災害時の安否確認方法とは?企業・個人の例を解説
大規模な災害が発生した際は、電話回線の混雑や通信規制により、連絡手段が限られることが少なくありません。あらかじめ、緊急時の連絡方法を決めておくことが重要です。
企業として、災害直後に従業員やその家族の状況を確認することは、安全配慮義務上必要であり、その後の事業継続に向けた判断にも大きな影響を及ぼします。
- 従業員を無理に出勤させたことで二次災害を起こし、その責任を問われてしまう
- 会社の復旧作業のために出勤できる人数がわからず、事業再開の目途を取引先に伝えられない
このような事態を避けるためにも、災害時の安否確認は非常に大切なのです。
こちらの記事では、災害発生時の安否確認の進め方について、企業と家庭のそれぞれで気をつけるべきポイント、安否確認システムなどの具体的な安否確認方法をご紹介します。
もくじ
災害時の安否確認の方法【企業】
企業が安否確認方法を検討する際に重要なのは、範囲・規模・確実性です。
できるだけ早く、また確実に連絡をとって情報を集約し状況判断するために、次のような点に注意して安否確認方法を検討しましょう。
多人数の安否情報を分析/整理することが必要
まず押さえておきたいポイントが、大勢の従業員への連絡を一度に行い、確実に情報を集約できる仕組みにすることです。
1日の業務時間が8時間とすると、地震は2/3の確率で業務時間外に発生します。このため、従業員が職場ではなく、各々の場所、生活の中で被災するケースが少なくないでしょう。
突然災害が発生し混乱した中で、どこにいるかわからない大勢の従業員の連絡先を探し出し、一人ひとりに連絡して状況を聞き出してまとめる安否確認を手作業で行うと、大変な時間がかかってしまいます。また、安否確認を行う担当者が被災し、確認作業どころでなくなってしまう可能性もあるでしょう。
企業には従業員の安全配慮義務があり、できるだけ早く全員の状況を把握し、安全を確保する行動を指示する必要があります。事業継続計画(BCP)の観点からも、従業員の安否や出社の可否状況を素早く集約し、復旧作業の具体的な対策を立てなければなりません。
メールや電話での安否確認の問題点
メールや電話は普段から使い慣れているため、小規模の事態であれば問題なく使えるでしょう。特に電話は、直接声を聞けて安心感も大きく、個別の指示も詳細に出せます。
しかし、大規模災害の場合、多くの人が電話で連絡をしようとするため、回線が混雑します。自治体や警察・消防などの回線を優先的に確保するための通信規制がかかり、非常につながりにくくなるでしょう。
メールの場合、電話よりは届きやすい傾向にあります。ただし遅延することが多く、従業員がすぐにメールに気づいて開封し、返信できる状況にあるか保証がありません。連絡が届いているかわかりづらいところが難点といえるでしょう。
また、電話もメールも、一人ひとりに連絡し回答を集計するのに人手や時間がかかる点や、連絡を受けて集計する立場の人の安全確保にも問題が生じる点が課題といえます。
電話やメールなど、一般的な安否確認方法については、以下記事で詳しく解説しています。
安否確認システムの利用
災害発生時に企業が行う安否確認においては、大勢の従業員へ素早く一斉連絡し、スムーズに状況把握ができる仕組みとして、安否確認システムの導入をおすすめします。
ここからは、安否確認システムの活用をおすすめする理由について解説します。
BCPの最初の一歩になる
最も重要なポイントは、安否確認システムの導入自体が事業継続計画(BCP)になることです。
従業員への安否確認の連絡は、災害発生直後に人的被害状況を把握するBCPの第一歩。安否確認システムの連絡・集約機能を効果的に活用することが、初動対応で重要といえます。
安否確認システムは、大規模災害が発生した時にこそ確実に稼働しなければならないものです。安定的に稼働するシステムの堅牢性、通信経路や通信種類の多さ、セキュリティの品質などに注目して検討することをおすすめします。
従業員の安否確認を一括で対応
安否確認システムには、登録された連絡先へメッセージを一斉送信する機能があります。気象庁が発表する震度情報に連動して、自動的に配信する機能があるシステムであれば、確実に従業員へ連絡を出せるでしょう。
なお気象情報に連動した配信システムがあるツールもありますが、シンプルに地震情報に関する情報のみと連動すれば事足りるでしょう。
なぜなら地震はいつ起こるか事前に分からないため、安否確認は災害発生後に配信されます。しかし地震以外の災害は、事前にある程度予測可能であり、災害が発生する前に安否確認をしてしまうと、回答者の混乱を招く可能性もあるからです。
また、部門ごとに送信するメッセージや回答してほしい内容をカスタマイズできる機能があれば、従業員の安否状況をより的確に把握し、管理できます。
安否確認システムで採用される通信手段はインターネットを介したものが多く、スマホアプリなどの種類も豊富なところも利点です。
管理負担を減らせる
安否確認システムは、メッセージをあらかじめ設定した上で自動発信できます。災害発生時に、たとえ担当者が不在でも、必要な情報を従業員に伝えられます。
また、回答を選択肢にすると、従業員は簡単に返信でき、回答率を上げることに役立ちます。
さらには、従業員だけでなく家族の安否確認も行える機能や、回答がなかった従業員に対して一定間隔で再送信する機能があると、さらに担当者の負担を減らせるでしょう。
安否確認システムの導入の流れ、各社のシステム比較については以下のページをご参照ください。
災害時の安否確認の方法【個人・家庭】
ここからは、個人や家族間で行う安否確認方法や、活用にあたっての留意事項をみていきましょう。
災害用伝言ダイヤル171
「災害用伝言ダイヤル171」は、NTT東日本・西日本が大規模災害発生時に設置する伝言サービスです。「171(いない)」へダイヤルし、個人の電話番号をキーとして音声を録音・再生できます。
登録できるのは被災エリアの電話番号で、災害の状況に応じて範囲が設定されます。メッセージは、どこからでも聞けます。暗証番号を利用することにより、家族間だけの伝言もできます。
録音は「1伝言あたり30秒以内」で「20伝言まで」が原則。、災害によって伝言保存期間を含めた設定は異なります。
災害用伝言板サービス
「災害用伝言板サービス」は、携帯電話のキャリア各社が提供する、災害時の伝言サービスです。
インターネットで文字によるメッセージの登録を行い、その伝言を全国から確認できます。アプリ版を用意しているキャリアもあり、手元にあるスマートフォンから登録可能です。
「1番号あたり10件までの登録」を原則とし、10件を超えると古いものから上書きされます。登録可能エリアや伝言の保存期間は、災害の状況に応じて各社が設定する形です。
災害用ブロードバンド伝言板web171
「災害用ブロードバンド伝言板web171」は、PCやスマートフォンからサイトへアクセスし、電話番号をキーに安否情報の登録や閲覧ができるサービスです。
閲覧者を限定する機能や、登録したメッセージを通知する機能もあります。また、災害用伝言ダイヤル171とも連携しており、それぞれで登録された伝言内容を相互確認することが可能。
「1伝言あたり100文字まで」メッセージを登録でき、伝言蓄積数は「最大で20件」、保存期間は「最大で6ヵ月」です。
SNSの活用
普段から利用しているSNSを活用した連絡手段も検討しておくと良いでしょう。
SNSのダイレクトメッセージを使えば個別の連絡が可能ですし、グループメッセージであれば家族や知人などのグループ別に一斉連絡することもできます。写真の共有も簡単です。
また、SNSは閲覧した人が転送などで拡散させる機能が充実しているため、不特定多数の人に広く知らせたり、情報を集めたりしたいときに活用することもできます。
勤務先の安否確認システムを利用する
勤務先の企業が、家族の安否も確認できる安否確認システムを導入しているのなら、積極的に活用しましょう。
安否確認システムは、稼働の安定性やセキュリティ管理に優れており、安心してメッセージを送ることができます。個人情報の管理も徹底しているため、家族の連絡先が企業側に知られることはありません。
勤務先への安否確認の連絡と同じシステムを使うため、立ち上げの手間が減り、操作もしやすいでしょう。連絡や確認の負担を減らすことができ、災害対応に専念することができます。
避難場所や連絡方法についてあらかじめ擦り合わせておく
家庭での安否確認は、各自が別の場所にいて連絡がとりづらい状態を想定し、あらかじめ「合流する場所」と「連絡手段」を決めておくことが大切です。
地震の場合、大規模火災の場合、津波の場合、河川の浸水の場合など、災害の種類によって避難する場所を選び、災害が起きたら各自の場所から合流するように決めておきます。
また、被害によっては決めていた避難場所が使えない、移動することができないなどの状況も考えられるため、どのツールで連絡を取り合うのかも決めておきましょう。
災害時は安否確認システムの活用がおすすめ
企業の安否確認では、多くの従業員へ一斉に連絡し、災害対応に必要な状況把握や指示連絡を的確に行う必要があります。このため、送信や集計の機能が豊富な安否確認システムの活用がおすすめです。
「Biz安否確認/一斉通報」は、NTTコミュニケーションズの堅牢なデータセンターで提供し、24時間体制のサポート、安定のシステムで従業員の安否確認を行えます。
- 特定の震度以上でシステムから自動送信
- 安否状況が登録されるまで自動で再連絡を繰り返す機能
- 複数手段での連絡
- 回答の自動集計機能
- 回答内容に応じて連絡する二次連絡機能
これらの機能に加え、従業員の家族の安否確認やメッセージのやりとりができる機能も提供しており、従業員も安心して業務に専念することができます。
自社に最適な安否確認システムの導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。