日本郵便株式会社
海外郵便事業体へ郵便業務のノウハウを提供
送達データの分析により的確な提案を実現
日本郵便株式会社
国際事業部 主任
原 裕一郎氏
「グローバルの豊富な知見を持つNTTコミュニケーションズは、海外でコンサルティングサービスを行うに当たり心強い存在です」
日本郵便株式会社
クラウドサービス運用設計部
国際事業部 専門役
内村 史郎氏
「クラウドベースのシステムなので、将来的な事業の拡大や、他国への横展開にも柔軟に対応できると期待しています」
課題
先進の郵便技術を他国に共有する
コンサルティングサービスを展開
日本郵政グループの一員として、全国約2万4,000の郵便局を運営する日本郵便。暮らしに密着した郵便・貯金・保険のユニバーサルサービスを展開するほか、郵便局ネットワークを活かしてお客さまのより良い生活をサポートする「トータル生活サポート企業」を目指して成長を続けている。
同社は、国内のみならず海外でも自社の事業強化を進める一方で、近年は培った技術・ノウハウを海外へ提供する取り組みにも注力している。それが、アジア新興国を中心に展開する、郵便業務のコンサルティングサービスだ。「約140年の歴史を持つ日本の郵便の仕組みは、送達の速さや正確さなど、世界最高クラスの品質が高く評価されています。そうした技術を、各国の郵便サービス高度化に役立てることは、国の重要施策にも位置付けられています」と日本郵便の原 裕一郎氏は述べる。
この方針の下、2015年1月にベトナムと日本の両政府が郵便分野における協力に関する覚書を締結。日本郵便は、ベトナム郵便公社(以下、VNポスト)とコンサルティングサービスを提供する契約を結んだ。
日本郵便から専門家を派遣し、実際に現地調査を行うと、ベトナムの郵便事情は多くの課題を抱えていた。
例えば、同国の郵便区分センターでは、多くの郵便物や小包が床に山積みとなり、手付かずのまま放置されていた。「急速に発展するeコマースなどの影響により急増する荷量に対応できず、送達が遅れてしまっていました。郵便物を仕分ける区分機もあるにはありましたが、ホコリをかぶっており使われていない状態。ほかにも、あらゆる面で改善が必要な状況であり、VNポストさま自身も、そのことに大きな危機感を抱いていたのです」と同社の内村 史郎氏は振り返る。
そこで同社は、サービス品質向上のため、業務設備から組織体制、作業手順までの抜本的な見直しを提案。その上で、まずは利用者の満足度に大きく影響する「郵便物の送達速度(発送から到着までの時間)の短縮」を早急に実現すべく、実態の見える化を進めることにした。
「さいわいVNポストさまは、日本郵便と同様に、各拠点で書留郵便物や小包のトラッキングデータを入力しており、データ収集のインフラはある状態でした。そこで当社は、トラッキングデータをもとに、各拠点間の送達速度の分析が行えないかを検討。必要なシステム、およびソリューションパートナーの選定を開始しました」と原氏は語る。
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対策
グローバル対応の総合力を評価
顧客自らが扱える仕組みを目指す
選定時の主な要件は大きく2つあった。まず、顧客がベトナム企業のため、事業をグローバルに展開するベンダーであること。次に、日々発生する膨大なトラッキングデータを、スムーズかつセキュアに扱えるIT基盤やBIシステム、ネットワークなどをトータルに提供できることだ。
こうした点を精査し、最終的に選んだのがNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)である。
「決め手は、一連のシステムインフラやサービスを、ワンストップで提供できる総合力でした。郵便業務のコンサルティングサービスでは、お客さまが自律的に運用できるフレームワークをつくることが最終目的となります。そのため、ゆくゆくはベンダーとVNポストさまが直接やり取りできることが望ましいですが、その際もNTT Comが一元窓口となるため、お客さまの負荷を低減できます。また、現地にデータセンターやサポート拠点も持っているため、万一の障害時にもオンサイトのサポートが期待できる。これなら安心してその窓口を引き継ぐことができると感じました」と原氏は説明する。
もちろん、各ソリューションの質も評価した。特に、基盤に選んだIaaS「Enterprise Cloud」は、クラウドならではの拡張性や、広帯域なネットワークなどの性能面で膨大なデータの取扱が十分可能と判断。加えて、世界200の国と地域で提供されているため、今回作ったシステムを、将来的に他国へ横展開するといったケースにも柔軟に対応できる点は魅力だったという。
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効果
輸送ネットワークの最適化や労働力の配置など
多様な改善策にデータを活用していく
こうして日本郵便は、NTT Comの協力の下、ベトナム国内の郵便物送達速度を分析するシステムを構築。現在は、立ち上げ前の最終確認を進めているところだ。すでに運用開始に向けたロードマップも描きつつある。
「郵便物のトラッキングデータを蓄積するデータベースをEnterprise Cloud上に移行。それを、同じくEnterprise Cloud上に構築したBIシステムで分析し、グラフなどでわかりやすく表示することで、VNポストさま自らが改善策を立案し、実施できるようにします」(原氏)。一定期間は日本郵便がノウハウを提供しながら取り組みをサポートするが、最終的には、BIシステムの操作、およびNTT Comが提供するレポートの確認なども、VNポストが主体となって行っていく計画だという。
送達速度が見える化できれば、多様な改善策につなげることが可能になる。例えば、各拠点間の輸送ネットワークを最適化したり、各作業場所における時間帯別の労働力の配置を調整したりといったことが検討できるようになるだろう。
「従来の業務フローに慣れたVNポストさまの社員に、新しいアイデアをスムーズに受け入れてもらうためには、客観的なデータが必須です。今回のシステムは、VNポストさまのサービス品質向上はもちろん、今後の当社のコンサルティングサービスにとっても強い味方になってくれると期待しています」と内村氏は言う。
現在、ベトナム北部のハノイと南部のホーチミンの間の配達には平均6日程度かかっている。インフラやオペレーションの最適化が進めば、少なくともそこから2日は短縮できる見込みだという。原氏は「VNポストさまに対する利用者の評価も大きく変わるはずです」と期待を込める。
国の枠を超え、郵便サービスの改善・発展に取り組む日本郵便。NTT Comのサービスが、それを支えている。
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導入サービス
Enterprise Cloudは、データセンター、ネットワーク、サーバーが連携した通信事業者ならではのプライベートクラウドサービスです。柔軟なリソース提供とお客さまの要望に応じた豊富なオプションを装備し、基幹系業務でも利用可能な環境をご提供します。
インタビュー動画
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日本郵便株式会社
事業概要
全国津々浦々の郵便局と配達網を活用し、地域のニーズに合ったサービスを提供する。郵便、貯金、保険の基幹サービスを柱に、触れ合いあふれる豊かな暮らしの実現に貢献する。
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(掲載内容は2016年8月現在のものです)
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