物流危機から期待視されるDX
物流業界はおよそ24兆円でGDPの約5%を占める基幹産業だ。日々商品を運び、まさに生活のインフラ産業といって差し支え得ない産業だが、担い手不足からその将来は不安視されている。
特に輸配送を支えるドライバーの人口は、高齢化の影響により2017時点の83万人から2023年には72万人まで減少すると予想されている。一方で、ECなどの需要は拡大していて、同じ2023年には96万人のドライバーが必要になると考えられており、24万人分の需給ギャップが生じることになる。(出所:BCGレポート)
結果として、モノが運べない状況が予想されており、メーカー各社にとっては売上対物流費が上昇するだけでなく、安定した商品供給が難しくなる。これは、消費者にもコスト面、便益面で負担がかえってくることになり、これらは「物流危機」と呼ばれ、国土交通省をはじめとした政府、各企業、メディアで社会の重要課題とされている。
しかし、この問題の一方で、実際の物流量に対してトラックとドライバーが根本的に不足しているかと言われば、答えは否だ。一般的に積載率は約4割(出所:国土交通省)と言われており、トラックが空で動く時間、空車率も少なくはない。さらに、積み下ろし時間等でトラックドライバーは非効率な業務を強いられており、このような作業の効率性があがれば報酬が増え、結果的にドライバー人口も増える可能性もある。つまり、生産性が現状から劇的に改善すれば、需給ギャップの課題が一定解決出来る可能性があるのだ。そういった理由から、物流DXが期待されているのだ。
現状の生産性の低さの原因は、「アナログな業務」と「多重下請け構造」だと我々は考えている。業務をデジタル化し、運送会社同士が複数の会社を通さず、極力荷主企業と直接マッチングできるような仕組みができることでその問題も解決でき、それを実現するのがDXである。