増え続けるクラウド運用がもたらす弊害と解決策とは

近年、コスト削減や業務効率化を目的とし、クラウド環境の構築に踏み切る企業が増えています。しかし、増え続けるクラウドサービスの運用管理に追われ、かえって業務負荷を高めてしまっているケースが少なくありません。企業のIT 予算が運用保守から開発費用へとシフトし続ける今、クラウド運用にもコスト削減・効率化が求められています。ここでは、複数のクラウドサービスの同時利用を前提とし、課題や負荷軽減対策などを紹介しています。

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増え続けるクラウド利用率と企業意識の変化

総務省が公表している「令和元年版 情報通信白書」によれば、「全社的にクラウドを利用している」もしくは「事業の一部に利用している」とした回答した企業は、全体の6割弱にまで達しています。

また、直近5年間の利用率を見ていくと、一部利用・全社利用とも増加の一途であり、クラウド利用率はあらゆる業界で年々増加していることがわかります。

次に、クラウドサービスの利用理由を見ていくと、「資産、保守体制を持つ必要がない」が最も多く、次いで「どこでもサービスを利用できるから」「安定運用、可用性が高くなるから」といった意見が確認できます。多くの企業において、クラウドの特徴である「ランニングコストの低さ」「場所に縛られない利活用」「分散・冗長化による安定性」は魅力的に映っているようです。

こういったクラウド利用の伸びとは対照的なのが、システムの「運用保守費」です。JUAS(一社 日本情報システム・ユーザー協会)の調査によれば、ITシステム開発費の伸びは前年比13%程度であるのに対し、保守運用費は4%という結果が示されています。※2つまり、多くの企業で運用保守費を維持・抑制しようという動きが強まっているわけです。

一企業あたりの開発費と保守運用費

n=715 IT予算(百万円) 伸び率 構成比
開発費 保守運用 合計 開発費 保守運用 合計 開発費 保守運用
17年度計画 935 1,149 2,084 13.1% 4.0% 7.9% 44.8% 55.2%
18年度計画 827 1,105 1,932 - - - 42.8% 57.2%

クラウドサービスの利用増加に伴う課題

このように「クラウドサービスの利用は増えているにもかかわらず、運用保守の予算は増えない」という状況が、現場の負担につながっているようです。具体的には、次のようなケースが挙げられます。

サービスごと設定・管理工数がかかる

クラウドサービスを複数利用すると、サービス毎に設定・管理・操作方法を習得する必要があります。また、インストールや運用設定(バックアップ、オートスケールなど)、セキュリティ対策などはサービスごとに異なることから、これについても個別に設定・管理が必要です。さらに、サービス間を接続してひとつのシステムとして運用する場合には、接続に関する情報も整理する必要があります。これらは当然、既存の人員で賄わなければならない作業です。

手軽さゆえのサーバーの乱立・負荷増大

誰もが気軽にクラウドサービスを利用できるようになり、かつては情シス部門に依頼していた作業を各事業部門でも行えるようになりました。その結果、管理が分散したり、仮想サーバー運用の負荷が増したりといった弊害が生まれています。例えば、各事業部門が勝手にテストサーバーを増やし続ければ、サーバー稼働台数が倍増し、運用工数が増大してしまいます。各事業部門から「今までは自主的に管理していたが、そろそろ本格的に情シスに任せたい」と管理を委託されたときには、既にカバーしきれないほどの運用工数になっている可能性もあるわけです。クラウドサービスは導入の敷居が低く、テスト的に運用している段階では、その負荷が把握できていないことが多々あります。しかし、本格的な運用フェーズに入ると、予想以上の負荷の大きさに気づくのです。

では、クラウド運用の負荷軽減として、どのような対策が挙げられるでしょうか。ここでは、解決策のひとつとして「相互接続サービス(インターコネクトサービス)」を紹介します。

クラウド運用の負荷軽減・効率化対策とは?

クラウド運用の負荷軽減・効率化対策としては、外部への委託(運用代行サービスの利用)が一般的かもしれません。確かに運用代行サービスは、クラウド運用のコスト軽減対策として有効です。ただし、何らかの事情で自社運用にこだわる場合は、「インターコネクトサービス」の活用が適しているかもしれません。

インターコネクトサービスとは

インターコネクトサービスとは、クラウドサービス・データセンター・自社システムなどを相互接続し、各接続先やネットワーク帯域、セキュリティ設定などを一元管理できる仕組みです。相互接続した各システムは、ポータルサイトからオンデマンドで簡単に管理できます。

インターコネクトサービスは、ソフトウェアのインストールや運用設定までをカバーするサービスではありません。したがって、これらの作業はサービス毎に発生します。しかし、接続設定や帯域、ネットワークセキュリティなどを一元的に管理できるため、運用負荷軽減・効率化につながるでしょう。直感的なUI でブラウザ上から各拠点・サービスの相互接続を管理できるため、ごく少数の人員で運用を賄えます。

さらに閉域網をベースとしたセキュアな接続であることから、複数のクラウドサービスを利用していてもセキュリティリスクを低減できるというメリットがあります。FW(ファイアウォール)やNAT などのネットワークセキュリティ対策を施す場合でも、専用の機器は必要ありません。インターコネクトサービスでは、これらネットワークセキュリティの導入をオプション契約で賄えることが多いため、専用機器の購入・設置・設定などの手間が削減できます。

料金についても、「上限つき時間課金」の採用で、できるだけ無駄が発生しないよう配慮されています。使用時間に応じて課金される「時間課金」をベースに、月額の上限金額が決められているため、ランニングコストが膨れ上がることはありません。

このように運用代行サービスが利用できない場合には、ネットワーク設定・管理の一元化により、クラウド運用を効率化できる可能性があります。

まとめ

この記事では、クラウド運用における課題と、運用負荷軽減対策について紹介してきました。新規サービスの導入・開発を容易に行えるクラウドサービスは、変化の激しい現代のビジネス環境にマッチしています。マルチクラウドやハイブリッドクラウドなど、複数のクラウド環境・サービスを混合させるシステムも珍しくなくなりました。その一方で、種類・数ともに増えるクラウドの存在が、運用負荷の増大を招くことも確かです。

今後も増え続けるクラウド利用を、最小限のリソースで支えるためには、運用負荷軽減の対策が必須になるでしょう。もし、クラウド運用に課題を抱えているなら、運用負荷軽減とセキュリティ向上を同時に達成できるインターコネクトサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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