【別紙1】
(1)近年のエネルギー動向
近年、節電をはじめとする省エネ、蓄電池や蓄熱などを利用した蓄エネ、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー*1の利用による創エネといった従来的な対応に加えて、電力自由化への対応など、既往のビル管理業務の範囲では対応できない社会ニーズが顕在化しつあります。
そのような時代の流れを受けて、海外では一般化しているデマンドレスポンス*2技術や、CEMS*3を使った電力融通の実証も国内で盛んに行われており、今後は一般の建物においても、そうした技術への対応が求められるようになると考えられます。また、高度化するビル管理のニーズに対応するための人材の確保と育成が課題になっており、それらのシステム化が期待されているといえます。
加えて、電力自由化が加速すると、再生可能エネルギーの余剰などに連動したダイナミックな電力市場への対応が求められることで、金融取引のようにリアルタイムでの制御・判断が必要なビジネス領域が生まれてくる可能性があります。そのためには、クラウドによるスケーラブルな仕組みに加え、リアルタイム制御に適したシステムが必要と考えられます。
(2)両者共同開発の経緯
こうした社会ニーズや課題に対応するため、竹中工務店では、オープンな通信規格であるMQTT (MQ Telemetry Transport) *4を中核に据えたクラウドを使ったビルコミ技術により、建物設備の制御とエネルギー管理のスマート化を推進しています。また、NTT Comは、セキュアなクラウド環境とセキュアなVPNネットワークの提供に加え、ビッグデータのリアルタイム解析技術の開発に力を入れています。
そこで、今回両社の技術とノウハウを組み合わせ、次世代建物管理システムプラットフォームと、その上で動くクラウドサービス機能としてのエネルギー使用量予測とデマンドコントロール、エネルギーモニタリング、建物設備の異常アラート通知機能について、両社共同で開発を進めていました。
(3)「次世代建物管理システムプラットフォーム」で採用している技術
[1] ビルコミュニケーションシステム®
- 従来、個別に運用されていた建物内の空調や照明、セキュリティや防災、各種センシングなどの設備システムを、相互にネットワークでつなげ、そこで交わされる情報をクラウドに統合するプラットフォームであり、竹中工務店による登録商標です。
- 建物内での情報を統合して、さらにクラウド上の情報やサービスとも連携させることで、建物機能を最適化し、建物設備運用の合理化が可能になります。
- 基幹部分にオープンソースであるMQTTを採用することで、大量の情報を効率的に処理することが可能になり、エネルギー消費量の見える化システムなど、各種アプリケーションへのデータ提供・連携が簡便に行えます。このプラットフォームを使って、様々なアプリベンダーと協力して、付加価値の高い建物サービスの提供に努めています。
- MQTTは、多様な機器を接続するM2M通信プロトコルで、IBM社によって開発され、オープンソースとして様々な仕様が公開されています。軽量かつリアルタイム性の高い特徴から様々な分野への応用が試みられています。
[2] セキュアなクラウド環境とセキュアなVPNネットワーク
- NTT Comは、セキュアなクラウド環境である「BizホスティングCloudn VPCタイプ ClosedNW」および「Bizホスティング Enterprise Cloud」と、セキュアなVPNネットワークである「Arcstar Universal One」を様々な用途に提供しています。セキュアなクラウド環境とセキュアなVPNネットワークを組み合わせることで、複数建物の管理にも親和性が高く、様々な用途にも柔軟に対応できる、セキュアな建物管理システムが構築できます。
(4)NTT Comによるビッグデータのリアルタイム解析サービスを合わせて提供
- 従来、ビッグデータの解析には、"Apache Hadoop"をはじめとするバッチ処理が一般的に活用されます。しかしバッチ処理はデータを一旦蓄積する必要があり、リアルタイムに処理結果を得ることが難しいという問題がありました。
- そこで今回、特にリアルタイムに処理結果を得ることが重要な、エネルギー使用量予測とデマンドコントロール、エネルギーモニタリング、建物設備の異常検知をクラウド上で実現することを目指し、オープンソースの"Apache Storm"とNTT Comのストリーム処理技術を活用することで、リアルタイムに流れてくる大量のビックデータをクラウド上でリアルタイムに処理できることを、建物管理システムの分野として、国内で初めて実現しました。