株式会社チュウブ×docomo IoT高精度GNSS位置情報サービス

芝草刈りロボット「M1S」で
日本の緑化を加速させる挑戦

株式会社チュウブは、芝生の生産から販売、施工、管理、施設運営までをワンストップで提供する「総合緑化企業」です。同社は、日本で初めて全球測位衛星システム(GNSS)を採用した業務用ワイヤレスロボット芝草刈機「M1S」(エムワンエス)を提供しています。同社がドコモビジネスと共創を実現した背景や芝生のプロフェッショナルが「M1S」に託した思い、将来的な展望などについて伺いました。

株式会社チュウブ

1963年(昭和38年)、芝生生産販売を目的とする任意組合として創業。以来、ターフ事業のほかに建設事業、ゴルフ事業、指定管理者事業を主要事業としている。コーポレートスローガンは、「人、自然、環境」をテーマに「緑の力で日本を元気にする。」

取締役 副社長 池本 栄樹 氏
取締役 副社長
池本 栄樹 氏
海外・次世代ソリューションズ 特任コーディネーター 宮池 史章 氏
海外・次世代ソリューションズ
特任コーディネーター

宮池 史章 氏
NTTコミュニケーションズ株式会社
プラットフォームサービス本部 5G&IoTサービス部
第十グループ 第四チーム 野村 陵斗
プラットフォームサービス本部
5G&IoTサービス部
第十グループ 第四チーム

野村 陵斗
  1. 役職、所属は取材当時のものです

日本の国土を「緑の皮膚」で覆いつくしたい

株式会社チュウブが芝草刈りロボット事業に取り組んだ経緯を教えてください。

池本/チュウブ:
私たちは、芝生の品質に強いこだわりを持っています。2019年のラグビーワールドカップが開催された東京スタジアムや、2021年の東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となった国立競技場に世界最高峰の芝生を導入しています。この「妥協しない品質への追及」という思いは、今回の芝草刈りロボット事業にも受け継がれています。芝生の品種で最高峰を目指すならば、機械でも世界の最先端を目指した方が楽しいじゃないですか。最先端の技術で、天然芝の普及に貢献したいのです。
宮池/チュウブ:
当社ではプロ野球の本拠地となっている阪神甲子園球場や楽天生命パーク宮城をはじめ、幅広いスポーツ施設で芝生を手掛けています。ここを頂点として、日本全国には管理にお金をかけられない公園や道の駅、ドッグランなどがたくさんあります。天然芝の管理は煩雑であるため、人工芝に切り替えるケースも少なくありません。日本の国土を覆う芝生は、言わば“緑の皮膚”のようなものです。人工より天然のほうが健康的だと考えています。
また、人工芝の増加は、海などに流出するマイクロプラスティック片の増加や選手のケガの問題などが社会課題として深刻化してきます。そこで、天然芝の普及を見据えて、芝草刈り作業の負担を軽減する芝草刈りロボットを販売しようと考えました。目指すは、まだ日本にはない最先端技術を搭載した芝草刈りロボットです。そこに使われている技術がGNSSなのです。

通常の芝草刈りロボットでは、クリアできない課題があったのでしょうか

宮池/チュウブ:
目指していたゴールは、芝草刈り作業の無人化です。従来の自律走行型の芝草刈りロボットは、事前に作業エリアにワイヤーの埋設工事を行うことでGPSの精度でも十分に利用できるというものでした。確かに無人化は実現できるものの、事前準備が大変なことや利用できるエリアが限定されるといったことが普及の障壁になっていました。
そこで、ワイヤーを埋設しなくても高精度に作業範囲を見極めることが、今回の芝草刈りロボットの絶対条件でした。隙間なくきれいに芝を刈るためには数十メートル単位で誤差が出るGPSではなく、より高精度なGNSSの導入が必須だったのです。
野村/NTT Com:
私たちが提供する「docomo IoT高精度GNSS位置情報サービス(以下、GNSS)」は、GNSSからの測位情報を国土地理院が提供する電子基準点に加え、ドコモ独自の基準点を活用して補正し、誤差数センチメートル単位まで抑えた精密な位置補正情報を提供しています。まさに、チュウブさまの抱える課題を解決するための最適なサービスだったわけです。

手厚いサポート力がニッチなGNSS実装のカギを握る

そもそも、今回の共創プロジェクトはどのように進んでいったのでしょうか。

宮池/チュウブ:
すでに海外ではGNSSを採用したワイヤレスの芝草刈りロボットが普及しており、詳しい方も多いのです。そこでGNSSに詳しい供給先のロボットメーカーに話を聞いたところ、NTT Comを紹介されたのが始まりですね。ほぼ技術的な専門知識がわからない状態で電話をしたのですが、GNSS担当の方から、わかりやすく、具体的に説明してもらえたことで、きわめて話がスムーズに進んだことを覚えています。
野村/NTT Com:
GNSSは非常にニッチな分野のため、日ごろからお客さまにわかりやすく伝えることを心掛けています。
宮池/チュウブ:
実はもう1社、候補がありましたが、芝草刈り作業は地方部が多く、過去の携帯電話の利用経験でNTTドコモのつながりやすさを実感していたこともあり、NTTグループ一択でした。さらに、GNSSの提供エリアをWebサイト上に表示される日本地図で簡単に確認できることも高評価でした。加えて細かい利用規約などがすべてPDFで開示されており、サービスを申し込む前にしっかり把握できたことも非常に良かったと思いました。
野村/NTT Com:
今回、私たちにとっても芝草刈りロボットは初めての共創でしたが、サービスの大前提となる屋外利用であること、空が開けたロケーションが多いことなどから、かなりマッチしやすいと感じていました。私たちの強みは、GNSSに接続する際の設定サポートや、接続できなかった場合のエラー調査などのサポート力にあります。さらに、チュウブさまには検証アカウントを2週間無償で貸し出すお試し利用もご利用いただきました。
GNSSの提供エリアはWeb上の地図で簡単に確認できる
宮池/チュウブ:
お試し期間では、国内各地で接続試験を実施し、高精度位置情報の品質を実感しました。当社は海外の芝草刈りロボットのメーカーからロボットを仕入れて日本で販売しているのですが、ロボットメーカーからの質問に対しても迅速に回答していただき、スムーズに芝草刈りロボットの提供を開始できました。NTT Comの手厚いサポートのおかげで、ほぼ大きな問題はありませんでした。唯一、芝草刈りロボットを操作するスマートフォンアプリやマニュアルの日本語が不十分な内容だったため、ロボットメーカーに依頼してわかりやすい日本語にローカライズするのに苦労したくらいですね(笑)。
野村/NTT Com:
チュウブさまの場合は非常にスムーズにプロジェクトが進みましたが、GNSSは現状まだニッチな分野ということもあり、一般的に受信機の選定や測位結果の可視化、システム化といったポイントで悩まれるパートナー企業が多く見受けられます。私たちはサービスのスペシャリストとして、今後も「IoT Partner Program」を通じて自社製品にGNSSを導入できるかどうかのご相談から、導入に向けた技術サポートなど、パートナー企業のお悩みを解消するための取り組みを行っています。
業務用ワイヤレスロボット芝草刈機「M1S」

常緑の芝生というランドスケープを日本中に拡大する

業務用ワイヤレスロボット芝草刈機「M1S」のリリース後の反響はいかがですか。

宮池/チュウブ:
すでに多くのお客さまに導入されていますし、毎日のようにお問い合わせをいただいています。芝生管理の専門家の方からも、GNSSによる正確な直線がつくりだすストライプ模様の美しさに驚かれますね。芝草刈り直後の芝生を見た方から、「今まで見たグラウンドで一番きれい」と言われたこともあります。何より天然芝の管理にかかる労務負担を下げたいという、想定したターゲットに刺さっていることがうれしいですね。
池本/チュウブ:
スマホアプリに作業領域を登録すれば、人工知能が自動で最適な経路を計算し効率的な芝草刈りをしてくれる仕組みです。同じ領域に最大10台まで投入できますので、まるで奈良公園の鹿が草を食べるように、ぶつかることなく分担して芝を刈ってくれます。もちろん、人が立ち会えない真夜中でも動かせますので、人手で行うより「M1S」を導入する方が費用は抑えられるといった声もいただいています。まさに、私たちが目指した世界最先端の技術ですね。

今後のアップデートプランなどはありますか

宮池/チュウブ:
私たちは夏芝という春から秋にかけて生育する品種をメインに扱っているのですが、秋から冬にかけて生育する品種も扱っています。併用することで「M1S」を通年で運用できる環境づくりも進めていきたいと考えています。この取り組みにより、常緑の芝生が日本中に増えていき、いいランドスケープが広がっていけばいいですね。
池本/チュウブ:
我々の本業は、芝生をつくって提供することにあります。「M1S」を販売するのがメインではなく、その結果、天然の芝生が普及すればいいと考えています。あくまでも目的は芝生で日本の緑度を上げ、天然芝を日本の皮膚にすることです。今後もGNSSはもちろん、AIやドローンといったNTT Comの新たな提案に期待しています。
野村/NTT Com:
今後もGNSSのさらなる精度向上にむけて、基準点の追加設置などの検討も進めていきます。また、 サービスのログなどいろいろな情報を随時確認することで、常にチュウブさまがつながり続けるためのサポートも続けていきます。専門用語が多く、なかなか理解しづらいサービスですが、私たちが常に伴走して支援するよう心掛けていきます。
(左から)宮池氏、池本氏、取締役事業統括 土井健一氏、営業部次長 大田真之介氏

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本プログラムは無料でご参加いただけますので、
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事務局よりご連絡します。