NTTコミュニケーションズは、音声データをテキスト化して専門のアナリストが分析し、コンタクトセンター運営のさまざまな課題を解決するサービス「VoC分析サービス」を提供しています。VOC(Voice of Customer)とは、顧客の声のことで、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上が課題化するコンタクトセンターにおいて重要な指標となっています。このVoC分析を通して、お客さまのサポートに努めるサービスマネージャーがいます。
今回は大きな変革期を迎えているコンタクトセンター業界の最前線で活躍する、丸山広美サービスマネージャー、木本彩夏サービスマネージャー、二人のサービスマネージャーの横顔に迫ります。
NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の丸山広美と木本彩夏は、ソリューションサービス部第二マネージドソリューション部門第八グループのサービスマネージャーです。丸山サービスマネージャーはオペレーターの育成支援、応対品質の向上といったヒューマンリソース側、木本サービスマネージャーはコンタクトセンターを構成するシステムの技術的な側面から、コンタクトセンター運営の支援に携わってきました。
丸山サービスマネージャーは、近年、コンタクトセンターは変革期を迎えていると語ります。「ひと昔前の業務効率化を中心としたコストセンターという位置付けから、現在は電話、Web、メール、SNSといった多様なチャネルを横断したCXの実現が求められるようになっています。多くのコンタクトセンターでCX向上のためにさまざまなサービスとシステムの導入が進んでいますが、想定していた成果が出ない、うまく使いこなせないというお悩みを抱えるお客さまも少なくありません。そうした課題を解決することは、私たちサービスマネージャーの大切な仕事となっています」
NTTコミュニケーションズ株式会社
ビジネスソリューション本部
ソリューションサービス部
第二マネージドソリューション部門
第八グループ
主査 丸山広美
人材育成、営業を経て、現在は保守運用を担当しています。得意分野は、コンタクトセンターの運用です。日々の業務では、「前向き」でいることをこだわりに、自分の売りであるコミュニケーションスキルを活かしながら、お客さまをサポートしています。休日には、料理をして過ごします。
木本サービスマネージャーは、その理由について説明します。「お客さまがシステムやサービスの『導入フェーズ』、導入後の『運用フェーズ』を別々に考えていることが一因として考えられます。システムやサービスを導入した後は自社で回す、あるいはベンダーと別のコンサル会社に依頼するといったケースは珍しくありません。導入フェーズにとどまらず、導入後に効果が出るまできちんとサポートするのが私たちの使命です」
コンタクトセンターの抱える課題を解決するファーストステップは、サービスマネージャーによるコンサルティングです。二人のサービスマネージャーは、それぞれの立場から異なるこだわりを持ってコンサルティングに挑んでいるといいます。
丸山サービスマネージャーが大事にしているのは、「スピード感」です。「システム、サービスの導入は半年、1年がかりになることも珍しくありません。それでも、お客さまは一刻も早く解決したいために、私たちコンサルに声をかけてくださるのだと考えています。ですから、『その場でできることはすぐにやる』を自分のテーマに、お客さまからのご相談は即対応による素早い課題解決を心がけています」
一方、木本サービスマネージャーはシステムや機能にとらわれない「柔軟な対応」を大事にしています。「お客さまにとっては、システムの構成や機能よりも、使い心地の良さ、効果的な回し方、導入によって解決できる課題、得られるメリットなどが重要です。コンサルをする際には、お客さまの視点から、お客さまの利益に結びつけるにはどうすればいいのかをお話しすることに力を入れています」
NTTコミュニケーションズ株式会社
ビジネスソリューション本部
ソリューションサービス部
第二マネージドソリューション部門
第八グループ
木本彩夏
NTTコミュニケーションズ入社後、コンタクトセンターのアウトソーシングを担うチームで、コンサルティング・セールス、さらにセンターの業務プロセス改善、新規ソリューション開発に従事しています。新たなコンタクトセンターソリューションの開発においては、ダッシュボード開発のコアメンバーとして頑張っています。
海外旅行が大好きで休みの度に旅行に出かけています。最近ではサービス開発に活用できるよう、UXデザイン、ワークショップデザインについて勉強中です。
ヒューマンリソース側とシステム側、もともとは別アプローチを行っていた二人のサービスマネージャーを結びつけるきっかけとなったのが「VoC分析サービス」です。これはお客さまの応対履歴を音声マイニングでテキスト化。ビッグデータを分析し、コンタクトセンターの改善や変革の指標について明確化につなげるサービスです。
コンタクトセンターによって受電する内容、ユーザー層は異なり、お客さまの抱える課題もさまざまです。そのような潜在的な課題をコンサルティングで明らかにしていくことが、サービスマネージャーの仕事だといいます。
「テキスト化したビッグデータを分析し、オペレーターの教育に使う、FAQとチャットボットによる新たな窓口をつくる。あるいは、商品やサービスに関する声が多ければ、マーケティング部門、開発部門に展開して品質向上、新商品の開発に役立てることもできます。『VoC分析サービス』は、直近に解決すべき課題を見極め、提案するためにあります」(木本サービスマネージャー)
VoCは、現場でのトライ&エラーを繰り返し、データ分析を起点としてPDCAを回して改善活動を続けていくことに意味があると丸山サービスマネージャーは明かします。
「新たなサービス、システムを導入すると、経験値の高い一定数の方はすぐに使いこなせます。しかし、それでは十分ではありません。経験やITリテラシーに関係なく、誰もが使いこなせるよう補正するのが『VoC分析サービス』の役割です。
お客さまにとっては、費用面も気になるところだと思います。私たちは自社サービスにとらわれることなく、お客さまの費用負担を抑えて、効果を最大化するサービスを組み合わせることがベストな提案だと考えています。お客さまの都合を考慮した提案を心がけています」(丸山サービスマネージャー)
現在、「VoC分析サービス」は、金融業、保険業、メーカーなど幅広い分野の企業に導入されています。NTT Comの案件の多くは検証段階であるものの、すでに別チャネルで展開される案件では大きな成果が出ているといいます。
「オペレーターの応対品質が上がった、チャットボットがうまく回るようになり、オペレーターの稼働負担が減った、開発部門と連携して新商品づくりに反映しているといった声も届いています。中小規模のセンターではオペレーターの離職が大きな打撃になるため、新人研修の短縮するために利用するケースもあります」(木本サービスマネージャー)
「VoC分析サービス」の活用は、NTT Com内でも進んでいます。「サービス導入により、コールの削減、業務の効率化で効果が出ており、離職率も下がっています。このような社内で得た知見、ノウハウを活かした有益な提案をお客さまにお届けしたいと思っています」(木本サービスマネージャー)
今後の展望として、二人のサービスマネージャーは大きな夢を描いているようです。これまでWeb、メール、SNSといった顧客応対の履歴はテキストデータとして管理できましたが、電話のみが音声データでした。それを「VoC分析サービス」によってテキスト化できるようになったことで、チャネルのデータ集約が容易になりました。この点について、木本サービスマネージャーは可能性を感じています。
「マルチチャネル、オムニチャネルのデータを、ひとつのツールに集約・分析できる基盤ができ上がりつつあります。今後は組織内のCRM、SFAなどと連携させ、組織を横断したデータ分析、活用の仕組みづくりに取り組んでいく計画です」(木本サービスマネージャー)
丸山サービスマネージャーは、効率化のみを目指す従来のセンター運営からの脱却を呼びかけています。「コンタクトセンターがプロフィットセンターに生まれ変わるには、その殻を破り、センター内で得たデータや知見を社内のあらゆる関連部署にフィードバックし、CXにつなげていくことが唯一の方法だと考えています。縦割りの組織を突き抜けるためには、経営層の説得材料となる分析データが必要です。そのお手伝いをサービスマネージャーとして全力でサポートしていきます」
※肩書き、プロフィールは取材当時のものです