熱意だけに頼らない。市民が自分ごと化するまちづくり。上田市民エネルギー
藤川まゆみ(NPO法人 上田市民エネルギー 理事長)
2030年までに2010年度比45%の温室効果ガスの削減が必要と世界で言われる中、長野県はそれを大きく上回る60%を目標に掲げた。元々、48%削減を目標に掲げていた同県だが、目標数値を大きく変えるきっかけとなったのは、県内外から集まったパブリックコメントだった。主導したのは、NPO法人「上田市民エネルギー」の代表である藤川まゆみさん。
医療や福祉、教育領域での担い手不足。
公共施設やインフラ設備の老朽化。
地域をはじめとした公共交通機関網の縮小。
人口減少や少子高齢化に伴い、これまで国や地方自治体が担ってきた公共サービスの継続が難しくなっています。
今、求められているのは、公共領域の課題に様々な立場から取り組むことではないでしょうか。
私たちは、事業者の立場から公共課題へのアプローチを必要とする領域を「セミパブリック」と位置付け、その解決の手がかりを見つけるためにこのプロジェクトを立ち上げました。
セミパブリックの課題解決において特に重要なのは、公共性と経済性の両立です。
それはどのように達成できるのか。
例えば、課題の当事者だけでなく、サービスの提供者を巻き込む仕組み。
例えば、民間だけでなく行政やアカデミアなど様々な視点を掛け合わせていくチャレンジ。
例えば、トップダウンではなく、各プレイヤーが解くべき課題に自律的かつ持続的に向き合う方法。
これらの事例はあくまで仮説であり、私たちも答えを持っていません。プロジェクトを通して、皆さんと一緒に解決の手がかりを考えたいと思っています。
ただ、ひとつ明らかなのは、社会課題が複雑化している中で、その解決のためには、多様な立場の人たちの共創が必要だということです。
セミパブリックは、今後私たちが向き合っていかなければならない領域です。
これからの暮らしをより豊かにするような新しいインフラのある社会を、共につくっていきましょう。