安否確認システムを導入!流れ・メリット・事例を紹介

安否確認システム

いつ、どこで発生するか誰にも分からないのが災害。発生直後から素早く状況を把握し、的確な判断・指示を行うには、安否確認システムが不可欠です。

こちらの記事では、安否確認システムの導入方法や、導入後にすべきことを解説します。また、安否確認システムの導入にはどのようなメリットがあるかも、実際の事例とともに紹介します。

もくじ

安否確認システムの導入方法

はじめに、安否確認システムの導入にあたってどのような点に注意すればよいか、ステップごとにみていきましょう。

導入目的・求める機能を決める

安否確認システムを導入するにあたり、まず検討したいのが運用方針です。「何の目的で安否確認システムを使うのか」「その目的を達成するためにどのような機能が必要なのか」を明確にしましょう。

災害発生直後の初動対応に必要な情報は、従業員自身の安否だけではありません。

  • 連絡時点の場所
  • 避難をはじめとした安全確保状況
  • 自宅および周辺地域の被害状況
  • 家族の安否
  • 出社の可否

このように、さまざまな情報を収集して従業員の状況を把握し、初動対応方針を決定して指示を出す必要があります。

安否確認システムは、こうした初動対応に必要な情報を収集・集約・共有するシステムです。自社の初動対応に不可欠な情報を整理し、必要な機能を想定しましょう。

安否確認システムを選ぶ

安否確認に必要な情報や機能が整理できたら、安否確認システムの比較検討を始めましょう。自社が必要とする機能を網羅しているシステムを候補とするのはもちろんですが、同時に操作性やコストについても十分な検討が必要です。

安否確認システムは、災害発生時に力を発揮するものですが、そのためには平常時から運用を続け、スムーズに操作できるようにしておく必要があります。

  • システムの堅牢性(災害時にも安定した運用ができるか)
  • 平常時の登録管理のしやすさ
  • 個人情報管理の安全性
  • 連絡や回答、集計、家族を含めた情報共有などの各種機能の操作性
  • 導入・運用コスト

これらを確認し、自社にとって必要な機能を備え、かつ使いやすいシステムを検討しましょう。

テスト導入してみる

安否確認システムの候補が絞られてきたら、実際の操作のしやすさや、送受信・情報処理の使い勝手を確かめるテスト導入をおすすめします。

安否確認システムは、一度導入すると継続してコストがかかります。失敗を避けるためにも、無料で機能を試せるトライアル(テスト)の実施がおすすめです。

テスト導入の間に、自社の人数規模や利用目的に合ったプランになっているか、機能に過不足はないか、実際の操作上に支障はないか、メンテナンスの負担が大きくないか、などをよく確かめておきます。


安否確認システム導入後にすること

ここからは、安否確認システムを導入した後の運用で注意すべき点を解説します。

安否確認システムは、導入しただけではその力を十分に発揮できません。全従業員が必要性を理解し、平常時から操作に慣れていく運用計画を立てましょう。

運用手順の決定

まず、安否確認システムの導入目的を全従業員に周知し、その上で運用手順を整理・計画します。

具体的には、自社の災害対応マニュアルやBCP(事業継続計画)の記載内容と整合性をとりながら、以下の項目を明確にしていきます。

総則
  • 安否確認システムの利用目的、運用方針
  • 他のシステムとの位置づけ
  • 登録・更新方法(タイミング、実施者、手順など)
  • 管理者と管理運用の手順
事前の運用
  • 安否確認を含む初動の情報連絡体制(部署ごと・全体)
  • 連絡手段ごとの登録・操作方法
  • 平常時の活用方法
  • 訓練による見直し
災害時の運用
  • 災害時の安否確認と初動対応の行動手順
  • 集計手順と集計結果の報告方法、報告頻度
  • 職位別に集計結果を踏まえた判断・指示・行動基準

利用者登録

安否確認システムの運用方針と手順が決まったら、従業員に周知し、連絡先を収集してシステムへの登録を行います。管理者が一括して行う場合は、個人情報の漏洩に十分注意しましょう。

従業員が自分で登録する場合、なかなか進まない可能性があるため、安否確認の重要性や取り組みの理由を周知徹底し、期日を設けて登録率の向上を図りましょう。

また、特に入退職・異動などで部署の変更があった場合、システムの登録変更が済まない間に災害が発生すると、状況把握に齟齬が出てしまいます。タイミングを逃さずデータ更新ができる仕組みにしておくことが重要です。

発信・受信のテスト

安否確認システムは、災害時の厳しい通信環境の中で受発信を行うものです。災害時の通信状態を平常時に再現することはできないものの、連絡を受け取った場合の返信や集計については練習が可能です。普段からシステムの動作確認と操作習熟を兼ねたテストを繰り返し行い、操作に慣れておきましょう。

多くの安否確認システムには、動作確認のための配信テストができる機能があります。平常時の連絡や情報共有・意見集約に活用できる機能が備わった安否確認システムも多くあり、平常時から使いこなせるようにしましょう。

システムを使った訓練の実施

災害はいつ発生するか予測できないため、訓練で心構えを養うことも大切です。

定期的な安否確認訓練ならば、操作の習熟と、最新の連絡先であることのチェックを兼ねることが可能。抜き打ちで行う安否確認では、疑似的に緊急の対応をする経験を得られ、どんなときでも返信できるように体制を強化することにつながります。

安否確認の発信・受信だけでなく、回答の集計・報告までを、30分、1時間、2時間と時間を区切って確認すると、現場の情報がどのくらいの時間をかけて集まってくるかの目安がわかります。

従業員に対し、訓練のタイミングで家族との安否確認の練習もしておくよう促すと、さらに効果的です。

また、繰り返し訓練を実施することが必須のため、訓練時に個別従量のコストがかかる点には注意が必要です。(発信に従量料金がかかるサービスの場合)

訓練結果をもとに運用のブラッシュアップ

実際の災害時では、訓練よりも困難な状況の中で情報収集をすることになります。訓練結果を通して、初動対応に必要な判断の検証を行いましょう。

大規模な災害では、全容がわかるまで判断・指示を出さないでいると初動対応が遅れ、その後の事業継続に多大な影響を与えてしまいます。安否確認訓練で実際にどの程度の情報が集まるのかを時間の経過ごとに検証し、初動対応の改善を図ります。

不確実な中でも可能な限りの見通しを立てた適切な行動となるよう、集計・報告のタイミングや判断基準、対応指示の内容を見直しましょう。

また、管理担当者が不在のときに災害発生する場合も想定し、運用面で改善点がないかを検証・見直すことも重要です。


安否確認システム導入のメリット・必要性

安否確認システムの導入にあたって事前に検討すべきこと、導入後に注意すべきことを説明しました。ここからは、安否確認システムのメリットや、必要性について見ていきましょう。

災害時でも着実な通信が期待できる

大規模な災害が発生すると、通信環境は極端に悪化するもの。停電や架線の切断による通信の途絶、基地局の被災による停波だけでなく、被災地へのアクセスが殺到してつながりにくくなる「輻輳状態」が発生します。このため、救助・救急などの災害対応に必要な回線を優先的に確保する通信規制が行われるのが一般的です。

安否確認では、このような通信環境の中で大勢の従業員に対し、一斉送信を行います。どんな高品質の安否確認システムでも、100%通信できることはありませんが、重要なのは「災害時に通信障害が発生することを前提とした機能が強化されているか」です。

具体的には次のような点に着目し、着実な通信を行うための対策がとられているか確認しましょう。

  • 複数の通信手段に対応しているか
  • 堅牢な耐震・浸水対策を施したデータセンターを離れた複数箇所で運用しているか
  • 通信回線を冗長化しているか
  • 24時間365日体制の監視でトラブル発生時に即対応しているか
  • 障害発生時にワンストップで復旧可能な体制か

自動で素早く安否確認ができる

初動対応を迅速・的確にするためにも、安否確認ではできるだけ早く情報を収集する必要があります。安否確認担当者が個別に連絡し、状況を聞き、集計していたのでは時間がかかり過ぎてしまうでしょう。担当者自身が被災して、連絡どころでないというケースも考えられます。

安否確認システムが持つ、安否確認を自動的に一斉送信し、簡単な操作で回答ができ、集計を行う機能は、従業員が災害対応に専念するために不可欠です。以下の機能を参考に、自社に必要なポイントをチェックしてください。

  • 大規模地震などを検知した際に、震度速報と連動して自動的に安否確認の連絡を行うか
  • 未回答の従業員に対し、繰り返し連絡するか
  • 回答を自動的に集計し、部署やグループごとに一覧表やグラフなどで可視化できるか
  • 回答のあった従業員に対し、回答内容に応じて次の指示を出せるか

管理者の手間や負担を軽減できる

実際の災害では、訓練時と異なり、状況把握のための情報収集が長期にわたります。また、大規模な地震は余震もひんぱんに起こり、その都度安否確認が必要です。

安否確認システムは、状況に応じて何度でも発信・集計を行うことができ、安否確認担当者の負担を大幅に減らすことができます。

さらに、登録時の管理者負担や従業員の個人情報管理など、次のようなポイントも利点となります。

  • 繰り返しの連絡や集計時の担当者の負担を軽減する
  • 大量の連絡先を一括で登録できる
  • 1人あたり複数の連絡先を管理できる
  • 従業員が自ら連絡先を登録・更新することにより管理者の負担を軽減する

セキュリティが強固で個人情報流出のリスクを減らせる

着実な安否確認のためには、会社の中で使っているものだけでなく、個人がもつ連絡先にも発信することが望まれます。

個人の電話番号やメールアドレスは、プライバシーに関するデータであるため、細心の注意を払って扱わなければなりません。個人的な連絡先を会社に知られるのをためらい、登録を拒否する従業員がいると、登録率が上がらない原因にもなります。

安否確認システムは、セキュリティ対策が施された仕組みの中で運用されるため、安否担当者が個人で管理するより、強固な情報管理が可能です。この安全性をしっかりと説明することで、従業員にも安心して登録してもらうことができるでしょう。

【関連記事】安否確認メールのポイント!送信・返信の例文も紹介! | BCPはじめの一歩


安否確認システムの導入率はどのくらい?

実際のところ、安否確認システムは、どの程度の割合で導入され、災害時に効果を発揮しているのでしょうか。

東京都中小企業振興公社が2017年に行った調査(対象17,000社、うち有効回答数242)では、安否確認システムを導入済と回答した企業は68.8%にのぼり、防災グッズ、防災備蓄、救助救命資材、消火資機材に次いで5位でした。企業規模別でみると、300人超の企業では8割を超えています。

導入済 導入・入替予定 検討中 未定
1~50人(n=45) 37.8% 2.2% 24.4% 35.6%
51~100人(n=25) 56.0% 8.0% 12.0% 24.0%
101~300人(n=39) 64.1% 2.6% 25.6% 7.7%
300人超(n=131) 83.2% 4.6% 3.1% 9.2%
全体(n=240) 68.8% 4.2% 11.7% 15.4%
(出典:公益財団法人東京都中小企業振興公社「防災対策に関する意識調査結果報告書 平成28年度先進的防災技術実用化支援事業(2017年3月)」より、表・グラフ作成)
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/documents/28_bousai_report.pdf (2,151KB)

また、東京商工会議所が会員企業を対象に行った調査(対象約10,000社、うち有効回答数1,127)では、100人以上の規模の企業の半数以上(55.4%)が、災害時の安否確認手段として安否確認システムを導入していると回答しました。

メール 通話 災害用伝言サービス 安否確認システム SNS 準備なし
10~49人 31.3% 28.6% 15.6% 5.9% 12.6% 6.0%
50~99人 28.0% 23.1% 22.9% 10.3% 11.1% 4.6%
100~299人 27.6% 20.7% 19.9% 20.7% 7.7% 3.4%
300人以上 20.7% 18.6% 19.4% 34.7% 5.8% 0.8%
全体 28.4% 24.8% 18.1% 13.8% 10.5% 4.5%
(出典:東京商工会議所災害対策委員会「会員企業の防災対策に関するアンケート調査結果(2018年6月)」より表およびグラフ作成)
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1000397 (PDF形式:2,377KB)

もうひとつ、内閣府の調査から、実際の災害で被害を受けた企業の実態を紹介します。

内閣府が2020年に実施した調査(対象5,002社、うち有効回答数1,651社)によると、実際の災害で被害を受けた際に有効だった取り組みとして、安否確認を含むシステムの導入を挙げた企業は全体で47.3%と半数近くにのぼり、上位5項目の中に入りました。

さらに、被害後も継続して取り組みたいことや今後新たに取り組みたいことへの回答として、安否確認を含むシステムの導入を挙げた企業は、すべての規模で被害前を上回る割合となりました。

災害に遭遇した企業にも、安否確認システムの導入効果は実感されており、導入・運用への期待が高まっていることがうかがえます。

被害を受けた際に有効だった 被害後も実施/新たに実施した
大企業 47.3% 54.3%
中堅企業 26.8% 31.6%
その他企業 23.5% 29.1%
全体 29.3% 32.2%
(出典:内閣府「令和元年度 企業の事業継続および防災の取り組みに関する実態調査(2020年2月)」より作表)
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/topics/pdf/r2_jittaichousa.pdf (4,228KB)

安否確認システムの導入事例・実績

ここからは、NTTコミュニケーションズの「Biz安否確認/一斉通報」の導入事例および実績を通して、具体的な導入・運用をイメージしていきましょう。

導入事例

安否確認システムの導入によって、どのような効果が得られたのか、『Biz安否確認/一斉通報』の導入の経緯と結果の事例をご紹介します。

川崎重工業株式会社

船舶や鉄道などの輸送機関、プラント、タービン発電、精密機械と、数多くの産業を支える川崎重工業。1995年の阪神・淡路大震災で中核部門が被災し、復旧に約1ヵ月を要するなど、甚大な被害を受けました。当時の安否確認には1週間以上もかかったといいます。同社は、このときの教訓をもとに、災害対応のシステム強化を図りました。

導入にあたり最も重視したのは、システムの信頼性と使いやすさです。『Biz安否確認/一斉通報』は、必要に応じて機能を呼び出して利用でき、状況に応じたシステムの構築に柔軟に対応します。

操作はインターネットと電話、スマートフォンと3種類に対応しているため、幅広い年齢層の従業員を抱えていても、各自が使い勝手のよいものを操作可能。東日本大震災でも機能し、実働でも効果を発揮しました。

【関連記事】導入事例:川崎重工業株式会社 | Biz安否確認/一斉通報

佐渡汽船株式会社

本土と佐渡ヶ島を結ぶ定期航路を運行する佐渡汽船株式会社は、島民の生活と観光事業にとってなくてはならない公共交通機関です。『Biz安否確認/一斉通報』を導入するまでは、従業員の安否確認には緊急電話連絡網を利用していたのですが、連絡するのに手間も時間もかかる上に、情報が正確に伝わりづらいという課題がありました。

東日本大震災の後、BCP関連の情報を集める中で、安否確認システムの利点を知り、導入の検討を始めました。

一番の決め手になったのは、『Biz安否確認/一斉通報』がSaaS(利用型サービス)だったところです。自社で構築するシステムだと夜間や早朝も対応が必要となるため、管理担当者の負担が大きくなります。その点、システムの直接的な構築やメインテナンスが不要のSaaSならばその心配はありませんでした。

また、運用コストにも魅力を感じていただけたといいます。IDあたりの利用料金の負担が少なく、契約ID数も柔軟に変更できるため、利用状況に合わせて運用コストを調整できます。

佐渡汽船では、普段から社内会議や従業委員同士のグループ連絡に利用し、操作の習熟度を高めているとのことです。

【関連記事】導入事例:佐渡汽船株式会社 | Biz安否確認/一斉通報

導入実績

『Biz安否確認/一斉通報』は、2009年にサービスの提供を開始しました。2011年の東日本大震災でも問題なく稼働し、以降、熊本地震、大阪北部地震、北海道胆振東部地震などの地震災害だけでなく、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風・房総半島台風、令和2年7月豪雨など、毎年のように発生する風水害でも効果が確かめられています。

また、2020年度からは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う新しい安否確認のスタイルにも対応するプランを用意し、平常時からの利活用の幅がさらに広がりました。

2022年3月現在のご利用ID数は、2,300社300万ID。数十IDから数万IDまで、規模や業種を問わず柔軟に活用できる安否確認システムです。


安否確認システムなら「Biz安否確認」がおすすめ

安否確認システムを導入する前に検討すべきポイントと、導入後の留意点を、主な手順に沿って解説しました。

安否確認システムは、災害後の事業継続を図るための重要なツールです。災害時に必要となる機能を整理し、自社に最適なシステムを選びましょう。

NTTコミュニケーションズが提供する安否確認システム『Biz安否確認/一斉通報』は、システム構築が不要で導入時も運用時も負担の少ないサービス提供型です。

災害発生時には、安否確認の連絡を自動的に行う初動サポート機能や回答の自動集計、回答結果のレベルに応じて対象者を絞って連絡・指示を行う二次通報機能など、災害時の情報収集・共有に必要な機能が豊富です。

事業規模に応じて導入しやすい各プランをご用意していますので、まずはぜひ一度お気軽にご相談ください。

【詳細情報】Biz安否確認/一斉通報

まだ起こっていない災害に備えるのがBCPです。

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備えは災害の前に。

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