スポーツにおけるトレンドは「非構造化データ」の活用
司会者:まずはデータ活用の最新取組事例から伺っていきたいと思います。
石山さんはさまざまな業界におけるAI活用を推進されています。その中で、スポーツに関連する取り組みとしてはどのようなものがありますか。
石山洸(以下、石山):データには構造化データと非構造化データの2種類があります。構造化データは、野球で例えると「ヒットを打ったか」などの、スコアに関するデータです。
有名なものでいうと「セイバーメトリクス」(※野球においてデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法)などは以前からあります。
一方、非構造化データは動画や画像データです。ディープラーニングの技術が飛躍的に進化したことで活用が広がってきているというトレンドがあります。
また、フィジカルのデータだけではなく、メンタルのデータの分析も行っています。
例えば、ゴルフ選手はスコアが落ちてくると少し気持ちが消沈するので、首が下に傾きやすく、それによってスウィングの軌道がずれる。
メンタルが改善すると、正しい姿勢に戻って正しいスイングで打てるというように、フィジカルとメンタルの関係性の中で、いろいろな分析が行われています。
渡部覚(以下、渡部):AIを非構造化データにも使う技術が進化していくと、AIとスポーツがより融合していく可能性はあると思います。
BMXやスケートボードのような、点数をつけるのが難しい競技でAIが活躍できるようになってくると、全然違う世界になってくる気がしています。