株式会社ゴールドウイン
コロナ禍をきっかけに起こったネットワークの混雑を解消
業務効率と安全性を両立し、働き方の変化に対応できるネットワーク構築例
Smart Data Platform
Flexible Remote Access
、
Flexible InterConnect
株式会社ゴールドウイン
管理本部 システム部
販売システムグループ
インフラチーム
萱沼 悟史氏
株式会社ゴールドウイン
管理本部 システム部
ITストラテジーグループ
WEBチーム
米澤 里史氏
課題
緊急事態宣言発令で全社員が突然の在宅勤務に
スポーツアパレル用品の製造・販売を手掛ける株式会社ゴールドウインは、自社の主力ブランドである「Goldwin」をはじめ、「ザ・ノース・フェイス」や「エレッセ」など20ブランドのスポーツウェアやアウトドアスタイル関連商品を国内外で展開。東京本社と創業の地である富山本店を中心に、大阪、札幌、福岡に事業拠点を置き、公式オンラインストアのほか約160店舗の直営店を展開中だ。
2020年2月、新型コロナウイルス感染症の対策として発令された1回目の緊急事態宣言は多くの企業に未曾有の衝撃を与えたが、ゴールドウインもまた例外ではない。同社では直ちに全国すべての従業員と店舗スタッフの合計2800人以上に対して、在宅勤務および店舗の臨時休業に伴う一時帰休を命じることになった。だが、「このような事態はまったくの想定外でした」とシステム部でインフラ管理を担当する萱沼悟史氏は当時を振り返る。
「社内のネットワークは、東京本社・富山本店と各拠点を結ぶ業務系のネットワークと東日本と西日本それぞれの店舗用ネットワークで構成されています。すでにNTTコミュニケーションズのVPN(閉域網)を10年以上前から導入していましたが、当時は在宅から一斉に接続することを想定したネットワーク設計にはなっていませんでした」(萱沼氏)
萱沼氏の懸念は的中する。在宅勤務を開始した従業員たちからメール送受信やWeb会議がスムーズに行えないなど、とまどいの声が多く寄せられるようになったのだ。ゴールドウインの社内ネットワークは、東京本社にオンプレミスで設置された基幹システムのほか、主要な業務システムの約7割がデータセンターで稼働していた。リモート環境からのVPN接続は出張中の社員などしか想定していなかったため、従業員の一斉接続でデータセンターへのアクセスが集中、VPN経由でのインターネット接続にボトルネックが発生し通信遅延の引き金となった。
「内勤していた社員の端末は約1500台。『Microsoft 365』や『Box』など、外部のクラウドサービスも通信負荷増大の要因でした。拠点間の通信と全従業員のインターネット接続が同じ通信経路だったこともあり、データセンターへのトラフィックが一時は100%に迫る勢いで、業務システムの動作にも支障が生じていました」(萱沼氏)
負荷軽減のためにセキュリティが担保された一部のクラウドサービスではVPNを無効に切り替える方法なども検討されたが、状況に応じて接続方法を従業員が手動で切り替えることは現実的には難しいことも課題とされた。
「弊社はアパレルの会社で、ITリテラシーについては社員ごとに差があります。そのため、インターネットの接続先を選択する操作を求めない環境が必要でした。自宅からの接続でも、出社して社内LAN経由でつなぐ場合でも自動的に接続先が切り替わることは重要な要件の1つだったのです」(萱沼氏)
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対策
誰でもどこからでも使えるシステムを目指す
全社員が在宅勤務することで生じた通信トラブルをきっかけに、ゴールドウインの社内ネットワークは抜本的に設計を変更する必要に迫られた。ポイントとなるのは、テレワーク環境からは自社のデータセンターを経由せずに業務システムやクラウドサービスを円滑に利用できること。そして、自社と外部のデータセンターやクラウドサービスを共通の基盤で自動的に接続を切り替えられるようにすることだ。
技術的な調査と検討を開始した萱沼氏らが最終的にたどり着いた結論は、NTTコミュニケーションズの「Smart Data Platform(以下、SDPF)」のメニューであるリモートアクセス&セキュリティ基盤の「Flexible Remote Access(以下、FRA)」、またセキュアにマルチクラウドサービスを接続できる「Flexible InterConnect(以下、FIC)」を導入することだった。
導入サービスの選定に当たっては、以前からNTTコミュニケーションズのVPNを活用しており、同じ事業者のサービスであるという接続性や信頼感などが決め手になったという。さらに、NTTコミュニケーションズが事前にFRAとFICの動作検証環境を用意したことも安心感につながった。
「新規に環境を構築し直すことになればさまざまな検証も必要です。NTTコミュニケーションズでは早い段階でゲートウェイ側に検証環境を用意していただけたので、管理画面の操作や実際のインストール、各端末からの動きの検証やアクセス制御などすべて事前にテストできたのがよかったと感じています」(米澤氏)
新たに構築されたゴールドウインのネットワーク環境では、テレワーク勤務の社員からのアクセスはFRA経由でFICに接続されるようになり、自宅からでもセキュアな閉域網を経由して安全・快適に接続できるようになった。また、通信経路の見直しで自社データセンターのVPN装置への負荷が下がり、社内ネットワークからも業務システムや外部クラウドサービスを従来よりも効率的に利用できるようになったという。
「従業員が業務の内容ごとに接続先を切り替えなくて済むようになり、セキュリティの観点でも改善につながりました。何より従業員の誰が使っても難しくないシステムを比較的短期間に実現できたことに満足感を覚えます」(米澤氏)
図 新たに構築されたゴールドウインのネットワーク環境
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効果
全社員参加のオンライン動画配信も快適に
リモート接続やマルチクラウドの活用に対応した、ゴールドウインの新しい社内ネットワークが本格的に稼働したのは2021年の8月。それから1年以上が経過した現在、従業員の在宅勤務は富山本店以外の各拠点で継続されている。平時の出社は基本的に週3日以内、各部署との調整のうえ社員の半分がオフィスで勤務するのがニューノーマル時代に適した、新しい働き方のスタイルになったという。
「普段から通信はとても安定しています。年末年始や期末に経営トップが全社員に向けて発信するメッセージもオンラインで行われることになったのですが、FRAとFICを導入後は内勤者1000人規模が参加してもメッセージの映像が遅延もなくスムーズに視聴できました。」(萱沼氏)
ITリテラシーに関わらずすべての従業員が意識しなくても安全に、社内のシステムやクラウドサービスに接続できていることに大きなメリットと効果を感じているという。また、ネットワーク切り替え直後は接続方法に関する問い合わせなどへの対応でヘルプデスクを設置したが、現在はそうした問い合わせはほとんどなくなり、従業員からは『通信が早くなったね!』と声をかけられることもあったという。
「在宅勤務に代表される新しい働き方が問題なくできる環境整備ができたことで、本業にストレスなく取り組めるようになったことが私たちにとって一番の成果かもしれません。」(萱沼氏)
ゴールドウインでは、SDPF上でFRAとFICを展開する新ネットワークの導入によって、ニューノーマル時代の多様な働き方への対応を実現した。今後は社内に設置された基幹システムのパブリッククラウドへの移行や、店舗用ネットワークとの統合など、ネットワーク基盤のさらなる強化を計画していて、すべての従業員が自宅でもオフィスでも快適に働ける環境づくりを目指しているという。
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導入サービス
オンプレミスやパブリッククラウドに点在する社内業務システムや SaaS など各種の ICT サービスに、在宅勤務環境などどこからでもセキュアに接続。
Flexible Remote Access について詳細を確認
お客さま拠点とクラウドサービス、データセンターなどをオンデマンドで簡単・柔軟に接続可能な次世代インターコネクトサービス。
株式会社ゴールドウイン
事業概要
スポーツを通じて、豊かで健やかな暮らしを実現するをMISSIONにスポーツアパレル用品の製造・販売を手掛ける。自社の主力ブランドである「Goldwin」「ザ・ノース・フェイス」や「エレッセ」など20ブランドのスポーツウェアやアウトドアスタイル関連商品を国内外で展開。東京本社と創業の地である富山本店を中心に、大阪、札幌、福岡に事業拠点を置き、公式オンラインストアのほか約160店舗の直営店を展開している。
URL
https://corp.goldwin.co.jp/
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