前回も冒頭でお話したように、3年前の栃木SCは予定をホワイトボードで共有し、メールもWindowsに標準で付属するOutlookを使用していた。
SaaSらしいサービスは全くと言っていいほど利用しておらず、ほとんどの資料がローカルのサーバーで管理されていた。
しかもそれはまだ良いほうで、スクールの申込などの外部からの情報伝達にはFAXがバリバリ現役で使われており、ほとんどの顧客情報は紙のままだった。
この状況を見て、いろいろとやりたいことは思いついた。しかし、いきなり東京のIT企業から来た人間が「顧客管理にSaaSを導入しましょう!」と言っても、いきなり過ぎて受け入れられないだろうし、実際のところそんな予算組みもされていない。
また、IT企業と違って皆がデジタルツールを得意としているわけでもない。社内でこういった新しいデジタルツールを導入する際は、それを利用する人たちに「難しそう」とか「覚えることが増えそう」と思われないかがとても重要である。
実際に、一発目に使いこなせないようなツールを導入すると、それがトラウマになって「デジタルツールアレルギー」ができてしまう。それは避けなければならないと思った。
そんなわけで、栃木SCではDXの第一歩としてGmailとGoogleカレンダーを導入することにした。この2つを選んだ理由は、多くの社員がプライベートで使ったことがあるサービスだったからだ。これであれば「難しそう」と思われる心配はないだろうと考えた。また、社内で完結するシステムであることも重要なポイントであった。地方DXにおいては、対顧客が絡むと、顧客側のデジタル・リテラシーの問題で思うように進まなくなるケースが多々あるからだ。
実際、この2つのサービスの導入はとてもスムーズだった。
設定もこちら側で一括で行えるため、個人がやることはGoogleに会社のメールアドレスとパスワードでログインするだけ。とくに「わからない」「使いづらい」といった声は聞かれなかった。