2020年08月28日

「調べもの」の課題解決でお客さまDXに貢献!
UI・UXにこだわった、AI回答検索ソリューション「COTOHA® Search Assist」

6月30日にリリースした、「COTOHA® Search Assist」。管理者がドキュメントをアップロードするだけでAIが内容を把握し、利用者の質問に対して、AIが適切な回答を見つけ出します。NTT研究所の最先端のAI技術を採用し、技術的に優れていることはもちろん、UI・UXにもとことんこだわりました!

社内システムの利用方法や契約書の記載内容、事務処理方法、商品情報など、日々誰もが行っている「調べもの」。調べものの質を向上させることは、お客さまのDXに大きく貢献できます! COTOHA® Search Assistのサービス内容、利用シーン、さらにはデザインアプローチの取り組み内容についてご紹介します。ぜひご一読ください!

左から、吉川みのりさん、本間幸徳さん、阿部紘樹さん、勝村祐介さん

FAQ不要! 文書をアップロードするだけで利用可能な、AIによる回答検索サービス

――どのようなサービスか教えてください。

吉川さん

吉川さん:COTOHA® Search Assistは、AIが契約書やマニュアルといったドキュメントの内容を理解し、ユーザーが質問すると、答えが記載されている箇所を抽出するサービスです。

特徴としては、AIがドキュメントの内容と質問文の両方の内容や意図を理解できるので、一般のキーワード検索サービスよりも、的確に回答を探し出せる点です。また、回答が記載されているドキュメントを結果としてそのまま提示するのではなく、ドキュメントの中の「回答が記載されている箇所」まで表示するため、素早く答えにたどり着くことが可能です。さらに、ユーザーの質問内容と表示した答え、答えに対するユーザーの評価を蓄積し、AIが自動で学習します。このため、使えば使うほど検索精度が上がり、より的確に答えを見つけ出すことができるようになります。

ドキュメントをアップロードするだけで、利用者の質問に対して的確な回答を提示する

――他社サービスと比べて、どのような強みがありますか?

本間さん

本間さん:COTOHA® Search Assist は、従来の検索技術に加えて、文意を理解する「機械読解技術」を導入しています。機械読解とは、AIがテキストを読み込んで質問に答えることができる技術のことで、2018年1月にSQuADというデータセットでAIが人間を上回る回答精度を達成したことで大きな注目が集まりました。一方で、SQuADで扱ったテキストは比較的単純なもので、普段、人が読むようなマニュアルや契約書のように、文章に構造(段落や章立て、見出し)を持つような複雑なドキュメントを扱うことには課題がありました。

COTOHA® Search Assist では、NTT研究所とも協力して検討を進め、文書の構造や意図を理解して読み込む機械読解技術を開発・導入することで、マニュアルや契約書のような構造を持つドキュメントを対象に回答を探すことができるようになりました。従来の検索技術では入力した質問文からドキュメントを探し出すまでだったところを、COTOHA® Search Assistではさらに自動でドキュメントを読み込むことでドキュメントの中から質問文に対する答えを自動で抽出することができる点は、大きな強みと言えるかと思います。

勝村さん

勝村さん:UI(ユーザーインターフェース)も一つの強みになっています。

工夫した点はいくつかありますが、1つ上げるとすればわれわれの中で「Skydiving UI」と呼んでいる検索画面です。

検索画面は、入力フォームに質問を入力していく過程で検索結果がリアルタイムに切り替わり、結果画面に表示されているパネルは、関連度の違いで3段階用意されており、関連度が高いものはより大きく表示されます (動画参照)。この仕様は、検索と結果のイテレーション(繰り返し)をすぐに回すことで、より早く求める回答を得やすくすることを目的としております。

また、検索技術においては、機械読解検索、部分文書検索、FAQ検索の3つを用いています。質問は1つでも、それぞれの検索を行い、回答精度を高める工夫をしています。

Skydiving UIの画像

質問文を入力するとすぐ、複数の回答候補が提示される

インタビューやプロトタイプ検証による、人間中心のサービスデザインアプローチ!

――2020年6月30日にリリースしたばかりのサービスですが、サービス開発までに工夫した点はありますか。

吉川さん:2020年6月にサービスリリースするまで、精度の改善や検索方法の検討といった技術的な検討だけでなく、デザインアプローチを行い、UX(ユーザーエクスペリエンス)やユースケースの掘り下げを入念に行いました。

2年前のNTT Com Forumにプロトタイプを出展しましたが、技術的な特長だけでは、お客さまの抱えている課題にとってどのように有益であるかを説明できていなかったために、導入をイメージしていただくまでにハードルがありました。また、技術面のみの強みだと、精度だけが評価指標となってしまいます。ユーザーの見つけやすい体験にこだわることで他サービスとの差別化を図れないかも考えました。

そのため、使う人の目線で一から考え直し、使う人の体験をデザインしてサービス品質を向上させようと、デザインアプローチを取り入れました。

――具体的にはどのようなアプローチを行ったのですか?

阿部さん

阿部さん:他社よりも優れた技術が手元にありつつも、使う人が満足いくレベルにあと一歩という中で、そのギャップに対する解決の糸口をAI技術だけに頼るのではなく、ユーザーにとっていかに心地よく答えを見つけられ、いかに日頃の業務で役に立つものにしていくか、人間中心にサービスをデザインしていくアプローチを取り解決していこうと取り組みました。


デザイン思考にいち早く取り組んだ

デザイン思考にいち早く取り組んだ

まず取り組んだのは、エグゼクティブインタビューです。室長や担当部長に現状認識や理想像のインタビューを行い、COTOHA® Search Assistにおける価値基準や向かうべき方向性を抽出し、それらにPJメンバーの意思を込めてプロジェクトミッションに落とし込みました。コンセプトを作っていく段階では、専門家へのインタビューからユーザーインタラクションにおける学術的な知見や参考にすべき成功事例などの幅広い観点からのインサイトを抽出し、構造化していきました。また、このコンセプトが独りよがりにならないように、プロトタイプに落とし込み、ユーザーに実際に触ってもらい、検証を行いました。検証の中で得た気付きをさらにプロトタイプに反映させ、アップデートしていき、現在の姿になっています。

「Skydiving UI」の着想もこのアプローチから得たものです。「メールするよりも電話した方が話が早い」とかあるじゃないですか。ユーザーにとって「情報の正確さよりも素早く回答を提示する方が重要」であり、「フィードバックループを繰り返すことが重要」というインサイトを反映したものです。

「調べもの」の時間が約半分に! ユーザーリサーチを通じて、具体化していった利用シーン

――デザインアプローチにより、COTOHA® Search Assistのターゲットとなるお客さまや利用シーンも明確化されたと思います。どのような方に有効なサービスなのでしょうか。

阿部さん:IT導入決定者だけでなく、実際の現場で調べものに困っている人にもインタビューをしました。例えば、製造業や損害保険の営業担当からは、「新しいサービスがどんどん出る一方で、人気の古いサービスも根強く残っており全部を網羅しきれない」とか、コールセンターで働くマネージャーからは「リモートワークになり、入社して間もない新人さんが、今までのように隣にいたスーパーバイザーにすぐに質問できない」など、現場ならではの課題がありました。このような、知識を付けづらい状況であったり、担当者が詳しくない場合に、調べものに対する課題解決が求められており、COTOHA® Search Assistが有効だということが分かりました。

実際にコールセンターでCOTOHA® Search Assistを使ってもらい、利用価値を検証したところ、今まで調べものにかかっていた時間が約半分となり、業務効率が格段に上がりました。

これらの検証結果から、主な利用シーンとして、流通サービス業・製造業・コールセンターにおいて、ニーズが高いことがわかりました。

吉川さん:さらに、お客さまにアプローチしやすい売り方もデザインできないかと、新設されたイノベーションセンターのデザイン部門に協力してもらいながら、現場で伝わりやすい伝え方や提案時の重要なタイミングなどを、営業や販売推進の担当者とディスカッションさせていただきました。「モノはいいんだけど、 “この部署のこの人”の問題を解決するという具体的なシーンが見えづらいよね」とか「聞くお客さまはみんな忙しいから、つかみが重要」などのコメントから気付きを得て、“つかみ”の1枚紙やbefore/afterで利用シーンが想起しやすい動画、ユースケースごとのシナリオパターン集を作成し活用しています。

最後に

――今後の展望を教えてください。

吉川さん:COTOHA® Search Assistはサービスを開始したばかりです。上記の利用シーン以外でも、さまざまな可能性があると考えています。特にAfter/Withコロナのニューノーマルの時代には、在宅勤務が推奨され働き方が変わり、これまでのように人に聞いたり、オフィスの書庫を探したりできないため、文書はデジタル化され、調べ物はAIに任せるのが通常になると思います。導入しやすさも考慮したパッケージサービスとなっているので、調べものを頻繁に行っている部署だけにご導入いただくことも可能です。ぜひ多くのお客さまに活用していただきたいと思います。お客さまとのディスカッションやご提案に参加させていただき、ご要望を取り入れ、COTOHA® Search Assistを発展させていくとともに、お客さまのDXに貢献するサービスとして育てていきます。

関連リリース

FAQ不要、文書をアップロードするだけで利用可能なAIによる回答検索サービス「COTOHA® Search Assist」の提供を開始

◆COTOHAシリーズ

社員メッセンジャー

NTTコミュニケーションズアプリケーションサービス部

吉川 みのり

質問に答えるAI回答検索サービス「COTOHA® Search Assist」のサービス企画を担当しています。NTT Comの最新の取り組みやサービスの魅力をお届けします!

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