2017年7月24日
日本のMVNOとして初めて、eSIMの実証実験を開始
〜IoTビジネスのグローバル展開を支える、遠隔からのSIMカード書き換え技術を検証〜
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、2017年7月より、日本のMVNOとして初となるeSIM※1の実証実験を開始しました。
SIMカードの通信プロファイル(携帯電話事業者、電話番号、契約内容などの情報)を遠隔から書き換えられる環境※2を香港のモバイル通信基盤上に構築し、IoTにおける活用やコンシューマー(一般消費者)の利用を想定した実証実験を、日本および香港で行います。
国際的な業界団体GSMA※3の規格に準拠したeSIMの実証実験は、日本のMVNOとして初の試みです。
1. 背景
現在一般的に使われているSIMカードは、あらかじめ通信プロファイルが設定されており、出荷後に内容を書き換えることはできません。しかしeSIMは、SIMカードを挿し替えることなく、遠隔から最適な通信プロファイルを設定できるため、例えばビジネスに以下のようなメリットをもたらします。
- 海外において、現地通信事業者の安価な回線を利用することにより通信コストを最適化
- 製品にあらかじめeSIMを組み込むことで、出荷する国や地域、用途によらず製品仕様を共通にすることができ、在庫管理を効率化可能
- 海外において、ローミングが禁止されている場合でも現地通信事業者と契約して通信することが可能
eSIMに関しては現在GSMAにて「M2Mモデル」「コンシューマーモデル」の2つのモデルの標準化が進められています。NTT Comは、これらのモデルが実用化段階にあることを踏まえ、いち早く実証実験を開始します。
2. 実証実験の概要
このたびNTT Comは、当社が香港で提供しているモバイル通信基盤をベースに、遠隔SIMプロビジョニングが可能な環境を構築しました。本環境の下で、日本および香港にあるeSIMを挿入した端末を用いて実験を行います。なお、本環境はGSMAに準拠した「M2Mモデル」と「コンシューマーモデル」の両モデルに対応しており、日本、香港をはじめ米国など約40ヵ国・地域で通信が可能です。
(1)「M2Mモデル」の実証実験
あらかじめeSIMを組み込んだデバイスに対し、SIMを管理するサブスクリプションマネージャーから通信プロファイルの書き換えを指示します。無線通信を使って遠隔で通信プロファイルをダウンロードさせるほか、通信プロファイルの切り替え、無効化、有効化、削除といったオペレーションを行います。
例えば、グローバルで利用するIoT機器にeSIMを組み込み、海外に出荷した後に遠隔で通信を有効化し、さらに運用中に通信プロファイルを切り替えることなどを想定し、ビジネスプロセスが問題なく実施できるかどうかの確認を行います。
(2)「コンシューマーモデル」の実証実験
eSIMを組み込んだデバイスから通信キャリア・プランを選択して、通信プロファイルをダウンロードし通信を有効化するオペレーションを検証します。
例えば、スマートウォッチやモバイルパソコンなどのデバイスにeSIMを組み込み、エンドユーザーが任意のタイミングで通信キャリアと契約して利用開始することを想定したプロセスの確認を行います。
<「M2Mモデル」と「コンシューマーモデル」についての実験概要>
(3) SIMへの埋め込み技術の実証実験
eSIMと組み合わせることができる埋め込み技術(例えばSIMを挿すだけでセキュアな通信を実現する技術)を有するパートナーとの共同実験も実施していきます。
3. 今後の展開
本実証実験を通じて得られた知見を活用し、今後、お客さまのグローバルなビジネス展開を支える、利便性の高いモバイルサービスの開発・検討を進めていきます。
※1: embedded SIMの略。遠隔で通信プロファイルを書換えすることができるSIMのこと。
※2: いわゆる遠隔SIMプロビジョニング(RSP : Remote SIM Provisioning )が行える環境。
※3: 携帯通信事業者の業界団体「GSM(Global System for Mobile Communications) Association」の略称で、モバイル通信事業の世界的な業界団体。
本件に関するお問い合わせ先
2017-R073