラットフォームはまだブルーオーシャンであり、先行者利益は大きい。どれだけ声のデータを蓄積できるかと、それをどうマネタイズするかは一工夫が必要だが、まず先行して参入することが重要」という高い評価だった。

「NTTPC.make」の発表風景

その他の10チームも、それぞれ趣向を凝らしたプレゼンテーションを実施し、笑いと拍手で会場は大いに盛り上がった。「どのチームも前回よりレベルアップしているね」と話す社員もおり、総じて昨年よりレベルの高い決勝戦となった。

出場者から高い評価を得たN-ISUCONの開催報告

岩瀬さん

イノベーション部門の発表の前に、N-ISUCON運営代表の岩瀬義昌さん(NTT国際通信)が、2019年9月10日に開催されたN-ISUCON本戦の開催報告を行った。

今回初開催となるN-ISUCONには46チーム121人(NTT Comグループ100人、NTTグループ16人、NTTグループ以外5人)が参加。

岩瀬さんは、N-ISUCON開催の狙いとして「Fun to Work」「ソフトウェア人材の育成・強化」「エンジニアのコミュニティーの強化」の3点を挙げ、コンテストの問題(ブログサイトのチューニング)を簡単に紹介。コンテスト後のNPS(Net Promoter Score)は53.3と高く、参加者からも大好評だったと報告。

最後に、「N-ISUCONはソフトウェア人材の育成・強化にすごく役立ちますので、今後も継続的に実施していきたいと思います」と語った。(本戦の様子はこちら

終始楽しい雰囲気に包まれた表彰式

発表後の表彰式では、最初にDigiComの事務局特別賞(2チーム)、審査員特別賞(6チーム)が発表された後、決勝に進出した2部門の上位賞(3位まで)が発表された。

続いて、N-ISUCONの表彰に移り、上位3チームを発表した後、DigiComの最優秀賞と第2位が画面に映し出されると、ひときわ大きな歓声と拍手が上がった。プレゼンターの庄司社長から特大の表彰パネルが各チームに手渡されると、会場から温かい拍手が送られた。

受賞者たちは審査員と一緒に記念撮影を行うなど、会場内は終始楽しい雰囲気に包まれた。また、DigiComの予選や決勝戦、N-ISUCON本戦などの振り返り動画が3回に分かれて放映され、そのたびに会場の至る所で歓声が上がった。

懇親会の様子
懇親会の様子
懇親会の様子
懇親会は、お酒やお料理をいただきながら。楽しい笑い声が響く

表彰後には審査員の講評が披露された。DX部門の決勝戦審査員は、株式会社Phone Appliの石原洋介社長、NTT Comアプリケーション&コンテンツサービス部の阿部新担当部長、経営企画部オペレーション戦略部門の高島由美子担当課長。イノベーション部門の決勝戦審査員は、i.lab, Inc.の田中明庸氏、株式会社フィラメントの代表取締役CEO角勝氏、そしてNTT Com技術開発部/IoT推進室の境野哲担当部長(IoT・エバンジェリスト)、第四営業本部営業推進部門の戸松正剛担当部長(C×4 BASEマネージングディレクター兼務)。

石原社長

DX部門の審査員長を務めた石原社長は「どのチームの発表も素晴らしく、点数はほぼ同じという状況でした。DX部門の審査基準は、ICTを使って業務を改善しているか、すぐに効果を出せる取り組みか、そしてNTT Com自体が変革することでその体験をお客さまに伝えていけるか、の3点。優勝した『逆襲のガラパゴスペンギン』チームはDXの技術を使って業務を改善され、まさにDX部門の最優秀賞にふさわしい発表でした」と述べた。

角氏

イノベーション部門の外部審査員である角氏は「イノベーション部門は、ユーザー目線のデザイン、ビジネスオポチュニティー、テクノロジーの3つ点から審査しました。今日の採点は15点満点。でも、ビジネスに到達するためには、多分10万点満点くらいまでいかなくてはダメです。皆さんがビジネスに向かって走り出すためにDigiComはあります。プログラムができない方でも開発が楽しめるようなイベントは他にないと思います。それはまさに文化の醸成であり、事務局の皆さんに拍手したいと思います」と熱く語った。

田中氏

また、田中氏は「皆さんは社内イベントに楽しそうに参加されており、会社として素晴らしいカルチャーになりつつあると思います。次のフェーズの事業化は難しいと思いますが、大いに期待しています。皆さんのイノベーションに乾杯」とエールを送った。

受賞チームと喜びのコメント

DX部門 最優秀賞

逆襲のガラパゴスペンギン「FiNMS Deluxe【Fiber Network Management System】」
<チームメンバーの所属組織> NTT Com サービス基盤部

デジタルトランスフォーメーションの時代に取り残され、社内でも数少なくなってきた光ファイバーの職人たちが"逆襲のガラパゴスペンギン"として立ち上がり、20年変わらなかった光ファイバーの現場を変えていく活動が評価されたことに、大変感謝しております。(チームの皆さんからのコメント)

イノベーション部門 最優秀賞

NTTPC.make 「あらゆる音声の魅力を最大化する Voice Mart」
<チームメンバーの所属組織>株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ

最優秀賞を受賞でき非常にうれしく思っております。NTTPC.make伝統の「AIでイノベーション」をテーマにしたアイデアを評価していただき、非常に光栄です。ビジネス化に向けては課題が山積みですが、夢のある素敵なアイデアだと思っております。今後ブラッシュアップし、音声分野屈指のプラットフォームビジネスにしていきたいです。(チームの皆さんからのコメント)

2位入賞

<DX部門>
Voice-Dev「電話をするだけで同時通訳が可能に!」

<イノベーション部門>
Team Osekkai Obachan「おせっかいおばちゃん2.0」

3位入賞

<DX部門>
まるっとAI英文契約チェック「リーガルチェックAIプラットフォーム」

<イノベーション部門>
フォロー丸 「やめTAP」

4位入賞

<DX部門>
せつかん!「データセンター巡回点検代行ロボ「Rotonda」」

<イノベーション部門>
FS17「住み替えマッチングプラットフォーム」

5位入賞

<DX部門>
チーム★ベガス「HR Support Now」

<イノベーション部門>
チームTAKEO「なりたいになれるHAIRアプリ」

6位入賞

<イノベーション部門>
愛と誠「微生物・細菌でGo」

7位入賞

<イノベーション部門>
anthro around 「擬人化教育アプリ (anthro around)」

審査員特別賞

TOC&BAC
Team Shine Lock
怪盗113号
アラジン魔法のプレゼント
Quatros
[Nonengineers]

事務局特別賞

スタジオKirimochi
DOMTAC

社員メッセンジャー

NTTコミュニケーションズイノベーションセンター プロデュース部門

斉藤 久美子

NTTドコモグループ新規事業創出プログラム「docomo STARTUP」、オープンイノベーションプログラム「ExTorch(エクストーチ)」などの事業創出をミッションとした施策の事務局を担当しています。社員のチャレンジを社内外に発信します!

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