講演レポート

顧客経験の向上と
オペレーション効率化を目指した
マネージドサービスにおけるDXの実現
NTT コムエンジニアリングは、エンタープライズの SI 案件に対し、複数の運用フロントにて24時間対応のオペレーションを行っています。これまで各運用フロントは、それぞれの経験値を基に独自のオペレーションを行っており、システムもサイロ化されている状態でした。
そのため、手作業でのオペレーションも多くあり、お客さまへの可視化や全社最適の効率化などのさまざまな課題がありました。今回は、これらの課題を解決するため ServiceNow を活用し、お客さま体験の向上と効率化を目指したマネージドサービスの DX について、ご紹介させていただきます。

NTTコム エンジニアリング株式会社
スマートオペレーションサービス部
オペレーションマネジメント部門
担当課長
三宅 広一郎 氏
ServiceNow によるマネージドサービスでお客さま企業の本来業務集中を実現
企業の IT インフラが複雑化、高度化するにつれ、その運用や保守には高い知識や専門性が求められるようになっており、そうした業務が企業内部の IT 部門に少なくない負荷になっています。
こうした IT インフラの管理を外部の専門業者にアウトソースし、IT 部門の負荷を軽減しつつ、安定したシステム運用を実現するのが、マネージドサービスです。
「日々進化し複雑化している ICT 環境の管理にお客さまが忙殺されることは、本業に投入すべきリソースを割くことになり、ビジネスの進展を考える上で好ましいものではありません。私たちは、国内外のさまざまなテクノロジー、サービスを提供してきた実績をもとに、ICT のご提案、構築、運用までをワンストップでご提供し、オペレーションの一貫性と即時性を実現し、お客さまが安心してビジネスに集中できる、安定した ICT 環境をお届けしています。そしてマネージドサービスの軸となるのが『ServiceNow』です」
こう語るのは、NTT グループの一員として、ネットワークからソフトウェア、ハードウェアまで、多くの企業のマネージドサービスを担う NTT コムエンジニアリングで、マネージドサービス向けオペレーションプラットフォーム開発のプログラムマネージャーを務める三宅広一郎氏です。

個別最適化、手動による管理などサービス提供側での不合理が課題に
まず1つめの課題は、お客さま対応するオペレーションチームでの業務のサイロ化でした。
「われわれのマネージドサービスはさまざまな業種の、数にして500以上のお客さまにご利用いただいています。ただそのお客さまを担当するオペレーションチームは、これまでの歴史的な経緯から複数に分かれていて、それぞれが独自のオペレーション手順により運用していました。そのため、部署ごとのノウハウの交換や交流は少なく、個別最適化されていたことから、全社的な効率化が妨げられている状態だったのです」
「2つめは、コミュニケーションの方法です。私たちのオペレーションチームはお客さまとのやりとりにおいて、メールと電話を主なツールとして使っていました。これは日常業務においては非常に有用ですが、大規模なネットワークトラブルなどインシデント発生時には、お客さま対応するオペレーター、エスカレーション先となる社内の対応部署がお客さま対応とトラブル対応の双方に忙殺され、お伝えすべき状況や情報をタイムリーにご連絡できないケースが多々ありました」
さらに、マネージドサービスそのものを管理する仕組みも、改善が求められていました。
「私たちのマネージドサービスは、24時間365日の体制でオペレーションを行っています。そしてお客さまごとにマニュアルやフローがあり、運用のきめ細やかさや柔軟性といった部分で大きなメリットとなっていました。しかしそうしたマニュアルやフローは Excel や PowerPoint での管理となっていて、インシデント発生時には連絡を受けたオペレーターが手作業でそうしたファイルを確認し、手動で故障切り分けを行い、関係各所へのエスカレーション、お客さまへの初動通知を行っていました。そのため、大規模な故障が発生したときなどは、膨大な処理の負荷がオペレーターにかかり、大きなストレスとなっていたのです」

標準で備える豊富な機能と拡張性でオペレーションの負荷を減らし CX を向上
三宅氏は、ServiceNow の具体的なメリットを以下のように解説します。
「ServiceNow 導入にあたっては、これら課題の解決のほか、具体的な目標は、顧客価値の拡大、オペレーションミスの削減、スケーラビリティの改善、そしてオペレーションコストの削減を具体的な目標と定めました。選定理由の1つめは、標準で備えるポータル機能により、インタラクティブなコミュニケーションが可能であること、またさまざまなウィジェットの活用で、私たちが求めているお客さまへのオペレーション状況の可視化やコミュニケーションの可視化が容易であるということです。そして2つめは、さまざまな API により、他システムとの容易な連携が可能です。3つめは、セキュアなデータ分割により、複数のオペレーションチームが利用する環境でも、それぞれがアクセスできるデータを限定することで、セキュリティを確保することができます。4つめは、CI 情報、つまりお客さまのサーバーやネットワーク機器の情報を自動的に取得し、CMDB というデータベースで一元管理できることで、これは手作業中心のオペレーションから自動化されたオペレーションへの大きなカギとなります。そして最後となる5つめは、開発の柔軟性です。コアな開発は私たちの開発チームが担当しますが、それぞれの案件で必要な開発は、各オペレーションチームがノーコード、ローコードで実施することが可能で、より迅速な対応が可能となります」

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