不正アクセスは閉域網でブロック!
IoTの普及が進むにつれ、セキュリティ確保のニーズはますます高まると考えられます。IoTのセキュリティを取り巻く現在の状況を紹介します。
IoTは、携帯電話網やWi-Fiなどを介してモノ同士が相互に連携する特徴をもつため、一度セキュリティの脅威にさらされると、当該のIoTデバイスだけに留まらず、連携しているIoTデバイスやサーバ、データセンタにまで波及してしまう恐れがあります。
IoTデバイスへの代表的な攻撃事例として有名なのが、マルウェア「Mirai」です。Miraiは、IoTデバイスをターゲットに、初期設定のID/パスワード(「admin/admin」「guest/guest」など)に対して総当たり攻撃(ブルートフォースアタック)を仕掛け、不正ログインを実行します。感染後は、遠隔操作を可能にするボットをダウンロードさせ、次の標的を探して拡大する特徴も持ち、多くのIoTデバイスがMiraiに感染しています。
機器のウイルス感染においてはハードウェア/ソフトウェア資産への打撃だけではなく知らない間に通信料がかかっている場合もあり、経済的な打撃を受ける可能性もあります。
IoTデバイスのセキュリティ対策は、2016年に総務省と経済産業省によってまとめられた「IoTセキュリティガイドライン ver1.0」(PDF 1.53MB)に指針が定められています。同ガイドラインは、メーカーとユーザー双方がIoTのセキュリティ対策で気をつけるべきポイントについて確認できるもので、IoTの活用方針を決める上での有力な情報源となります。
IoTのセキュリティは「IoTデバイスの安全性」「ネットワーク通信の安全性」という2つの観点で分けられます。
IoTデバイスに適用可能なセキュリティ対策は、機能や容量によって制限されてしまうため、ID/パスワードのIoTデバイス自体の設定はもちろん、ネットワーク環境にも注意を要します。
IoTデバイスのセキュリティ上の性質として、「IoTセキュリティガイドライン ver1.0」(PDF 1.53MB)では下記の6点を挙げています。
長期利用かつ設置後メンテナンスの頻度が低いIoT機器ではセキュリティホールが発生しやすいため、事前に上記を押さえておくことが重要です。
IoTデバイスの安全性は、「認証システム」と「暗号化機能」によって保たれます。基本的な認証システムはID/パスワード設定ですが、ほかにもIPアドレスの制限、公開鍵認証方式(RSAなど)など、さまざまな方法があります。
IoTデバイスの多くはデフォルトで通信を暗号化していないため、暗号化機能を有した機器の導入の検討を推奨します。
IoTデバイス側で十分なセキュリティを確保できない場合、ネットワーク側で対策する必要があります。
たとえば、「暗号化機能」は、IoTデバイスとネットワークの間に外付けのIoTゲートウェイを設けることで代用可能です。ゲートウェイはデータの暗号化のほか、複数のIoTデバイスの中継機器としての役割も担います。
また、最もセキュリティを確保できる「閉域網」を用いることで認証したIoTデバイス以外のアクセスを遮断することが可能です。
IoTのセキュリティ対策は、「IoTデバイスの安全性」だけでは評価できないものです。検証の際には「認証システム」や「暗号化機能」以外に、「ネットワーク通信の安全性」を評価項目に加えることで、よりセキュアな運用が可能になります。
閉域網を活用することでインターネット網との接続ポイントが無くなるためIoTデバイスの脆弱性などを気にせず、あんしんして長期利用が可能となります。
IoTの普及と導入にあたっては、メーカーとユーザーの双方がセキュリティリスクを認識することが重要です。
メーカー側の課題は、多くのIoTデバイスにデフォルトのセキュリティ対策が施されていないことが挙げられるでしょう。今後の普及を見据えては、機能や利便性だけでなく、セキュリティ強化にも期待が寄せられます。自動ファームウェアアップデート機能など、高機能なIoTデバイスも出てきているためセキュリティ仕様を確認してから選定することが重要です。
ユーザー側の課題は、IoTにおけるセキュリティ上の脅威が正しく認知されていないことです。初期設定のパスワードに対する総当たり攻撃や、使用しなくなった機器への攻撃など、IoT導入後の保守・管理が十分であれば防げたケースが多く見られます。自宅や会社内で使用しているIoTデバイスの洗い出しと、先にも記載した閉域網の検討などセキュリティ管理体制の構築を心がけましょう。
さまざまなモノに適用されるIoTは、IoTデバイスによってセキュリティ機能を搭載できる範囲が異なります。ドコモビジネスでは、「IoTデバイスの安全性」と「ネットワーク通信の安全性」を守るために、下記2つのセキュリティ対策を推奨しています。
IoTデバイスのほかに、ネットワーク通信の脆弱性が狙われるケースもあります。このようなリスクには、閉域網を用いた通信方式の採用が有効です。閉域網は標準的なVPNなどと比べてもセキュリティ性の高さに優れており、安全なIoT環境基盤の構築を実現します。
IoTデバイスから送信されるデータに暗号化を施すことで、機密データの漏えい防止が期待できます。大型の産業機器などには直接セキュリティツールを適応し、小型のセンサー類などにはIoTゲートウェイを用いて間接的に適用する方法などが一般的です。
セキュリティ性の高い暗号化には電力を消費するほか、処理速度に影響を及ぼすこともあります。
IoTデバイスはさまざまな業界に導入され、品質の向上や業務負担の効率化に役立てられています。セキュリティ上のリスクが特に大きい業界にフォーカスし、対策のポイントを紹介します。
製造業のIoT化には、「導入するIoTデバイスの数・種類が多い」という特徴があります。IoTデバイスが多いと、セキュリティ対策の方法は多岐にわたる上、通信速度にも影響が出てしまいます。対策としては、使用しているIoTデバイスのセキュリティ要件を性能や機種ごとに管理し、複数のセキュアな回線を用意して通信負担を分散するなどの方法が考えられます。IoTデバイスも最新バージョンにアップデートすることが理想ですが、運用コストを考慮し、定期的に更新することが大切です。
医療現場でのIoTはIoMT(Internet of Medical Things)とも呼ばれ、患者の体調をリアルタイムに収集するほか、機器や設備の動作状況を監視する用途でも使われます。オンラインでの検査・診断や手術などの遠隔医療への利用、リストバンドや歯ブラシのアタッチメントなど小型のIoTデバイスの利用も見込まれ、それらが収集したデータは患者の私生活に直結した重要顧客情報として利用されることも多くあるため、セキュリティ意識の共有がとりわけ重要な業界といえるでしょう。
一次産業では特に農業のIoT化が進んでいます。大型の農機に加え、温度・湿度センサーや監視カメラ、ドローン、液肥タンクなど活用が期待されるIoTデバイスの種類は多く、管理の一元化を困難にしています。
IoTゲートウェイによる複数デバイスの一括管理や、パッケージ化されたセキュリティプランの採用など、セキュリティ負担をなるべく軽減することも大切です。
ドコモビジネスでは通信事業のノウハウを活かしたIoT・DX化支援に取り組んでいます。お客さまのIoT導入にあたって、IoT用途に適した通信プランや、セキュアな接続環境をドコモビジネスで一元的にご提案いたします。
IoTセキュリティでは「デバイスの安全性」だけでなく、「ネットワーク通信の安全性」も重要な位置を占めます。ドコモビジネスでは、安全なネットワーク環境として、閉域接続「アクセスプレミアム」を提供しています。お客さまのネットワークとドコモのモバイル網をダイレクトに接続し、お客さま専用の閉域接続環境を実現します。
「アクセスプレミアム」はクラウドサービスなどとかんたん・セキュアに接続可能な「Flexible InterConnect」(FIC) と連携し接続できます。FICは収集したIoTデバイスのデータを適切なデータレイクへ安全に振り分けるハブの役割を担います。
さまざまなクラウドサービス利用や、マルチクラウドのクラウド間通信をセキュアに利用したい場合には、FICとの併用がおすすめです。お客さまの多岐にわたるIoT運用や、ビジネス環境の変化に柔軟に対応できます。
また、「docomo MEC®」では、「MECダイレクト®」を用いることでリアルタイム性を高めつつ閉域での通信が可能で、IoTデバイス側ではなくクラウド / ネットワーク側でセキュリティを強化することが可能です。加えて、AIやXRといったパッケージ化されたソリューションを容易に利用できる点がポイントです。
ドコモビジネスでは、NTTドコモが提供する「ImoT」とNTTコミュニケーションズが提供する「IoT Connect Mobile® Type S/A」の料金プランがあります。
IoTの利用に適しており、NTTドコモのサービスを月額375円(税込)からご利用いただける「ImoT」「ImoTミニ」「ImoTミニ(SMSなし)」を提供しています。IoTデバイスに SIMを挿入することで、ドコモのエリアで安定した回線をご利用になれます。更にお客さまの用途に合わせて3つのプランからお選びになれます。グローバルネットワークエリアとして200を超える国/地域でのサポート実績があります。
グローバルなIoT事業展開では国ごとの通信規制や契約・SIM管理の複雑化といった問題も考えられます。「IoT Connect Mobile® Type S/A」では、ドコモビジネスとの1つの契約で172の国/地域でご利用可能なSIMを提供しています。SIMの開通・廃止などのライフサイクルはポータルから一元的に管理できます。
IoT Connect Mobile® Type Aでは、専用APNやIP Sec VPN等でクローズドなネットワークを構築するオプション機能群を提供しています。また、IoT Connect Mobile® Type SではIoT Connect Gatewayによるセキュアなクラウド接続や、Flexible InterConnectを介した閉域接続などの機能を提供しており、機密性の高いデータの収集も安心して行うことができます。
IoTデバイスの普及に伴いサイバー攻撃が複数発生しており、IoTのセキュリティ確保は必須の要件。政府もIoTセキュリティのフレームワーク策定を進めており、積極的な対策が求められます。
IoTのセキュリティは「IoTデバイスの安全性」「ネットワーク通信の安全性」という2つの観点で分けられます。デバイスの特性を考慮したセキュリティツールの適応と、セキュアな通信環境の双方向から対策しましょう。
具体的な対策方法として、データ通信の暗号化やIoTゲートウェイの活用が挙げられます。ユーザーがIoTデバイスの脆弱性を認識しないまま利用しているケースもあり、セキュリティ意識の強化が重要です。
社会全体のDX実現に向けて、IoTセキュリティの脅威は大きな障壁。なかでも、スマートファクトリー化が進む製造業、人命に関わる流通や医療などでは、業種の性質に合わせた効果的なセキュリティ対策が急務です。
ドコモビジネスは、長年培ってきた通信事業のノウハウを活かし、IoT運用に最適な閉域環境や通信プランの提供を通じてお客さまの安全なIoT導入をサポートします。
※「アクセスプレミアム」・「docomo MEC®」・「MECダイレクト®」・「ImoT」は株式会社NTTドコモが提供元でありNTTコミュニケーションズ株式会社が販売するサービスです。
※「docomo MEC」・「MECダイレクト」は株式会社NTTドコモの登録商標です。
※「IoT Connect Mobile」・「Flexible InterConnect」はNTTコミュニケーションズ株式会社の登録商標です。