防犯カメラはプライバシー侵害になる?プライバシー問題で配慮すべきポイントを解説
防犯カメラを設置することで防犯対策や業務効率化などの効果が期待できますが、一方でカメラに映る人のプライバシー問題に注意する必要があります。利用の仕方によってはプライバシー侵害とみなされる可能性もあるため、正しい知識を身につけておきましょう。
このページでは、防犯カメラとプライバシー侵害の関係や、防犯カメラを設置する際に配慮すべきポイントを解説します。
目次
防犯カメラの設置はプライバシー侵害になる?ならない?
まず前提として、防犯カメラを設置すること自体を取り締まる法律はありません。ただし、個人のプライバシーに関わるような映像を撮影・公表することにより、プライバシー侵害とみなされる可能性があります。カメラ設置位置のほか、関係者への周知や録画データの取り扱いについて、注意が必要だといえるでしょう。
プライバシー侵害となるケースとは?
過去のプライバシー侵害に関する判例では、以下3つの条件がすべて満たされた情報が取得・公開された場合にプライバシーの侵害が問われる、とされています。
- 私生活に関する内容
- これまで他人が知らなかった内容
- 撮影された本人が「公開されたくない」「公開されることで不安を覚える」と思う内容
つまり、氏名や住所、職業などの個人を識別できる情報が含まれている映像・音声を、マスキングなどの加工をせずに本人の許可なく公開したり、データを流出させたりすることでプライバシー侵害となるケースがあるといえます。
なお、以前は映像が公になることによって発生した不利益が問題となるケースが多かったですが、近年ではプライバシーに関わる映像を撮影すること自体が、プライバシー侵害や肖像権侵害にあたるといった指摘もなされるようになっています。
プライバシー侵害と認められた場合どうなる?
もしもプライバシー侵害に関する民事訴訟を起こされ、プライバシー侵害があったと裁判で認められた場合、損害賠償請求を受けることとなります。金額的な損失はもちろんのこと、裁判への出席や書類の準備をする手間がかかり、「訴訟を起こされた」こと自体によるイメージ損失といった影響が出てしまいます。
さらに、プライバシー侵害とともに「名誉毀損」という刑事罰が科されるケースもあります。もし、映像などの公開によって被害者の社会的信用・評価を失墜させるなどの影響が出た場合は、他人の名誉を傷つける不法行為として「名誉毀損」も伴うとみなされ、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
防犯カメラの設置時に配慮すべき「プライバシー」とは?
そもそもプライバシーとは英単語の「privacy」からきており、「個人の秘密や私生活」のことや、「それらが他人から干渉を受けない権利」のことです。
「個人の秘密や私生活」とは、具体的には名前や住所、職業、収入などの個人情報の他、個人を特定できる画像・映像も含まれます。
自分の知らないところで、第三者に自身の情報を取得されたり公開されたりするというのは、誰でも不快に感じることです。日常生活の中で人々が安心して快適に過ごせるためには、個人情報や私生活に関するプライバシーを守ることが重要です。
それでは、防犯カメラの設置時に配慮すべきプライバシーにはどのようなものがあるのかをご紹介します。
【1】店舗や施設を利用する人のプライバシー
例えば飲食店や小売店には来店客、病院には患者とその家族・見舞い客、介護施設には入居者・利用者、保育施設には園児・保護者など不特定多数の利用者の方やそのご家族の方などが出入りしています。このような店舗や施設に防犯カメラを設置する場合は、利用者の方のプライバシーをまず考える必要があります。
【2】店舗やオフィスで働く人のプライバシー
プライバシー侵害における問題は来店客や患者だけだと思われがちですが、店舗やオフィス、工場、医療機関などで働く従業員のプライバシーにも配慮しなければなりません。そのほか、職場によっては業者の方が出入りすることもあるでしょう。
あらゆる方向からプライバシー侵害につながる懸念があるため、店舗やオフィスで働く人のプライバシーに対する配慮が必要です。
防犯カメラでのプライバシー侵害を防ぐには
防犯カメラの映像によるプライバシー侵害を防ぐためには、以下のポイントに注意する必要があります。
撮影範囲に注意する
防犯カメラの設置において重要となるのが撮影範囲です。防犯カメラの設置に関して、合法性判断基準に明確な決まりはありませんが、プライバシー侵害や肖像権などの訴訟リスクのある場所への設置は極力控えることがおすすめです。
例えば、更衣室やトイレなどは、プライバシー問題以前に「盗撮」や「のぞき見」として軽犯罪法や迷惑行為防止条例に抵触する可能性が高い場所です。このような部屋の中や出入口付近が映らないよう、カメラの設置場所や角度を調整しましょう。
病院の病室や介護施設の各部屋にはカメラを設置することが多いですが、入居者・入院患者の脱衣の様子が映ってしまうこともあります。その場合は撮影・録画した映像の取り扱いにおいて厳重な対策をとる必要があります。
防犯カメラを設置していることを知らせる
防犯カメラがあることを利用者の方などに知らせるため、設置している防犯カメラの近くの見えやすいところに看板やポスターを掲示しましょう。また、設置目的や設置箇所をあらかじめ従業員に周知し、理解を得ておくことも必要です。
そのほか、病院や介護施設などでは入居・入院する人に対して設置の旨や個人情報の取り扱いについて書面で通知し、同意の証としてサインをもらうなどの対応を実施することをおすすめします。
なお、防犯カメラの設置について周知することについて、各自治体によってガイドラインで定められている場合があります。店舗や施設の所在地の自治体に防犯カメラ設置に関するガイドラインがあるかどうかを確認しましょう。
録画データの取り扱いに注意する
プライバシー侵害を防ぐために最も注意したいのが、撮影した録画データの取り扱いです。
まず、第三者への映像共有は禁物です。警察の捜査協力などの場合を除き、基本的には外部へのデータ共有・提供は避けましょう。
また、内部での閲覧権限もなるべく最小限に留めて、外部に流出しないよう保管方法のセキュリティに注意しましょう。
DVDなどのメディアで録画データを保管する場合は、メディアの盗難を避けるため厳重な管理が必要です。
クラウドサービスなど、インターネット上に録画データを保管する場合は、物理的な盗難の危険性はありません。ただし、不正アクセスなどによる情報流出リスクはあるため、セキュリティ強度に注意してサービス選定する必要があります。
クラウド録画カメラサービス「coomonita(コーモニタ)」
クラウド録画カメラサービス「coomonita(コーモニタ)」で撮影した映像は、リアルタイムでPCやスマホから遠隔確認することができます。インターネットのクラウド上に映像が保管されるため、レコーダーを盗まれて映像が流出するといったリスクはありません。
セキュリティ強度も高く、通信・録画映像の暗号化や外部からのアクセス遮断などの不正アクセス対策を実装しています。大企業や国家機関での利用実績も多く、広くご活用いただいております。
また、映像を活用してイベント会場や飲食店などの混雑状況を公開したい場合、coomonitaでは映像に映った人物をAI自動解析により匿名加工し、個人を特定できない状態にする連携機能もございます。プライバシーに関わる問題における対策も徹底して管理することが可能です。
おわりに
今回は防犯カメラを設置する際に、プライバシー侵害を防ぐために配慮すべきポイントについてご紹介しました。
防犯カメラに起因するプライバシー問題のリスクをゼロにすることは難しいですが、下記のような点に注意して設置・運用することでリスクを低減することができます。
- 撮影される方が撮られたくないと思うような映像の撮影は極力避ける
- 防犯カメラの設置は周知し、必要があれば同意書へのサインをいただく
- 撮影した録画データは適切に保管し、第三者への提供は行わない
- セキュリティ強度の高いクラウド録画カメラサービスを選ぶ
防犯カメラは、防犯対策以外にもさまざまな業務課題の解決に役立てることができます。
カメラのセキュリティ面やプライバシーに関する懸念点などがございましたら、NTTコミュニケーションズまでお気軽にお問い合わせください。
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