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レジリエンスとは? ビジネス上のメリットとレジリエンスを高める方法

近年ビジネスの世界で注目を集めている「レジリエンス」とは、危機やストレスから速やかに回復し、柔軟に対応する能力を意味します。本記事では、レジリエンスという概念が企業や従業員にもたらすさまざまな効果に焦点をあて、企業がレジリエンスを高める代表的な5つの方法を詳しく解説します。

レジリエンスとは?

レジリエンスとは?

レジリエンス(resilience)は「回復」「復元」を意味する言葉です。IT分野においては、システム障害やサイバー攻撃などのトラブルに直面した際の復旧する能力を指します。ビジネスにおいては「困難や危機を乗り越え回復する力」、心理学では「ストレスや危機を乗り越える力」という意味合いで使われています。レジリエンスを高めることは、従業員のモチベーションやパフォーマンスの向上につながるとされています。予期せぬ事態への対応力とも関連しており、近年注目を集めています。

レジリエンスが注目を集めるようになった背景

レジリエンスが注目され始めた背景には、コロナ禍や大規模災害の頻発、ウクライナ問題やパレスチナ情勢など、社会情勢やビジネス環境の急激な変化があります。こうした目まぐるしい変化の中で事業を成長させるには、あらゆるリスクを回避して適切に対応していくレジリエンスの高さが必要です。

また、国が推進する「健康経営」の視点から従業員のレジリエンスが重要視されています。従業員一人ひとりのレジリエンスが高まれば、仕事上のストレスやプレッシャーなどさまざまな状況に柔軟に対応できるようになり、結果として組織全体の生産性向上が期待できます。現代社会では、組織全体から従業員一人ひとりまで、さまざまなレベルにおけるレジリエンスの向上が必要です。

レジリエンスという言葉の使い方

レジリエンス経営、防災レジリエンス、などさまざまな言葉と組み合わせて使われることもあります。

レジリエンス経営

レジリエンス経営とは、事業において前例のない困難やリスクに遭遇した際、状況に合わせて柔軟に対応し、危機を乗り越えて成長する能力を指します。組織レジリエンスもほぼ同様の意味で使われている言葉です。

防災レジリエンス

防災レジリエンスは、災害に対して強い回復力を持つ社会をつくる取り組みです。ビジネスの分野では、BCPの策定やデジタル技術を用いた災害対策などを指します。災害発生時に起こり得るリスクを想定した上で必要な対策を講じ、被害を最小限に抑えることにより経済活動の早期回復を目指すことを目的とします。自然災害だけでなく、火災などの人為的な災害、感染症に対応できる柔軟性を組織が備えることは持続性のある社会の実現に不可欠と言っても過言ではありません。

現在、国の取り組みとして国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)が進められており、内閣官房のWebサイトでは、さまざまな事例が紹介されています。

国土強靱化 | 内閣官房
参照元 URL:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/index.html

サイバーレジリエンス

サイバーレジリエンスとは、サイバーセキュリティインシデントの防止と攻撃に対する組織の耐久力・回復力を意味します。

米国立標準技術研究所により「サイバーリソースを含むシステムに対する悪条件・ストレス・攻撃、または侵害を予測し、それに耐え、そこから回復・適応する能力」と定義されています。

サイバーレジリエンスの向上に必要な要素は、サイバー攻撃の発生や被害を防ぐための「予防」、発生や被害の早期「検知」、原因や影響の「分析」、被害を最小限に抑える「対応」です。また、サイバー攻撃の被害を受けた際にシステムやデータを回復する「復旧」、サイバー攻撃の被害から学びを得て新たな対策を講じる「改善」も大切な要素です。

オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークが広まる昨今、多くの企業が快適かつ場所に囚われないインターネット環境と高いセキュリティ性の両立を目指し、さまざまな施策に取り組んでいます。サイバーレジリエンスの向上は、現代社会において非常に重要な課題とされています。

例えば、ハイブリッドワークの一般化に伴うWeb会議のトラフィック増大によるアクセス速度の低下、サイバー攻撃の巧妙化、システムの複雑化に伴う構築・運用コストの増加など、企業が抱える課題は増え続けています。

NIST SP800-160 Vol.2 Rev.1 Developing Cyber-Resilient Systems: A Systems Security Engineering Approach
参照元 URL:https://csrc.nist.gov/pubs/sp/800/160/v2/r1/final

レジリエンスと似ている用語と意味の違い

ストレス耐性との違い

心理的ストレスに耐える力や処理能力を示すストレス耐性は、レジリエンスの構成要素に含まれているものの、ストレスに対する姿勢や目的が異なります。ストレス耐性では「ストレスをどの程度許容できるか」に重点を置きますが、レジリエンスでは「ストレスを受けた後の回復力」まで含まれています。ストレスに耐えるだけでなく、失敗しても立ち上がる能力がレジリエンスにおける考え方です。

ストレスコーピングとの違い

ストレスコーピングとは、ストレスの原因に対処するための手法です。根本の問題解決や回避行動、感情のコントロールなど、ストレスの影響に対処する方法全般を意味します。ストレスコーピングとレジリエンスは、相互に影響を及ぼす関係です。レジリエンスが高ければ、ストレスコーピングの方法を適切に選択・実行できるようになり、ストレスコーピングによりストレスと適切に向き合うことが、スムーズな心の回復につながります。

ハーディネスとの違い

ハーディネスとは、強いストレスを受けても心の健康を維持する性格特性です。レジリエンスはストレスからどのように回復するかを指しますが、ハーディネスはストレスを受けても傷つきにくく動じない強さを表します。言い換えれば、レジリエンスは「回復力」、ハーディネスは「防御力」であり、ハーディネス傾向が高い人ほど、ストレスに対して前向きな姿勢を取り、積極的に対処・攻略を実行できます。

メンタルヘルスとの違い

心の健康そのものを指す言葉として使われるメンタルヘルスは、ストレスの軽減やおだやかな心の状態を意味する言葉です。メンタルヘルスはレジリエンスの上位概念にあたります。レジリエンスを高めて環境に適応していくことは、心の平穏につながります。従業員のレジリエンスが高まり、新たな目標に対して積極的に取り組む姿勢が生まれると、企業はさまざまなメリットを享受できるはずです。

企業としてレジリエンスを高める3つのメリット

企業としてレジリエンスを高める3つのメリット

1. 社会情勢に左右されずに事業を継続できる

企業としてのレジリエンスを高めると、社会情勢や市場の急速な変化を受けた際にも柔軟な対応で事業を継続できます。例えば、新型コロナウイルスの感染症対策において、レジリエンスの高い企業はすぐにテレワークに切り替えたり、オンラインサービスなどの新しいビジネスモデルを開始したりして、危機を乗り越えました。レジリエンスを重視した体制が、社会の変化に対応できる強い組織作りにつながります。

2. 従業員の離職防止につながる

離職原因の1つに従業員のストレスが挙げられます。個々のレジリエンスが高い状態にあると、自身で心身の健康を管理できるため、困難な状況やストレスに対して適切に対処できます。また、レジリエンスが高まれば、自分の仕事に対して自信ややりがいを持てるようになり、前向きな姿勢で業務に取り組めます。結果として、1人ひとりの生産性アップやエンゲージメントが向上するという好循環を生み出すことも可能です。

3. 評価指標につながる

企業を評価する指標としてもレジリエンスの向上は有効であり、投資家などへ自社の価値をアピールする手立てとなります。また、ブランドイメージの向上や採用活動における他社との差別化、さらには働きやすさの改善により人材の採用と定着が進み、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)といった企業の社会的責任を果たすことにもつながります。

企業がレジリエンスを高める5つの方法

企業がレジリエンスを高める5つの方法

1. 従業員のレジリエンスを強化する

従業員1人ひとりのレジリエンス向上は、企業のレジリエンスを高めることに直結します。具体的には、レジリエンスを学ぶための研修やマニュアルを作成するほか、気楽にコミュニケーションを取れるランチ会やティータイムなどの実施、部下のモチベーションを上げる「レジリエント・リーダー」を育成するなどの方法が有効です。従業員自身のセルフケア能力を高めると同時に、風通しの良い職場にするための仕組みを作ることも大切です。

2. 職場をチャレンジできる環境にする

自発的な行動を促す環境を整えれば、企業のレジリエンスも自ずと高まることが期待できます。
仕事に対する目標やビジョンを明確にして意欲を高めるほか、仕事に対する裁量権や責任を与え、自主性を高めることも有効です。また、業務に対するフィードバックや評価も成長の促進につながります。従業員に対して自分の仕事に対する新しい挑戦や学びの機会を提供し、創造性を高める意識が必要です。

3. ダイバーシティを推進する

多様性を意味するダイバーシティとは、性別・年齢・国籍・人種・宗教など、さまざまな属性や価値観を持つ人材が活躍できる環境を意味します。ダイバーシティの推進に有効な施策として、育児・介護休暇の推進やフレックスタイム制、リモートワークの導入が挙げられます。また、ダイバーシティに関する研修や相談窓口の設置、文化や属性を超えたコミュニケーションの形成も重要な要素です。多様な視点や経験を持つ人材が集めることで、イノベーションや問題解決能力の向上が期待でき、結果として変化に強くなります。

4. ゼロトラスト概念を導入する

「何も信頼しない」というゼロトラストの概念により、セキュリティ対策を推進することも大切です。
「ネットワークの内側は信頼できる」という前提をなくし、ネットワーク内外で境界を作らないセキュリティ対策では、通信の暗号化や常時監視、多要素認証、接続デバイスの監視、アクセス権限の管理といった施策が求められます。

ゼロトラスト概念によるセキュリティ対策は、サイバー攻撃などによる情報流出を防ぎ、企業がビジネスの危機にさらされるリスクを低減します。

5. BCPに取り組む

BCPとは事業継続計画(Business Continuity Planning)の略称であり、災害や事故、感染症などの有事において事業を継続するための計画を指します。基幹システムや本社業務の分散化、情報システムのバックアップ体制の構築、テレワークの推進などが具体的なBCP施策の例です。柔軟性や信頼性の低いネットワークでは、通信の障害や混雑が発生した際に、迅速な対策を講じられません。

災害や事故などによるサービス提供停止の期間が長期化すれば、ブランドイメージや信頼の低下を引き起こす可能性があります。BCPの取り組みが企業の危機管理能力を高め、レジリエンスの向上を実現に導きます。

レジリエンスの2つの因子

レジリエンスの2つの因子

レジリエンスを理解するためには、下記の2つの因子についても知っておく必要があります。

1. 危険因子

レジリエンスにおける危険因子は、困難な状況そのものやストレスなどを指します。個人単位から社会全体までさまざまなレベルで存在し、さらに内面的・外面的の2つに分類されます。

例えば、個人の場合、自己肯定感の低さやネガティブな思考パターン、感情コントロールの欠如などが内面的な危険因子です。一方、外面的な危険因子として、家庭や職場の問題、人間関係のトラブル、経済的な困窮、健康上の問題などが挙げられます。社会全体や企業単位では、不正や商品の不備、行政・業務上のミスや事故などが内面的な危険因子とされ、戦争や災害、感染症対策などの大規模な危機が外面的な危険因子に該当します。これら危険因子を克服することがレジリエンスの目的ともいえます。

2. 保護因子

ストレスなどを乗り越えるために必要な要因が保護因子です。個人の性格や考え方(個人内因子)や、問題解決能力(後天的能力因子)のほか、外部からのサポート(環境因子)といった3つに分類されます。企業における保護因子としては、企業文化・風土、組織構造、人材その他ステークホルダーとの関係性などが挙げられます。このように保護因子は、元々の特性や性格だけでなく、獲得した能力や自己を取り巻く環境などが複雑に絡み合って構成されています。

レジリエンスを構成する6つの要素(レジリエンスコンピテンシー)

レジリエンスを構成する6つの要素(レジリエンスコンピテンシー)

危険因子を克服しつつ、レジリエンスを高めるためには、下記の6つの要素を意識しましょう。

1. 自己認識(Self-Awareness)

自己認識とは、自身の感情や思考、強みと弱み、価値観・人生観を正しく認識することです。自己認識が高い状態にあると、逆境に陥った際も自分や状況を客観的に認識できるため、現状を脱して成長に向けた第一歩を踏み出せるようになります。自己認識を高めるためには、普段から自分の思考パターンや行動原理、成果やミスなどを観察し、自己分析を実行することが大切です。

企業における自己認識は、ミッション・ビジョン・バリューなどの浸透度、中期経営計画を全員が正しく理解しているか、相互にフィードバックして軌道修正していく文化があるかなどで測れるでしょう。従業員全員が自社をどう認識しているか、ベクトルがきちんと揃っているかはレジリエンスに影響します。

2. 自制心(Self-Regulation)

目標に対して自身の感情や思考を変化させる能力は自制心と呼ばれ、目標を達成するために重要な資質とされています。セルフコントロールとも呼ばれる自制心は、自身の感情を制御して状況に対応できる能力です。自制心は、日ごろの意識の持ち方を変えることにより鍛えることが可能です。デスクやスマホに意識すべきことを表示しておくなど、物理的に意識を表面化させる仕組みを作ったり、常に中長期的な視点で物事を考えたりする自制心を鍛えられます。

企業における自制心は、コンプライアンス遵守の徹底度合いといったわかりやすいものから、短期ではなく中長期で意思決定をする能力があるか、自社が対象とする事業範囲や対象顧客の自主的な制限があるか、赤字になった事業などを正しくクローズすることができるかなど、さまざまな要因からわかります。

3. 自己効力感(Self-Efficacy)

自己効力感とは、目標を達成するために必要な能力があると認識する力です。自己効力感が高いと、逆境に遭遇した際も「自分はできる」と自信を持てるようになり、積極的に行動できます。自己効力感は、自身の行動により成功体験を積み重ねることで高められます。また、身近な成功体験の観察やロールプレイによる疑似体験も自己効力感の強化に有効です。

企業における自己効力感は、成功体験を積むことで生まれる挑戦や失敗への許容度として現れます。困難な状況に陥ったときに、問題に正面から向かっていくか、回避するかは積み上げられてきた企業の経験とそこから生じる企業文化、風土によって変わります。自己効力感が高い企業ほど変化に対して前向きにとらえて行動を起こしやすくなります。

4. 現実的楽観性(Optimism)

問題に直面した際、肯定的な視点を持ちながら現実を受け入れられるのが現実的楽観性です。「未来は良くなる」と自信を持ち、そのために必要な行動を起こせる能力を意味します。現実的楽観性が高いと、危機や困難に陥ってもポジティブな思考を維持できるようになります。「何もかもうまくいく」と考える楽観性とは違い、ポジティブな面とネガティブな面の双方を受け入れた上で、将来の成功や進歩に焦点を当てる意識が大切です。

たとえば感染症の流行や大きな地震・台風などの有事の時に、現実的楽観性を備えている企業のほうが着々と打ち手を出し続けていける可能性が高いです。いつか事態が好転すると前向きに考えて、その未来に備えることができるためです。

5. 精神的柔軟性(Mental Agility)

精神的柔軟性とは、現状や物事を多角的に捉え、本質的な部分に目を向ける力です。精神的柔軟性が高いと、逆境に遭遇しても客観的・俯瞰的に物事を受け止めて、最適な解決策を見つけられるようになります。自分の固定観念に疑問を持ち、他者の視点や情報を取り入れたり、自分の感情や反応を観察したりすることが大切です。行動や習慣に変化を起こし、新しい経験を得ることが柔軟な視野の獲得につながります。

企業における精神的柔軟性を高める方法としては、ダイバーシティ&インクルージョンの推進があります。従業員の年齢、性別、国籍、経験、得意分野などが多様になっていることは重要です。組織の視野を広げて柔軟に意思決定することにつながります。

6. 人とのつながり(Connection)

前項までの1~5が内面的要素であるのに対し、人とのつながりは外的要因としてレジリエンスを向上に関係する要素です。逆境に遭遇した際、人とのつながりが強ければ、1人ではなく仲間と一緒に立ち向かえるため個人にかかる負担は軽減されます。人とのつながりを強めるには、自分の感情・思考・行動の開示、可能な範囲で他者と共有する意識が必要です。また、他者のサポートや支援を拒否せず、素直に受け入れる姿勢も大切です。

企業においては、従業員はもちろんその家族や退職者とのつながり、取引先や株主などとの関係性、異業種含めた他社との交流など、さまざまな人との関係性が強ければ強いほど変化に強くなります。

まとめ

まとめ

レジリエンスとは、困難やストレスに直面した際に回復・適応する能力のことです。企業としてのレジリエンスを高めると、事業の継続性や競争力、持続性の向上など多様なメリットが享受できます。レジリエンスの向上に有効な施策は多々ありますが、テレワークが普及した昨今、従来のセキュリティを見直して適切なセキュリティ対策を実行することや、万が一の事態を想定した上で十分にすることも重要です。

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