グローバルネットワークの安定運用には、高度な知見とノウハウが欠かせません。特に航空会社の場合、空港をはじめとする世界各拠点を結ぶネットワークには、きわめて高い信頼性が求められます。NTTコミュニケーションズには、この厳しい品質を支える三人のサービスマネージャーがいます。
三人は品質面だけではなく、航空業界の常識を打ち破るようなビジネスの展開スピードを支えるため、日々グローバルネットワークの構築、運用に奔走しています。今回は航空会社の顧客を相手にチャレンジを続ける、三浦剛サービスマネージャー、河村晃一サービスマネージャー、斎藤優太サービスマネージャーの10年先を見据えた取り組みを追います。
NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の三浦、河村、斎藤は、ソリューションサービス部で大手航空会社の顧客を担当するサービスマネージャーです。
3人が運用に携わるグローバルネットワークは、世界各国の空港、営業支店、コールセンターといった拠点をつないでおり、航空会社の事業継続を支える生命線といえます。本ネットワークは産声を上げてからまだ1年ほどしか過ぎていませんが、未来に向けた無限の可能性を秘めているといいます。
河村サービスマネージャーは、このネットワークの提案段階から関わってきました。今回のケースは単純なネットワーク更改ではなく、NTT Comとしても未知のチャレンジだったと語ります。
「私たちはお客さまに対して、拠点間をつなぐ本来の目的に加え、将来的なビジネスでのクラウド、SaaSなどの活用や積極的な拠点展開を想定した迅速、柔軟に対応できるSD-WANを提案しました。最終的にお客さまのビジネス価値を高めるお手伝いを一緒にやらせてくださいという提案が高く評価されました。本案件は当社にとって航空会社のグローバルネットワーク全体を単独で受注した初の案件です」(河村)
NTTコミュニケーションズ株式会社
ビジネスソリューション本部
ソリューションサービス部
第一マネージドソリューション部門
第三グループ
主査 河村晃一
1988年にNTT入社、電話の故障受付からキャリアをスタートし、インターネットの黎明期より法人向けネットワークのSEとして幅広い業種のシステム設計、構築を手掛ける。2001年、NTT Comへの転属後はサービスマネージャーとしてネットワーク、サーバーなどのアウトソーシングビジネスを担当。趣味は身体を動かすことが大好きな娘と遊ぶことと、子煩悩なパパの一面を持つ。
斎藤サービスマネージャーは、従来は独立して利用されていた空港、営業支店、コールセンターのネットワークを集約し、ワンストップで運用が可能になる点が、新たなネットワークの強みだと解説します。
「従来はリージョンごとにネットワークが独立していましたが、今回はすべてのリージョンを統括し、グローバルを横断するワンネットワーク構成です。さらにトラフィックが可視化できることで、通信帯域や回線種別の最適化に向けたプロアクティブな運用ができるようになっています」(斎藤)
サービスマネージャーの業務で基本となっているのは、高品質なネットワーク基盤を提供し続けることです。しかし、三浦サービスマネージャーは、それはプロセスに過ぎず最終的な目的は別にあると語ります。
「きちんと監視をする、故障を迅速に復旧するということだけではなく、どうすれば私たちが提供するサービスをお客さまのビジネス価値向上に直結させることができるのかを常々考えています。そのために、お客さまがネットワークをどのように使いたいのか、何を実現したいと考えているのかをきちんと理解できるよう積極的にコミュニケーションを取っています」(三浦)
斎藤サービスマネージャーは過去に自社コールセンターで故障受付を担当した経験から、顧客の声に真摯に耳を傾けることを大事にしています。
「お客さまがやりたいことを、やりたいかたちで提供することを意識しています。しかし、信頼を裏切らないようにするため、できないことは絶対に安請け合いしません。また、お客さまにメリットがないと判断したら、無理に新サービスを提案することもありません。あくまでもお客さまの声を真摯に聞き、お客さまの目線で反映させることを徹底しています」
グローバルネットワークで不具合が発生すると、航空会社のさまざま業務に影響がおよびます。そのため、故障発生から復旧にいたる経緯をリアルタイムで共有することが重要になると斎藤サービスマネージャーは語ります。
NTTコミュニケーションズ株式会社
ビジネスソリューション本部
ソリューションサービス部
第一マネージドソリューション部門
第三グループ
主査 三浦剛
2010年にNTT Com入社。ISP運用を始めとして国内外ネットワークやクラウドシステム等幅広い分野のサービスマネージャーを担当し、2017年より現在の航空会社プロジェクトに携わる。趣味は始めて8年になるブラジリアン柔術。週2ペースで道場に通い、さまざまな国籍、年齢層の仲間と汗を流している。
「単純にネットワークの故障対応をするのではなく、お客さまが旅客機を時間通りに飛ばすことができるようにするのが私たちに課せられた使命です。そこでお客さまが利用しているシステム、アプリケーションを理解するために定期的な勉強会を開いています。どの部分が故障したら、業務にどのような影響が出るのか、理解を深めながら対応にあたるようにしています」(斎藤)
運用開始時には対応の優先度を決めることにも留意したと、河村サービスマネージャーは明かします。
「お客さまの業務に大きな影響が出る絶対に止められない回線もあれば、多少止めても影響の出ない回線もあります。お客さまとの議論により、ネットワーク全体のプライオリティを決めています。そこで重要になったのは“言葉と価値観の摺合せ”です。お客さまが普段使われている専門用語をきちんと理解する、お客さまがネットワークを利用してどのようなシステムを使い、どんな業務をしているのか説明会を開催していただく等の対応を進めることで意思伝達は格段に向上しました」(河村)
航空会社には、NTT Com以外にもIT基盤を統括する協力会社が存在し、各社は日常的に密な情報連携を図っているといいます。
「現在はネットワークにトラブルが発生した際、可視化ツールを使うことで原因を特定、再発防止の改善ができます。さらに故障の兆候を把握して、未然に防ぐという先手も打てます。私も“よろず相談窓口”として協力会社との密な連携を図っており、さまざまな注文や相談を受けて解決策を考え、提案する立ち位置で向き合っています」(三浦)
3人のサービスマネージャーに共通するのは、今回のグローバルネットワーク運用を中長期的な視点でとらえていることです。河村サービスマネージャーは、そのためなら目先の利益には拘泥しない覚悟で取り組んでいるといいます。
NTTコミュニケーションズ株式会社
ビジネスソリューション本部
ソリューションサービス部
第一マネージドソリューション部門
第三グループ
斎藤優太
2010年に入社。自社内の法人向けコールセンターの故障対応で顧客の声に耳を傾け、その後、IPバックボーンの運用を担当して顧客の声を反映する業務に従事する。現在はSEに転身しISPの運用アウトソーシングで培った経験を活かし、今回の航空会社の運用プロジェクトに深く関わっている。週1のサウナでストレス解消。サウナ目当てで旅に出る、「サ道」なサービスマネージャーである。
「私たちは、ネットワークを長く使っていただくことを前提に行動しています。特に運用系のアウトソーシングでは、5年先、10年先もお付き合いしたいという想いがあります。極端な話、最終的にお客さまとNTT Com双方メリットが出るのであれば私たちの利益は1年、2年減ってもいいと考えることもあります。将来的にお互いに利益が生まれるWin-Winの信頼関係をつくることが、もっとも重要だと考えています」(河村)
すでに斎藤サービスマネージャーは、次回の更改を見据えています。「お客さまとは5年契約を結んでいますので、まずは5年間しっかり高品質なネットワーク運用を提供し続けることが大前提になります。もちろん、日々の業務では日常的な改善提案に加え、次の更改のタイミングでなにを提案すべきかを考えながら運用しています。お客さまとのやりとりから潜在的なニーズも見えてくることもあるので、きちんと逃さずにキャッチアップして次のネットワークに役立てたいと考えています」
今回のグローバルネットワーク構築・運用プロジェクトは、NTT Comとしても初の取り組みだったため試行錯誤の連続でした。これは初めての子育てに通じる難しさがあると、プライベートでは子煩悩なパパの顔を持つ河村サービスマネージャーは語ります。
「本件は、1年を迎えてようやく安定的な運用方法が見えてきました。サービスマネージャーの本領発揮はこれから、楽しみでなりません。もともとお客さまのデジタライゼーションに寄与し、ビジネスに新たな価値を付加することを想定したネットワークになっています。運用の自動化、SD-WANのスペックを活かしたOffice365活用による業務効率化、AI翻訳ツールによるコミュニケーションの活性化、AI、IoTを活用したDX推進など、次の手をお客さまと一丸になって考えていきたいですね。」(河村)
温かいまなざし、明るい未来を切り拓くひたむきなサポート、子どもの成長を見守る親のような包容力が運用のプロフェッショナルであるサービスマネージャーに欠かせぬ資質かもしれません。3人のサービスマネージャーは次の10年を見据え、さらに大きな夢を描いていることでしょう。
※肩書き、プロフィールは取材当時のものです