【別紙1】
1.「Industry4.0」とは
ドイツやアメリカで推進されている「第4次産業革命」と呼べるような社会革新を目指す取り組みのことを指します。具体的には、主に産業分野に焦点を当てて、製造現場などで日々発生する実際の作業ミスをなくしたり、製品にバーコードや電子タグを使ってマルチ生産を実現したり、電力消費量といった様々なデータをセンサーなどで収集し、インターネットを利用してクラウドにデータを上げて、その膨大な情報を分析・活用することで、商品の更なる品質向上・エネルギー利用効率化といった最も効率的な運営方法を実現し、現場の運営の効率化を目指します。これにより、突発的な機械の故障の予測、故障機械の削減による生産物の品質の安定化、最も効率的な電力利用などを実現できます。課題としては、近年高まるサイバー攻撃へのセキュリティ対策、ネットワーク上で接続される無数の機器の通信手段やデータ形式の標準化、生産管理システムなど複数のシステムが接続することによる効率的なシステム管理、本技術の管理に必要な知識を持つ人材の育成などが挙げられます。
2.「Industry4.1J」とは
VECは、「Industry4.0」に対し、サイバー攻撃にも耐えられるセキュアな環境で監視や経営を実現することにより更なる現場の安全操業や効率的な運営が実現された世界を「Industry4.1J」と表現しています。(「Industry4.1J」の「4.1」は「Industry4.0」とはセキュアレベルで一段階アップしていることを意味し、「J」は「日本発」と言う意味を持たせています。)
パブリックなインターネットを利用したネットワーク構築は、今までに数多くの企業に導入されてきました。しかし、パブリックなインターネットは多数のユーザーが同一の回線を同時に使用するため、常にサイバー攻撃を受ける脅威にさらされています。このため、インターネットでネットワーク構築した企業は、製造現場の運用システムのウイルス感染による事故を避けるために、製造現場に存在する制御システムをインターネットから切断するしかなく、他拠点やクラウドサーバと情報を共有し合うことができませんでした。
近年、セキュアなプライベートクラウドが世界中で使用できる条件が揃ってきたことで、この状況が改善され、制御システムを直接セキュアなクラウドに接続するという運用が可能になってきています。これにより、世界中に点在する工場やビルをつないで、資産管理や消耗部品の発注管理、消耗部品サプライヤとのSCM、リモートサービス、高度制御技術のサポート、サーベイランス対応などを総合的に安全に管理できる環境が実現できます。
具体的には、例えば、世界に分散する工場プラント群で使用している消耗部品や交換時期に来ている部品や装置のデータをセンサーで収集し分析することで、部品の発注時期を予測することが可能になります。これにより、受注する部品メーカーは数カ月先の受注情報を受けることで、生産計画の平準化を実現できます。また、生産の平準化ができると雇用の安定化も実現できます。
今回の実証実験プロジェクトでは、このようなセキュアな環境での現場改善・効率化(「Industry4.1J」)の実現に必要な技術的要件を確認し、それらを標準化した形で世界へ発信することで、全世界で更なる現場改善・効率化が展開されることを目指します。