一歩先の業務プロセスの自動化とは?

近年、業界・業種を問わず、デジタルシフトが推進されています。それにともない、さまざまなシステムが用いられるようになりましたが、一方でシステム間の連携業務についてはいまだに人の手で実施しているケースが多いのも事実です。

業務プロセスにおけるEnd-to-Endの効率化を図るためには、システム間の連携業務も自動化する必要があります。人手を含む自動化もどきだと、DXの実現は難しいでしょう。

この記事では、業務プロセスの自動化の概要も踏まえつつ、仕組みや進め方を解説します。

業務プロセスの自動化の概要も踏まえつつ、仕組みや進め方を解説します。

業務プロセスの自動化とは

業務プロセスの自動化とは、今まで人が手作業や目視などで行なっていた業務をIT技術で自動化することを指します。具体的には、ツール・システム・ロボットなど使って、申請業務や集計業務といった比較的簡単なオフィス作業を任せることなどです。

自動化を進めれば、誤入力や計算ミスといったヒューマンエラーを削減できるようになります。各データの処理速度も人よりIT技術のほうが優れているため、業務スピードも上がり、結果として生産性の向上につながるでしょう。

また、より付加価値が高い業務に人的リソースを適正配置できる、データ管理の一元化・簡素化ができるといったメリットもあります。業務効率化を実現するなら、業務プロセスの自動化は欠かせません。

業務プロセスの自動化が求められる背景

「超高齢社会イメージ画像」

現在、日本は高齢化率(全人口に対する65歳以上の人口の割合)が21%を超える「超高齢社会」を迎えています。2021年9月時点で高齢化率は29.1%を超えており、4人に1人以上が高齢者という状況です。

高齢化率は今後も高まると推計されているので、日本国内では総労働人口減少への対策が喫緊の課題といえます。若い働き手が足りなくなる以上、どの企業も人手不足に陥ってしまう可能性が高いため、業務効率化による生産性の向上を図らなければなりません。

このような背景から、RPA(詳細は後述)をはじめとする、業務プロセスの自動化の必要性が増しているのです。IT技術の進化により、今まで人手が必要だった業務も自動化できるようになっているので、今後もさらに導入が進むと考えられるでしょう。

業務プロセスを自動化する代表的な仕組み

業務プロセスの自動化に関する製品・サービスはさまざまですが、代表的な仕組みとしては、下記の3種類が挙げられます。

  • RPA

  • ワークフローツール

  • 統合運用基盤
  • 自動化への理解を深めるためにも、それぞれの特徴や強みを押さえておきましょう。

    RPA

    RPAは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略称であり、企業における代表的な自動化の手法です。オフィスでの定型的な業務をソフトウェア型のロボットに代行させることで、自動化します。

    例えば、ロボットは人と違って集中力という概念がないため、データ入力などの単純作業にRPAを導入すれば、時短やミス予防が実現可能です。

    RPAを使う場合、PC上で代行させたい作業を記録したり、シナリオ(作業手順)を作成したりするといった準備が欠かせません。ただ、プログラミングの知識が必須ではないので、導入のハードルは低いといえるでしょう。

    実際、業界・業種を問わず、広範囲のホワイトカラーの業務効率化に寄与するとして、RPAは他方面から注目を集めています。

    ワークフローツール

    ワークフローツールとは、申請・承認・決裁といった一連の業務(ワークフロー)を自動化する仕組みです。

    例えば、企業内で出張費に関する申請を行う場合、まず申請書を作成・提出して、上司の承認を得てから経理部門に回すという流れで進みます。ここにワークフローツールを導入すれば、上司不在時の待ち時間減少やペーパーレス化による経費削減など、無駄を省けるでしょう。

    ただし、ワークフローツールは申請や稟議など、特定の業務に特化した自動化で終わっていることが多々あります。そのあとに控えている設定変更や進捗管理は、いまだに手作業で実施されているケースも少なくありません。

    上記の理由から、申請・承認・決裁以外の業務には、あまり適していないといえるでしょう。

    統合運用基盤

    統合運用基盤とは、サーバーやネットワークの運用管理業務を自動化する仕組みです。主にデータセンターやコールセンターで利用されており、24時間365日体制で稼働しています。

    例えば、顧客からサーバー運用を依頼された場合、サーバーの通信状況やバックアップ状況に問題がないか、常に監視しなければなりません。しかし、統合運用基盤を導入すれば、トラブル発生のアラートを一定のルールに沿って分類したうえで、自動的に通知してくれるようになるため、監視の負担を大きく軽減可能です。

    ただし、アラート通知後の対応(エスカレーションの電話やメール・チケット管理・トラブル復旧作業など)については、今も人手で実施しているケースが多く見受けられます。

    自動化とシステム間連携の関係性

    「自動化とシステム間連携」イメージ画像

    上述したとおり、業務プロセスの自動化に関するロボットやツールは、フロントサイドでの導入が進んでいます。その一方、バックエンドの部分はまだまだ連携できていないため、システム間連携まで含めて自動化を進めることが大切です。

    システム間連携の必要性

    多くの企業ではシステム間連携、およびデータ活用が進んでいません。各業務に個別でシステムが入っていても、システムとシステムをつなぐ業務は人が担っていて、なおかつデータも各システムに分散しているという状況です。

    実際、あるコンサルティング会社が2021年に実施した「DXのサーベイ調査」によると、下記のような状況に置かれているケースが多く見受けられました。

  • システムの増設が続いていて最適化できていない

  • 基幹システム・フロントシステムの連携がうまく進んでいない

  • データの一元化・簡素化ができていない

  • データ活用のルールが整備されていない
  • 参照元:https://active.nikkeibp.co.jp/atcl/act/19/00323/030200008/

    DXを実現させるためには、このような問題をシステム間連携の自動化によって解消する必要があります。

    システム間連携の考慮点

    業務プロセスの自動化を進めるにあたって、一番の悩みどころとなるのはサイロ化されたシステムです。他の部門やシステムと連携せずとも業務を自己完結できる、いわば孤立したシステムが存在することで、システム間連携がうまくいかないというケースは少なくありません。

    システムのサイロ化を解消して統合・連携を図るためには、下記で挙げている3つのポイントが重要です。

  • データの連携:各システムが個別で保有しているデータを共有すること

  • 処理の連携:データの連携にともなうバッチ処理などをスムーズに実行すること

  • アプリケーションの連携:各システムにおけるアプリケーションを連携させること
  • これらの連携も考慮しつつ、自社がとるべき対策を検討しましょう。

    自動化もどきをなくす2つのアプローチ

    「システム間の連携」イメージ画像

    システム間の連携も含む、End-to-Endでの自動化を実現させる対策としては、下記のアプローチが有効です。

  • オールワンパッケージ

  • オーケストレーションツール
  • それぞれ概要やメリット・デメリットを解説するので、ぜひご確認ください。

    オールワンパッケージのメリット・デメリット

    オールインワンパッケージとは、企業における複数の業務を一元化して、効率的に運用・管理するためのシステムです。代表例としてERPパッケージが挙げられますが、こちらは財務会計・人事給与・生産管理・在庫管理など、企業の基幹業務に関する機能が搭載されています。

    オールインワンパッケージの特徴は、既存のシステムごと入れ替えつつ、各業務をEnd-to-Endで自動化することです。ワンツールで業務の自動化、およびデータの一元化ができるので、管理の手間がかからないことがメリットといえるでしょう。

    一方、デメリットとしては導入コストの高さが挙げられます。購入費用や初期費用など合わせると、数千万円単位のコストがかかることも珍しくありません。機能のカスタマイズやバージョンアップを実施する場合、さらに追加コストが発生します。

    また、システム自体の交換や、システム・運用方法の見直しなどに時間がかかる点もデメリットです。

    既存システム間連携に特化したオーケストレーションツールのメリット・デメリット

    オーケストレーションツールとは、既存のシステムをそのまま維持しながら、各業務の自動化を行うツールです。複数のシステムを横断しながら自動化できるので、異なる要素をつなげるシステム間連携に特化しています。

    既存のシステムと運用プロセスを踏襲したまま、徐々に自動化を進められることがオーケストレーションツールの特徴です。そのため、オールインワンパッケージに比べると、導入コストを安く抑えやすいこと、導入や稼働までの時間がかかりにくいことがメリットといえます。

    一方、各ツールで受け渡すデータや形式、業務のデマケーションを明確にする必要があるため、管理にやや手間がかかることはデメリットといえるでしょう。ただ、機能を段階的に導入して、成功体験を積み重ねながら業務改革を継続すれば、その手間に見合う高い効果を得ることができます。

    なお、NTTコミュニケーションズが提供する「Kompira Enterprise」は、オーケストレーションツールの手法をとっているため、システム間連携と相性抜群です。

    まとめ

    多くの企業では、フロントサイドにおける自動化が進んでいる一方、システム間連携はまだまだ人手に頼っているケースが多く見受けられます。このような状況は業務効率化が完了していない「自動化もどき」ともいえ、改善の余地があります。

    務プロセスの自動化を進めるにあたって、システム間連携までEnd-to-Endで適用することは、DXの実現に向けた重要なステップです。

    業務プロセスの自動化を実現する「Kompira Enterprise」は、既存のシステム・ツールや運用フローを活用しながら、さまざまなシステムを横断的に連携させることができます。今まで人手が必要だったシステム間の連携業務も含めて自動化できるため、DXや業務効率化で他社より一歩先へと進めるようになるでしょう。

    コラム一覧へ

    このページのトップへ