2016年12月6日
株式会社NTTデータ経営研究所
一般財団法人NHKエンジニアリングシステム
株式会社NHKエデュケーショナル
NTTコミュニケーションズ株式会社
スカパーJSAT株式会社
8Kスーパーハイビジョン技術を活用した遠隔医療の実証実験について
〜遠隔診療支援モデルと遠隔病理診断モデルにて医学的効果検証を実施〜
株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:佐々木康志)、一般財団法人NHKエンジニアリングシステム(本社:東京都世田谷区、理事長:藤澤秀一)、株式会社NHKエデュケーショナル(東京都渋谷区、代表取締役社長:掛川治男)、NTTコミュニケーションズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:庄司哲也)、スカパーJSAT株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長:高田真治)は、総務省より受託した「8K技術を活用した遠隔医療モデルに関する実証」において、2016年12月より、超高精細な映像の撮影・表示を可能とする8Kスーパーハイビジョン技術※(以下、8K技術)を活用した遠隔医療が臨床に応用可能な範囲や、医学的な効果検証を実施する予定です。
※ハイビジョン画質の約16倍にあたる約3,300万画素の画像・映像システムに関する技術。
【背景】
超高齢社会に突入している日本において、今後も高齢者の増加が見込まれているため、医療需要は今後も増加し続けることが予想されています。この需要の増加に対応するため、既存の医療資源を有効活用して効率的な医療提供の仕組みを構築していく取り組みが実施されています。上記の取り組みの一つとして、医療機関間にて患者に関する画像等を共有して、遠隔で専門医の診療アドバイスを実施することで専門医不足を補う遠隔医療が挙げられます。
また、日本発の次世代放送技術として開発され、様々な用途での活用が期待されている8K技術は、従来のハイビジョン画質の約16倍にあたる3,300万画素の超高精細画像の撮像・記録・伝送・表示が可能となり、画素の密度は人間の網膜に迫ると言われています。8K技術の活用により、高い臨場感と実物感を保持した医療現場の映像を遠隔地に伝えることができるため、従来の遠隔医療では対応が困難であった細かな病変の発見等が期待されています。
画像の比較(左:8Kスーパーハイビジョン画質、右:ハイビジョン画質)
【目的】
この実証では、8K技術を活用した遠隔医療のモデルとして、特に有効性が高いと思われる下記の2モデルを選定して、医学的観点から効果を発揮するかどうか、また、医療機関間での伝送や画像の技術的な課題はないか等について検証を行うことを目的とします。
1)遠隔病理診断モデル
病理医は全国的に不足していると言われており、現在、遠隔での病理診断(テレパソロジー)が、デジタル画像を用いて行われています。本実証実験を通じて、病理診断の精度向上に向けた8K技術の活用を目指します。
2)遠隔診療支援モデル
離島・へき地は、特定疾患領域の常勤専門医が不足しており、現在、遠隔での画像連携や他地域医師の定期的な訪問が行われています。本実証実験を通じて、診療支援の精度の向上や、訪問医師負担軽減等に向けた8K技術の活用を目指します。
【実施概要】
各モデルの実施概要は下記の通りです。各モデルで、8K映像を観察した場合と、実物を観察した場合の診察・診断結果の相違有無を評価するとともに、各モデルで撮影した8K映像を録画し、2Kカメラや4Kカメラで撮影した場合のシミュレーション映像等を作成し、8K映像との比較評価を実施する予定です。各モデルの実証実験における各社の主な役割は以下の通りです。
- 株式会社NTTデータ経営研究所:実証実験の全体取り纏めおよび評価検証
- 一般財団法人NHKエンジニアリングシステム:8K映像システムの構築および撮影
- 株式会社NHKエデュケーショナル:8K映像システムの構築および撮影
- NTTコミュニケーションズ株式会社:病院間における地上通信環境の構築
- スカパーJSAT株式会社:病院間における衛星通信環境の構築
1)遠隔病理診断モデル
2017年1月下旬より、8Kカメラをセットした遠隔操作顕微鏡システムを構築し、国家公務員共済組合連合会 虎の門病院と東京大学医学部附属病院との間にて、遠隔病理診断モデルに関する実証実験を行います。東京大学医学部附属病院の医師が虎の門病院に設置した8K顕微鏡を遠隔操作して直接診断します。また、本実証実験では、デジタル画像では診断の難しい症例を含んだ標本を選定し、同一検体を対象に下記の2つ(①、②)の実証を行い、診断結果の差や、診断にかかる負担等の差を検証します。
①東京大学医学部附属病院側の病理医が、虎の門病院にて撮影した8K画像をもとに、遠隔で病理診断(虎の門病院内の8Kカメラをセットした顕微鏡を遠隔操作して診断)
②東京大学医学部附属病院側の病理医が通常通り、顕微鏡で実物を直接観察して病理診断
遠隔病理診断システムの概要と実証(①、②)について
2)遠隔診療支援モデル
2016年12月中旬より、8Kカメラを活用した遠隔医療システムの構築をし、長崎県の離島にある上五島病院と、実際に患者を診療していただく長崎大学病院との間にて、遠隔診療支援モデルに関する実証実験を行います。本実証実験においては、固定回線が開通していない離島等の医療機関への導入も想定されるため、映像伝送回線として衛星通信を利用予定です。
本実証実験では、モニターとして数十名程度の患者を募集し、同一患者を対象に下記の2つ(①、②)の実証を行い、診断結果の差や、患者に与える安心感等の差を検証します。
①長崎大学病院側の皮膚科医師が、上五島病院にて撮影した8K画像をもとに遠隔で診療支援
②長崎大学病院側の皮膚科医師が通常通り、対面にて診療
遠隔診療支援システムの概要と実証(①、②)について
【今後の展開(8K医療活用の将来像)】
今後、日本各地において、遠隔診療支援システム、遠隔病理診断システムや超高精細画像情報データベースを構築することにより、8K技術を活用した超高精細映像の利活用を促進し、通常診断でも認識することができなかった細かな病変の観察や超高精細映像を活用した新しい診断支援システムの実現を目指します。
- 遠隔病理診断モデルでは今後、より精度の高い術中迅速遠隔病理診断が実施可能となり、病理医がいない地方の病院でもより安全に手術を実施可能となることを目指します。8K技術により、既存のデジタル画像では表現できなかった細部も表現でき、また、高い解像度を有するため、高精細のまま関心部分を拡大可能であるため、診断精度の向上に寄与できると考えております。
- 遠隔診療支援モデルでは今後、離島やへき地等の診療機会が少ない地域でも、遠隔で専門医の安心・安全な診療機会が得られることや、患者の皮膚などの再現映像に臨場感が生まれ、診断の精度がさらに向上することを目指します。特に、8K映像はその高い質感再現により触診の再現が可能であると期待されており、更なる遠隔医療の促進に貢献できると考えております。
【参考】
総務省:8K技術の応用による医療のインテリジェント化に関する検討会
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02ryutsu02_03000261.html
本件に関するお問い合わせ先
報道機関からの
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コーポレート統括部 経営企画部 広報担当
03-5213-4016(代表)
E-mail : webmaster@keieiken.co.jp
一般財団法人NHKエンジニアリングシステム
企画・開発推進部
03-5494-2400(代表)
E-mail : nes-plan@nes.or.jp
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事業推進室 喜園 伸一
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2016-R128