SWG(セキュアWebゲートウェイ)で
クラウド時代のセキュリティを守る!
なぜ今SWGが必要とされるのか

デジタルトランスフォーメーション(以下DX)が加速する現代、企業のセキュリティ戦略は常に進化し続けています。そんななか、SWG(セキュアWebゲートウェイ)は、新たなセキュリティ課題に対応する効果的な解決策の1つとして注目されています。SWGは企業のセキュリティを確保するために欠かせない存在となっていますが、なぜ今必要とされているのでしょうか。
本記事では、SWGの基礎知識から必要とされる理由、主要機能などについて解説していきます。

SWG(セキュアWebゲートウェイ)でクラウド時代のセキュリティを守る!なぜ今SWGが必要とされるのか

SWG(セキュアWebゲートウェイ)とは?

SWG(セキュアWebゲートウェイ)とは?

SWGは、企業のインターネット通信を包括的に保護するセキュリティソリューションです。従来のプロキシーサーバーの機能を大幅に拡張したもので、ユーザーとインターネットの間に配置されます。トラフィックを高度にフィルタリングする技術として、SWGは注目を集めています。

おもにクラウドベースで提供されるSWGは、企業のデータフローを包括的に管理し、規制することが役割です。例えば、悪意のあるWebサイトへのユーザーのアクセスをブロックしたり、クラウドアプリケーションやSaaSサービスの利用を制御したりすることで、情報漏洩などを防ぐことが可能です。

テレワークの普及やデジタル環境の急速な変化にともない、SWGは企業にとって不可欠なセキュリティ対策として、その重要性を高めています。従来の境界型防御モデルの課題をクリアし、より柔軟で包括的な防御メカニズムを提供するソリューションとして、多くの組織で導入が進んでいます。

現代のセキュリティ課題に有効なSWG

現代のサイバーセキュリティ環境は急速に複雑化し、サイバー攻撃の脅威は年々深刻化しています。警視庁が公開している資料によれば、2023年のサイバー犯罪の検挙件数は3,003件でした。フィッシングの報告件数は2022年の96万8,832件に対して、2023年は119万6,390件と大幅に増加しており、インターネットバンキングに係る不正送金事犯とともに過去最多を記録しています。ランサムウェアの被害件数は、2022年が230件であるのに対し、2023年は197件と少し減りましたが、依然高い水準で推移している状態です。

このような脅威の深刻化に加え、コロナ禍以降、リモートワークの普及とクラウドサービスの急速な業務活用により、企業のIT環境は大きく変化しました。そのため、従来の境界型防御モデルでは、変化した企業のIT環境における十分な防御が困難となっています。

このような背景から、ゼロトラストセキュリティの考え方が注目されるようになりました。そして、SWGはゼロトラストセキュリティを実現するためのソリューションの一つとして、重要な役割を担っています。

SWGの主要機能

SWGの主要機能

SWGは、企業のネットワークセキュリティを多角的に防御する機能を備えています。ここでは、SWGの主要機能の概要やできることについて簡単に解説します。

URLフィルタリング

URLフィルタリングは、悪意のあるWebサイトや業務に無関係なサイトへのアクセスを防止することで、組織のネットワークセキュリティを強化する機能です。閲覧できるサイトを指定するホワイトリスト方式や、閲覧不可のサイトを指定するブラックリスト方式を活用し、管理者は特定のカテゴリやサイトへのアクセスを詳細に制御できます。

マルウェアの検出・ブロック

SWGには、最新の脅威情報に基づいてリアルタイムにウイルスや悪意のあるプログラムを検知・駆除する機能も付いています。マルウェアの特徴的なパターンが定義されたシグネチャファイルとのパターンマッチングにより、既知の脅威を効果的にブロックします。さらに、通常利用する領域から隔離した仮想環境を構築するサンドボックス技術を活用することで、未知の脅威に対しても柔軟かつ迅速な防御を実現します。

データ漏洩防止(DLP)

DLP(Data Loss Prevention)は、組織の機密情報を保護する重要な仕組みです。組織内のデータを機密性や重要度に基づいて分類し、特に重要なデータの社内外での送受信を監視します。例えば、クレジットカード番号や機密文書などの重要な情報が不適切に共有されることを防ぎ、内部犯行やヒューマンエラーによる情報漏洩リスクを軽減します。

SSL/TLS通信の検査

SSL/TLS通信の検査は、暗号化されたトラフィック内に隠された脅威を検知する重要な機能です。HTTPSで暗号化されたWebサイトは通信内容をチェックできないため、通常は脅威を検知できません。そこで、SSL/TLS通信の検査機能により、HTTPSで暗号化された通信を復号(暗号化されたデータを戻すこと)し、マルウェアや不正なコンテンツを詳細に検出できるようにします。この機能によって中間者攻撃などを防ぎ、セキュリティリスクを軽減することが可能です。

アプリケーション制御

アプリケーション制御は、企業が承認していないアプリケーションの使用を厳格に制限する機能です。ユーザーや部署ごとに必要なアプリケーションを管理し、不要なアプリケーションへのアクセスをブロックします。アプリケーション制御機能により、シャドーIT(企業が把握していないITツールやサービスを利用すること)や情報漏洩のリスクの軽減が期待できます。

IPアドレスの匿名化

IPアドレスの匿名化とは、クライアントのWebブラウザの代理としてアクセスし、外部のWebサービスに対してクライアントのIPアドレスを秘匿する機能です。SWGはプロキシーとして動作するため、クライアントのWebブラウザの代理となります。IPアドレスの匿名化は、サイバー攻撃者からのターゲティングを防ぎ、ユーザーのプライバシーを保護する効果があります。

リアルタイム脅威検知

リアルタイム脅威検知は、最新の脅威情報を即座に分析し、未知の攻撃パターンや危険なコンテンツを迅速に特定する高度な機能です。AIや機械学習を活用することで、発見された脆弱性への対策がなされる前に行なわれるゼロデイ攻撃や、進化するサイバー脅威に対して効果的かつ迅速な防御を実現します。

コンプライアンス管理

コンプライアンス管理とは、企業の通信トラフィックを一元的に管理し、法的規制や業界基準への準拠を支援する機能です。通信ログの取得と詳細な分析を通じて、セキュリティポリシーの遵守状況を継続的に監視し、監査に必要な証拠を適切に提出できるようにします。

SWGとCASBの違い

クラウド時代のセキュリティソリューションとして、CASB(Cloud Access Security Broker)もSWGと同様に重要視されています。CASBは、クラウドサービスの利用を監視し、利用状況の可視化や脅威検知などを行なうソリューションです。SWGとCASBは、どちらも通信を監視する点では共通していますが、トラフィック対象範囲と機能が異なります。

SWGは、インターネット経由のWebトラフィック全般を包括的に保護するセキュリティソリューションであり、Webアクセスの安全性を確保します。対して、CASBはクラウドサービスの利用時の制御に特化したものです。

企業がセキュリティを強化するためには、これらのソリューションを相互補完的に活用することが重要です。SWGとCASBを組み合わせることで、インターネットとクラウド環境の両面から包括的なセキュリティ対策を構築でき、多様化するサイバーリスクに対しても効果を発揮するでしょう。

SWGとWAFの違い

WAF(Web Application Firewall)もSWG同様にWebセキュリティに関わる重要なツールです。両者のおもな違いは、防御する対象と機能にあります。SWGは社内ネットワークからインターネットへのアクセスを安全に保つためのゲートウェイであり、防御する対象はユーザーです。対して、WAFはWebアプリケーションへの攻撃を防御することが目的であり、防御対象はWebサーバーになります。

機能面では、SWGはプロキシーとして機能し、高度な標的型攻撃の検出や安全なWeb閲覧を実現します。WAFはWebアプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃である、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの攻撃から、Webアプリケーションを保護するのです。

つまり、SWGはユーザーのWebアクセスの安全性を確保するのに対し、WAFはWebアプリケーションという特定の対象を防御する、という違いがあります。近年では、SWGとCASB、WAFなどの機能を統合したソリューションも登場しており、より包括的なセキュリティ対策が実現できるようになっています。

企業のセキュリティ戦略におけるSWGの将来展望

企業のセキュリティ戦略におけるSWGの将来展望

DXの急速な進展にともない、企業のセキュリティ戦略は従来の防御型から、より能動的で包括的なアプローチへと進化しています。クラウドサービスやリモートワーク、IoTデバイスなどの普及により、セキュリティの境界線は曖昧となり、複雑な脅威への対応が求められているのです。

セキュリティの分野でもAIの発展は期待されており、SWGとの融合で精密なリアルタイム検知や予測分析、異常行動の特定などが可能になると予想されます。今や、企業のセキュリティに対する投資は、企業の持続的な成長と信頼性を守るための戦略的な投資として認識されつつあります。企業におけるサイバーセキュリティは、単なる防衛手段ではなく、企業競争力を高める重要な要素となっているのです。

今後のSWGは、単体のソリューションではなく、ゼロトラストモデルやSASE(Secure Access Service Edge)などの新しいセキュリティアーキテクチャに統合され、より動的で柔軟な次世代セキュリティモデルへと進化していくことが予想されます。すでに、従来の境界型防御モデルから、常に検証を行ないつつ、より動的で柔軟なセキュリティモデルへの移行が進んでおり、SWGはその足がかりとなる存在です。

まとめ

SWG(セキュアWebゲートウェイ)は、従来のプロキシーサーバーの機能を大幅に拡張し、企業のインターネット通信を包括的に保護するセキュリティソリューションです。サイバー脅威の深刻化や、大きく変化する企業のIT環境における適切なセキュリティ対策の一つとして、SWGは欠かせない存在となっています。

SWGも含め、近年のネットワークセキュリティ対策は、単一のソリューションで行なうものではありません。さまざまなソリューションを組み合わせて対策することが一般的ですが、運用・管理が難しく導入が進まないケースも見受けられます。

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