遠隔臨場とは?
推進の背景と遠隔臨場システム導入のメリットを解説

遠隔臨場システム 画像

昨今、働き方改革やリモートワークの普及によってあらゆる業界で新しい働き方が注目されています。建設業界においてリモートワークは関係ないように思えますが、「遠隔臨場システム」を導入することで現場に行かなくても作業可能な働き方が実現できます。
この記事では、遠隔臨場を推進している背景からシステム導入のメリットについて解説します。

遠隔臨場とは

遠隔臨場とは、現場から遠く離れた遠隔地から立ち会いなどの確認作業を行うことです。国土交通省が推進している取り組みで、近年広がりを見せています。

国土交通省の定めた定義では、ウェアラブルカメラ(※)やネットワークカメラで撮影した映像・音声を、Web会議システムなどを用いて材料確認・段階確認・立ち会いを行うものとなっています。建設現場の作業効率化を図るとともに、契約の適正な履行として施工履歴を管理することを目的とした取り組みです。

現在、働き方改革の一つとして多くの企業で導入されているテレワーク業務ですが、建設業界においても遠隔臨場システムの導入によって現場から離れている場所にいても作業を行うことが可能となります。

参考:建設現場の遠隔臨場に関する実施要領
https://www.mlit.go.jp/tec/content/001594449.pdf
※…カメラを手で持たず、頭部や胸部などに固定して撮影することが可能なカメラのこと

遠隔臨場を推進している背景とは

では、なぜ国土交通省は遠隔臨場を推進しているのでしょうか。遠隔臨場が注目されている理由には以下の背景があります。

ICT化の推進

高齢化に伴う労働人口の減少によって人材不足が加速している中で、業務を効率化することは多くの企業の重要な課題となっています。ICT技術で業務改革を図ることができれば、業務プロセスを効率化して人手不足の負担を軽減することが可能です。
建設業界では、ICT化の推進によって現場の生産性を向上させ、魅力ある建設現場を目指すことが必要です。ネットワークなど情報通信技術を建設現場に導入し、円滑なコミュニケーションにより業務の効率化を図ることが求められています。

国土交通省が推進しているプロジェクト「i-Construction」でも、ICTの活用によって建設現場の生産性向上が目的として掲げられています。

コロナ禍などの時代の変化への対応

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点からも、遠隔臨場は必要とされています。遠隔臨場を実施することで、立ち会いを行う発注側の監督職員の移動や、現場の人間と監督職員の接触機会を減らすことができます。
また、コロナ禍や紛争などの影響により建築資材の高騰が起きている状況から見て、移動にかかる交通費などのコストを削減できるという点もメリットです。

ICT技術を活用した遠隔臨場は、感染症や紛争などの世界的な問題によって大きく変化する働き方に柔軟に対応するために欠かせないものだといえるでしょう。

参考:国土交通省「i-Construction」
https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/index.html

参考:国土交通省「建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000181.html

遠隔臨場システム導入のメリット

遠隔臨場システム導入のメリット 画像

業務においてさまざまなメリットがあることも、遠隔臨場システムを推進している理由の一つです。遠隔臨場システムを導入するメリットを詳しくご紹介します。

移動時間・コストの削減

遠隔臨場のシステムを導入することで、現場へ行く際の移動時間や待ち時間を確保する必要がなくなります。その分を他の作業への時間に充てられるようになるため、生産性の向上につながります。また、移動にかかる交通費やガソリン代などのコストを削減することも可能です。

人手不足解消

遠隔臨場システムでリモートでの作業が行えると、移動時間や待ち時間による残業がなくなって作業効率がアップします。複数の現場を並行で管理することもでき、業務を効率化することで人件費の削減、人手不足の解消につながるでしょう。

安全性の向上

現場で確認や立ち会いを行う場合、事前に決めた日程でしか訪問することができません。
しかし遠隔臨場は、トラブルが起こったとしてもカメラの映像からその場ですぐに現場の状況を把握し、現場の人間に指示を出して対応が可能です。また、リアルタイム映像だけでなく録画をしておくことで確認漏れや見落としによるミスもなくなり、安全性の向上につながります。

リアルタイムで現場を確認できる

カメラを設置することでいつ、どこにいても常にリアルタイムで現場の映像を確認することができます。特に遠方の現場の場合は、移動を含めたスケジュールを決めなければならないため日程が限られます。しかし遠隔臨場であればいつでも確認できるため、日程調整する必要がなくなります。そのため、関係者が一堂に会して映像を確認することも容易です。

人材育成の効率化

遠隔臨場システムは現場とオフィスでコミュニケーションを取れるので、オフィスにいる熟練者や教育者が映像を見て複数のスタッフを教育・助言できることで、効率的な人材育成が可能となります。
また、熟練者の業務の様子や特殊な現場の様子を録画しておくことで、映像教材として研修などに活用できます。

遠隔臨場システムを導入する際の注意点

遠隔臨場システムを導入する際の注意点 画像

ここからは、遠隔臨場システムを導入する前に知っておくべき注意点をご紹介します。

機材・システム

生産性向上を目的として遠隔臨場を実施するにも関わらず、機材の設置や使用に手間取ってしまっては本末転倒です。初めて遠隔臨場を実施する場合は特に、誰でも簡単に使える機材やシステムを選びましょう。
また、バッテリー駆動時間が長い機材であれば充電の手間を減らすことができるため、カメラの使い勝手だけでなくバッテリー性能にも着目することをおすすめします。

遠隔臨場システムの種類

遠隔臨場システムとしてZoomやTeamsなどのビデオ通話機能の活用を想定している方もいるかもしれませんが、一般的なWeb会議システムだとUSB、Wi-Fi、Bluetooth接続の外部カメラを認識できないというデメリットがあります。また、スマホやタブレット端末で撮影すると画質が悪くなり、作業進捗や安全面に支障が出ることもあるでしょう。
クラウド録画サービスであれば、ウェアラブルカメラで映像を撮影しながら確認・作業をすることができます。映像の解析度やデータ確認の利便性が高く、遠隔臨場に向いています。

通信環境

遠隔臨場システムはネットワークを介すため、通信環境が非常に重要です。通信環境が悪いと、映像が乱れたり音声が途切れたりして業務に支障をきたす可能性があります。
しかし、建設現場に常設の有線ネットワークがあることはほぼないため、モバイル通信環境を用意する必要があります。

カメラの耐久性能・補償

建設現場というハードな環境で利用するため、防水・防じん、耐衝撃性能など耐久性能が備わっていることはカメラ選定において重要なポイントです。耐久性に優れているとメンテナンスの手間も省けます。万が一、故障時には補償があるかどうかも事前に確認しておきましょう。

カメラの設置場所

カメラを設置する際は、映したい場所に合わせて角度や高さ、撮影範囲に気を付けましょう。カメラの種類・形状によっては設置場所を柔軟に変更できない場合もあるので要注意です。
また、導入する前に必ず周囲の建物や従業員への理解を得ることが大事です。プライバシーに配慮しつつ、映したい部分がしっかりと映るようにカメラを設置しましょう。

遠隔から映像で確認できる
クラウド録画カメラサービス「coomonita (コーモニタ)」

「coomonita (コーモニタ)」とは、録画データをクラウド上で保存・管理し、スマホやPCからいつでも映像を見ることができるクラウド録画サービスです。

ウェアラブルカメラは、音声通話によるコミュニケーションが可能となっており、日程調整や移動時間の手間なく遠隔から映像を確認しながら現場に指示を出せます。また、リアルタイムの映像だけでなく音声を含めた録画映像を見ることもできるため、映像の収集・分析や新人研修など幅広い用途で利用可能です。

coomonitaは導入時の設定が不要で、カメラを設置してネットワークに接続するだけですぐに利用できます。あらゆる装着用のツールに対応可能なため、カメラの設置場所に合わせて柔軟な使い方ができる利便性の高いサービスです。
導入に必要なウェアラブルカメラなど対応カメラのレンタルも行っているため、初めて利用する場合やIT技術者がいない場合でも手軽に設置できます。ぜひ一度ご相談ください。

おわりに

建設業界で注目されている遠隔臨場システムは、現場の働き方改革や人手不足解消、感染症対策などさまざまな課題を解決するために役立つ取り組みです。
ICT化は単にシステムを導入するだけではなく、導入のメリットや注意点をよく理解して活用して業務効率化につなげることが大事です。生産性を向上させてさらに魅力ある現場環境を作るために、遠隔臨場システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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