クラウドストレージとファイルストレージの違いとは?
2021年3月18日公開 (最終更新日:2021年3月18日)
ファイルストレージには、HDDやファイルサーバーなど自社内に設置して運用する「オンプレミス型」と、クラウドサービスとして提供される「クラウド型」とが存在します。本記事では、両者の特徴およびメリット・デメリットを紹介します。
目次
1. ファイルストレージとクラウドストレージ
クラウド型ファイルストレージが登場したことで、ファイルストレージを導入したい企業にとっては、従来のオンプレミス型とは異なる新しい選択肢が生まれました。そもそも、ファイルストレージはどのような役割を果たすものなのでしょうか。また、クラウド型とオンプレミス型それぞれの特徴についても紹介します。
ファイルストレージとは
「.docx」や「.xlsx」など、各種ファイルの書き込み(Write)と読み込み(Read)を行う記憶装置が「ファイルストレージ」です。
ファイルストレージは、「storage(貯蔵・保管)」の意味通り、ファイルを長期的に保存する保管庫の役割を担います。
ストレージをデータの保持方式で分類した場合、ファイルストレージのほか、データを複数のブロックに切り分けて保存する「ブロックストレージ」、個々のデータをオブジェクトとして記憶する「オブジェクトストレージ」などもあります。ただ、ファイルストレージは、WindowsやmacOSなどが採用しているファイルシステムと同様の構造を持つため、最も浸透しており、ビジネスパーソンにとってはお馴染みの形式です。
ファイルストレージの特徴は、フォルダーやディレクトリを使ってデータを管理・保存することと、ファイルの場所を「フォルダー名/ファイル名」というように階層的なパスで整理することです。このシンプルな構造により、ファイルストレージには直感的にデータを操作・管理できるメリットがあります。そして、クラウド上にファイルストレージを構築するクラウドストレージが登場してからは、物理的な記憶装置に保存する「オンプレミス型」と「クラウド型」にファイルストレージを分類できます。
オンプレミスにおけるファイルストレージ
オンプレミス型のファイルストレージには、HDDやSSDなどの物理的な記憶装置や自社内に設置するファイルサーバーがあります。つまり、オンプレミス型の場合は、設置から運用まで、すべて自社内で対応することになります。
オンプレミス型のメリットは、仮に社外と通信ができなくなったとしても、ファイルを保存した記憶装置やファイルサーバーさえあれば、内部のデータを取得できることです。また、保存データはすべて自社内で管理されるため、大切なデータが社外に漏れるリスクも少なく、安全に管理できることもオンプレミス型の特徴です。
一方、HDDなどの記憶装置に保存している場合は、装置を紛失したり、損傷したりすると内部のデータをすべて失ってしまうことになります。また、ファイルサーバーを構築する際は、高額の導入コストがかかり、サーバーを運用するためのIT技術者を雇用する必要性も出てきます。
クラウドストレージとは
以前から存在していたオンプレミス型のファイルストレージを、Webサービスとして実現したものがクラウド型のファイルストレージです。昨今では、オンプレミス型からクラウド型のファイルストレージに移行する企業も増えており、ファイルストレージといえばクラウドストレージと言われるほど定着してきました。
クラウド型では、利用者がインターネットを介してサービスにアクセスし、必要なファイルを取得します。クラウドストレージはインターネット上の貸しスペースのようなもので、借り主はそのスペース上にいつでも必要なファイルを保存して利用することができます。
なお、クラウドストレージには、有料サービスと無料サービスとがありますが、法人はセキュリティ対策がしっかり施されている有料サービスがおすすめです。また、クラウドストレージもファイルストレージの一種ですが、クラウドでないものをファイルストレージと呼んでいる場合があります。
2. クラウドストレージの優位点
クラウドストレージには、オンプレミス型ファイルストレージにはない機能が多数含まれています。ここからは、クラウドストレージのメリットを5つ紹介します。
どこからでも利用可能な利便性の良さ
オンプレミス型のファイルストレージでは、基本的にその記憶装置やファイルサーバーが設置されている場所まで出向かないと、データを保存したり、利用したりすることができません。一方、クラウドストレージは、インターネット環境さえあればどこからでもアクセスできるため、たとえばテレワークや出張などでオフィスの外にいる場合でも必要なファイルをいつでも入手できます。
また、クラウドストレージの多くは、Webブラウザーさえあればサービスにアクセスできるため、PCだけでなくスマホやタブレットなどの端末からも利用できます。また、クラウドストレージの多くは、Webブラウザーさえあればサービスにアクセスできるため、PCだけでなくスマホやタブレットなどの端末からも利用できます。
たとえばテレワークで社内や取引先とファイルを共有したい場合でも、クラウドストレージであれば簡単に行えます。共同編集作業ができるサービスを利用すれば、遠方の社員同士でも、お互いに自宅にいながらオフィスにいるのと同じ環境下でファイル修正・更新業務を行えるため、効率化が図れます。
運用管理を自社で行わずに済む
オンプレミス型のファイルストレージでは、自社内に装置の設置場所が必要なだけでなく、運用・管理のためにIT人材が必要になります。万が一、通信トラブルやセキュリティ上の問題が発生したときも、自社ですべて対応しなくてはなりません。また、テレワークなどで従業員の勤務地が分散している場合、OSのアップデートや、セキュリティポリシーを全社で統一して管理することが難しくなっています。これらを自社内ですべて行おうとすると、IT管理者には相当な負担がかかります。
一方、クラウドストレージは、データセンターで運用されており、自社内に物理的な装置を置く必要が一切ありません。また、24時間365日監視・管理されているサービスを利用すれば、自社内で人的リソースを割いてファイルストレージを監視する必要がありません。クラウドストレージは、従業員の業務を効率化するだけではなく、IT管理者の負担も軽減します。
自動バックアップとバージョン管理
オンプレミス型のファイルストレージでは、バックアップを同じ拠点内で保管していた場合、万が一、災害などが発生した場合にバックアップまでも消失してしまうというリスクがあります。
一方、クラウドストレージでは、遠隔地にデータをバックアップするサービスがあります。メインのストレージにデータを保存するだけでなく、遠隔地にあるサブのストレージにも自動でデータを同期して保管します。これにより、万が一、自社が災害に見舞われたとしても、遠隔地に保存されたバックアップを用いて、データを復旧することができます。また、サービスによっては、ファイル単位で任意の旧バージョンにロールバックできるものもあります。
規模拡大に対応しやすい
多くの場合、クラウドストレージの利用料は、利用人数や1アカウントあたりの最大容量によって算出されます。サービスを利用する従業員数が増えたり、一人あたりの必要容量が増加したりした場合には、契約プランを変更することでファイルストレージの容量を拡張できます。その際、システムの改修作業は一切必要なく、簡単な手続きで素早くスケールアップできるため、業務に支障をきたさないこともクラウドストレージの大きなメリットです。
費用面のメリット
オンプレミス型のファイルストレージは、機器の購入費用だけでなく設置するための場所などにコストがかかります。そのため、初期費用が非常に高額です。
一方、クラウドストレージは、そもそも機器やシステムの購入が必要ないため、ほとんど初期費用がかかりません。また、運用中のコストに関しても、上述の通り契約プランを変更するだけでファイルストレージのスケール変更が簡単にできるため、トータルコストの見通しが立てやすいでしょう。従業員が減少した場合も契約プランの変更によってスケールダウンが可能なため、無駄なコストが発生しません。
3. クラウドストレージの欠点
利便性の高いクラウドストレージですが、注意点も存在します。ここからは、「ネット環境に依存する」や「セキュリティリスク」など、クラウドストレージの欠点を解説していきます。
ネット環境への依存
クラウド上にファイルを保存するクラウドストレージは、インターネット環境があればどこからでもアクセスが可能な一方、ネット環境がないと利用できません。また、スマホやタブレットからでも利用できるなど、サービスにアクセスする端末を選ばないとはいえ、通信速度やインターネットの安定度により作業効率が左右されてしまいます。
情報漏えいなどのセキュリティリスクが伴う
クラウドストレージはインターネットに接続されていることが多く、社内にすべてのファイルを保存するオンプレミス型ファイルストレージと比較して、不正アクセスやサイバー攻撃の対象となる可能性が高まる懸念があります。
そして、クラウド事業者の強固なセキュリティ基盤により一括してデータが保護される一方、すべてのセキュリティ対策が事業者任せになります。そのため、サービスを運営する事業者選びが、セキュリティを左右すると言っても過言ではありません。大手通信事業者が提供するサービスなど、堅牢なセキュリティ基準で運営されているクラウドストレージを選びましょう。
独自のカスタマイズが難しい
オンプレミス型のファイルストレージであれば、ファイルの管理方法などを自社で細部まで何度もカスタマイズが可能です。たとえば、自社開発のシステムやアプリなどを活用している企業の場合、さらにアプリの利便性を高めるべく、ファイルストレージを連動させるという対応もできるでしょう。
利用者数によるコスト増
契約プランを変更するだけで簡単にスケールアップが可能なクラウドストレージですが、見方を変えれば、利用ユーザー数に比例してコストも高くなることを意味しています。そのため、ユーザー数が増えすぎると予算オーバーになる可能性もあるでしょう。
なかには、ユーザー数無制限や1アカウントあたりのディスク容量無制限などのプランを展開しているクラウドストレージもあるため、ユーザー数が急増しそうな場合は、そのようなサービスを利用することでコストを抑えられます。クラウドストレージの料金体系はサービスによりさまざまであるため、自社内で何人の利用者がいて、一人あたりどの程度のディスク容量が必要なのかを導入前に精査しておくことが重要です。
4. セキュアで大人数での利用にも強いBizストレージ ファイルシェア
NTTコミュニケーションズの法人向けオンラインストレージサービス「Bizストレージファイルシェア」は、いままで紹介してきたクラウドストレージの弱点を補うサービスです。
たとえば、ディスク容量は1GB~1TBまで6種類のプランを選択でき、プランのアップグレード/ダウングレードはいつでも簡単に行えます。ID数は最大1万人まで利用できます。社内だけでなく取引先のIDを作成しても余裕ある設定数です。また、IPアドレスによるログイン制限ができるのも、自社に合わせたセキュリティを強化できて安心です。誤送信などのヒューマンエラーへの対策も完備されています。冗長承認機能を利用すれば、ファイル転送時の誤送信対策を施せます。
また、通信の暗号化やファイルの暗号化保存、不正アクセスの検知・遮断、ログイン制限などで情報漏えいリスクを軽減します。さらに、自社で運用する堅牢な国内データセンター内で、システムの冗長化や多重化、ディザスタリカバリを施しています。安全性・安定性の高いシステム構成を実現していることから、高評価が寄せられています。
オンプレミス型ファイルストレージとクラウド型ファイルストレージの違いについて説明してきました。自社内での運用・管理が不要なクラウドストレージは、今後ますます利用が拡大するでしょう。しかし、セキュリティはサービスを提供する事業者に大きく左右されるため、しっかりとした対策が施されたクラウドストレージの検討をおすすめします。
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