講演レポート

働き方改革と企業価値

ベンチャー企業におけるスピード経営
~やればできる!「最もパフォーマンスが出せる働き方改革」~

「働き方改革」は、企業経営の大前提ともいえる存在です。しかし、自社の価値を向上するという改革の真の目的にまで到達した企業はどれほどあるのでしょうか。「第16回 itSMF Japanコンファレンス/EXPO」に登壇した、株式会社Phone Appliの石原洋介代表取締役社長の講演から、コミュニケーションを軸にした働き方改革のヒントを探ります。

株式会社Phone Appli
代表取締役社長
石原洋介氏

1997年株式会社APC Japanに入社。2000年シスコシステムズ合同会社に入社し、コラボレーションエバンジェリストを担当。2016年弊社代表取締役社長に就任。

働き方改革の目的は残業削減にあらず

Phone Appliは、「コミュニケーション改革企業No.1」を目指す、IT系ベンチャー企業です。

同社の代表的なサービスには、社員や顧客情報などを組織で一元管理できるクラウド電話帳「連絡とれるくん」、オフィスにいる社員の居場所が見える「居場所わかるくん」があります。これらの提供を通し、さまざまなビジネス課題の解決、働き方改革の推進に貢献しています。

石原氏は自社での経験から、働き方改革について多くの日本企業が「残業時間の削減」をテーマに掲げていることに異を唱えます。

「働き方改革の目的は残業削減ではなく、企業の価値向上にあります。そのためには、社員の力を最大限に引き出し、社員間を柔軟に結びつけ、健康的に働ける環境をつくらなければいけません」(石原氏)

IT+人事制度による透明性の高い環境整備

Phone Appliは、「変化を恐れない」「プロフェッショナル」「スピード」「チームワーク」「感謝」「健康」という6つのカルチャーをベースに、ユニークな“IT+人事制度”をつくり上げています。

まず紹介したいのは、会社と社員が同じ方向に向かって成長するためのツール「V2MOM」です。これは、「Vision(どこを目指すのか?)」「Value(何を大切にするのか?)」「Methods(そのために何をするのか?)」「Obstacles(達成に向け乗り越えるべき壁は何か?)」「Measures(どのような結果を判断するのか?)」を明確化したもの。半年に1回のペースで全社員が作成し、Salesforce上ですべての社員に公開されます。

「V2MOMは、社長、役員、部長、課長、担当の順につくっていきます。そうすることで、全社員がV2MOMを達成できれば、会社の目標が達成される仕組みになっています。一般的な会社の人事考課は上司と部下の間で閉じがちですが、私たちは全社員に公開して透明化し、人事考課の品質の平準化を図っているのです」(石原氏)

IT+自然による快適に働ける環境づくり

人事制度と合わせて注目したいのが、「CaMP」(Collaboration and Meeting Place)と名付けられたオフィスです。

壁のないオープンな空間、天然アロマの芳香、鳥のさえずりなどの自然音、随所に配置された観葉植物など、気持ちのいい自然が感じられるスペースになっています。

「かつてオフィスは職場と呼びましたが、PCやスマホがあればどこでも仕事ができる現在はオフィスが職場とは限らなくなっています。オフィスに求められる1つめの役割は、みんなが会える、コミュニティーがつくれる場所であることです。だからセキュリティを考慮しつつ、できるだけ壁を無くしました。もう1つは、どこよりも気持ちよく、快適、効率的に働ける場所であることです。そこで自然をモチーフにしたオフィスをつくりました」(石原氏)

「最高のビデオ会議環境を配置したミーティングルームに加え、食事を楽しみながらブレストができるファミリーレストランのようなエリア、資料作成に適したモニターを2台配置した作業スペース、上司と部下が面談で話すためのブース、勉強会や食事ができるラウンジもあります。 また、オフィスのどこにいても、“連絡とれるくん”“居場所わかるくん”を使うことで、円滑なコミュニケーションがとれるようになっています」(石原氏)

本記事の内容をもっと知りたいという方のために、Phone Appliのオフィスにおけるコミュニケーション活性化方法などについてさらに詳しくまとめた「ホワイトペーパー」を用意しております。ぜひダウンロードの上ご覧くださいませ。

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