業務標準化とは?
実施するメリットと導入までの進め方をわかりやすく解説!
昨今のICTの技術的発達により、企業においては業務標準化がますます重要になっています。人手不足のなかで効率的に業務を遂行するには、標準化が不可欠です。
また、企業運営のグローバル化が加速しており、グローバルな視点での業務標準化も求められています。業務を標準化すれば、業務の効率化や品質の向上、生産性の向上といったメリットを享受することも可能です。
この記事では、業務標準化の概要や実施によるメリット、導入手順を解説していきます。
目次
業務標準化の意味は、従業員の誰もが同じ成果を出せるようにすること
業務標準化とは、海外拠点も含めた全従業員が、業務において同じ成果を出せるようにすることを指します。業務標準化は、特定の人しかその業務を遂行できなかったり、品質に偏りが出たりといった「業務の属人化」を防ぐことが目的です。
業務標準化を進めるために、具体的には「業務フローの標準化」と「タスクの標準化」を行ないます。
業務フローの標準化
業務標準化を進めるには、まず業務の流れを可視化し、誰もが速やかに把握できる状態にする「業務フローの標準化」を行ないます。目的は、国内はもちろん海外拠点も含めた企業全体で、その業務についての認識や解釈を統一することです。
業務全体の流れを把握し、たとえ担当者が代わってもスムーズな引き継ぎや業務の遂行を可能にするには、わかりやすく最適な業務フローの設計と、業務フローに沿った業務遂行が求められます。
タスクの標準化
業務フローの標準化のほかに、業務の手順や実施方法を統一する「タスクの標準化」にも取り組みます。目的は、すでに成果が出ている方法を標準化し、マニュアルへと落とし込むことで、業務品質を一定に保つことです。
新入社員の配属や、異動、退職などで業務の担当者が誰になっても、マニュアルを用いて遂行できる状態を目指すため、従業員によって業務効率や業務品質に差が出ず、誰もが理解できるマニュアルの作成が必要になります。
業務標準化によって得られる効果やメリット
業務標準化を進めると、生産性や業務品質の向上、成果目標の明確化、業務の効率化といったメリットが得られます。それぞれの内容を詳しく確認していきましょう。
業務効率化による生産性の向上
業務が属人化すると、業務は遂行できているが、どうやって行なっているかプロセスが見えない、いわゆる「業務のブラックボックス化」が起こります。
例えば、Excelの作成者が退職したあと、そのExcelのマクロや関数をそのまま使って業務自体は行なえるものの、仕組みはわからないといったケースです。このような簡単な作業でも、内容を共有できないことが原因で、保守・改修をしたくても手が出せません。
業務標準化により、こうした業務のブラックボックス化をなくすことができ、誰でもその業務に対応できるようになり業務効率化を図れます。新入社員や異動したての社員にとっても、すぐに一定以上の生産性で働けるような環境構築が可能になるでしょう。
また、業務を遂行するうえでのルールを明文化することで、曖昧な部分がなくなるのも利点です。迷いなく手を動かすことができれば、業務効率化による時間の無駄遣いを削減でき、本来やるべき業務に注力できるようになり生産性も向上します。
業務品質の向上
業務標準化を進める際は、業務フローの標準化とタスクの標準化が欠かせません。フローチャートやマニュアルを活用することで、誰が行なっても同じ流れで業務を遂行でき、組織全体の業務品質が向上します。
また、品質チェック時に重要なポイントを従業員間で共有できるため、抜け漏れやミスが起こりにくくなります。さらに、海外拠点がある企業においては、グローバルな業務標準化により、国内拠点と海外拠点との認識のズレを解消することも可能です。
顧客応対時の標準化までできれば、従業員による顧客応対の差を埋めることができるため、総合的に企業そのものへの信頼感を高めることにもつながります。ひいては顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
例えば、ある大手レストランチェーンでは、会計業務の標準化を徹底し、端末のマイメニュー設定機能で作業ごとに操作メニューを用意、それに従って操作するだけで会計作業を進められるようにしました。その結果、ベテランスタッフにとって扱いやすいことはもちろん、着任して間もないスタッフでも問題なく操作できるようになり、新人スタッフや不慣れなスタッフにも、すぐにレジの仕事を任せられるようになったといいます。
混雑時にも顧客を待たせることなくレジ対応が可能になれば、おのずと顧客満足度も向上するのではないでしょうか。
ただ、顧客管理システムの運用など、専門的なICTの技術が必要な分野では、マニュアル化できない業務も発生します。その場合でも、NTTコミュニケーションズの「Kompira」なら対応が可能です。Kompiraの詳しいサービス内容についてはのちほど解説します。
成果目標を明確化できる
業務が属人化されていると、業務フローが共有されず曖昧なため、その成果は数字で表せない定性分析で評価しなければなりません。その点、業務標準化ができれば、従業員の作業について数字で客観的に評価する定量分析が可能になり、成果目標を明確に設定しやすくなります。
目標が具体的になることで、とるべき行動がわかりやすくなるため、従業員のモチベーション維持にもつながるでしょう。人事評価をする際も、同じ基準を用いて横並びで判断できるため、従業員側にとっても納得できるような公正な評価が可能です。
業務標準化の手順
業務標準化の手順は次の5つのステップを踏みます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.現状把握と分析
業務標準化を行うには、まず現状を把握する必要があります。業務内容を工数や頻度、難易度などで数値化し、業務の定量化を実施しましょう。その際は、担当者へのヒアリングを行なって意見を吸い上げることで、より精度が高まります。
生産性の上がらない業務や担当者不在だと進まない業務、業務量などの問題点を洗い出して分析することが大切です。
2.標準化を優先するべき業務を選定する
現状把握により明らかになった問題点を踏まえて、標準化すべき業務を選定します。その際は、属人化している業務だけでなく、従業員によって品質にばらつきのある業務も標準化の対象とするとよいでしょう。
ただし、すべての業務を標準化するのはコストや手間がかかるため、優先順位をつけて一つずつ解決していくようにします。
3.業務フローを整理
業務を選定できたら、フローチャートなどを使って業務の流れをわかりやすく可視化しましょう。業務フローを可視化すると全体を俯瞰して見られるため、不要な作業を削減したり、順序を入れ替えたりなど、業務フローの整理がしやすくなります。
業務そのものを見直し、業務にかかる時間を短縮できないかといった取り組みも行うと、より効果的です。
4.業務フローの再設計/マニュアルの作成
整理した内容をもとに、業務フローの再設計を行ないます。マニュアルを作成する際は、どこまでマニュアル化できるかを判断することも大切です。例えば、カスタマーサポートを担うコンタクトセンターなどでは、マニュアル化することで逆にトラブルにつながってしまう可能性もあります。また、マニュアルにないトラブルが発生したときの対処法も、事前に決めておく必要があるでしょう。
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5.定期的に見直し、改善する
業務標準化を行なったら、業務フローやマニュアルをそのままにしておくのではなく、定期的に見直し、改善が必要な部分は積極的に改善することが大切です。計画・実行・評価・改善のPDCAを素早く回すことで、よりスムーズな業務が期待できます。
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まとめ
業務標準化は、全従業員がその業務において同じ成果を出せるようにすることを指します。業務標準化を進めるには、「業務フローの標準化」や「タスクの標準化」が必要です。業務の標準化が進めば、生産性や業務品質の向上が期待でき、成果目標が明確化できるといったメリットも得られるでしょう。
近年ではグローバル展開を行う企業も増えており、海外拠点なども含めた業務標準化が求められています。グローバルな視点での業務標準化は、国内での業務標準化とは異なり、より複雑な標準化が必要です。
NTTコミュニケーションズでは、ICT運用における海外拠点なども含めた業務標準化をサポートする体制が整っています。業務標準化をご検討の際は、一度NTTコミュニケーションズに相談してみてはいかがでしょう。