講演レポート

DX推進×コンタクトセンター

DXで切り拓く!
NTTコミュニケーションズ
次世代コンタクトセンターへの取り組み

各種サービスの多様化・複雑化が進展する中、さらなる効率化と顧客満足度向上への期待の増大、世界的な新型コロナの流行とワークスタイルの変化など、コンタクトセンター業務は今まさに大きな変容を求められています。その課題に対して、NTTコミュニケーションズは、DXと顧客接点高度化による「コンタクトセンター次世代化」の取り組みを推進しています。「第18回itSMF Japan コンファレンス」で行われた、NTTコミュニケーションズの鈴木一広氏の講演(2022年11月25日開催)より紹介します。

NTTコミュニケーションズ株式会社
プラットフォームサービス本部
マネージド&セキュリティサービス部
カスタマーサービス部門 担当課長
鈴木 一広氏

2005年NTTコミュニケーションズ入社。ネットワークからアプリまで幅広いサービスのコンタクトセンター業務を経験し、現在コンタクトセンター向けシステム開発に従事。

コールセンター業務の課題解決を目指し音声基盤をクラウド刷新

NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の鈴木一広氏は、講演の冒頭コールセンター業務の課題について述べます。

「まずお客さまにとっては、Webサイトに情報がない、もしくは見つけられなくて電話をしなくてはいけない。しかし、電話が大変混み合っているというアナウンスが流れて待たされることが多いといったことが挙げられます」(鈴木氏)

一方オペレーターの課題について、鈴木氏は「お問い合わせが多く稼働が減らない、お客さまを待たせているプレッシャーを感じる、お客さまから苦言をいただくこともある、などがあります」と続けます。また、センター運営者は、顧客満足度を上げたいが運用コストは下げたい、コロナ禍においてリモートでの業務の必要性が急速に高まったという課題を抱えているそうです。

NTT Comでは、このような課題に対してDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進。鈴木氏は「取り組みは大きく3つあり、『システムの改善』『カスタマーセルフ化の推進』『自動化の推進』となります」と述べます。

システムの改善とは、音声基盤の改善です。かつてNTT Comのコールセンターでは、電話音声の基盤をオンプレミスでのCTI基盤で構築していました。そのため、開発・運用コストが大きい、機能追加や設定変更に時間がかかる、リモートワークができないなどの課題があったといいます。

鈴木氏は「2019年より音声基盤の刷新に取り組み、オンプレCTI基盤をクラウドベースのものに置き換えていきました」と続けます。

クラウドサービスには、アマゾンウェブサービス(AWS)のクラウドコンタクトセンターサービス「Amazon Connect」を採用し、NTT Comのセンター業務にフィットさせるために、NTT Comの2つのコンタクトセンターソリューション「Your Connect」「コンタクトセンターKPI管理ソリューション~Dashboard~」を導入しました。鈴木氏はシステム改善の効果について言及します。

「基盤の刷新により、開発コストついては、従来のオンプレ基盤と比較して90%を超える削減効果がありました。また、コールフローなどの設定変更についても、利用部門が設定できるようになり、週単位のリードタイムが感覚値ですが従来の半分以下と大幅に短縮できました」

さらに基盤がクラウドベースとなり、インターネット経由で利用できるため、リモートワークも実現可能になったといいます。

チャットボットとセルフ化ツール導入でカスタマーセルフ化を推進

音声基盤の改善に続くのは「カスタマーセルフ化の推進」です。鈴木氏は、コールセンターに入るお問い合わせを分析してみると、ある傾向が見えてきたといいます。

「利用方法に関するお問い合わせは、9割強が弊社Web上のナレッジページをご案内して完了しています。また故障申告に関しては、1/3は弊社サービスの故障か調査が必要なもの、残り2/3はお客さまの環境を確認する必要があるものや、定型の対応であるということがわかりました」

その傾向から、オペレーターが対応している案件の相当量が、セルフ化・自動化できるのではないかという考えに至ったといいます。

カスタマーセルフ化の1つめは、チャットボットの導入で、顧客を回答に誘導するチャットボット「COTOHA Chat & FAQ®」を導入しました。

カスタマーセルフ化の2つめは、セルフ化ツールの導入と展開で、顧客自身が調べる、自動で承ることを可能にするべく、セルフ化ツールを開発・展開しました。鈴木氏は導入効果を述べます。

「利用数がどんどん伸びて、2022年度は10万件以上のご利用が見込まれています」

NTT Comが目指す「次世代のコンタクトセンター」の実現へ向けて

DXの3つめ「自動化の推進」について、鈴木氏は「たとえば大規模故障が発生した際、お問い合わせが集中し、電話がつながらない場合があります。こういったケースに対して、音声応答の自動化を推進しています」と話します。

鈴木氏は、最後に今後の展望を語ります。

「従来のコールセンターからの脱却を図り、DX化によって課題を解決し、より良いお客さまサービスのご提供を目指す次世代のコンタクトセンター化を志向しています。そのための施策の1つめは、『顧客接点のデジタル化・自動化』です。2つめは『連携のデジタル化・自動化』です。そして3つめは、コンタクトセンターにおける『システムの高度化』です」

鈴木氏は、「DX化により見えてくるデータなどの情報管理基盤の高度化といったことを進めていきたいです。データ利活用・分析によって各接点やプロセスを改善していくことにより、さらに効率良くさらに高品質な先を行く顧客体験を実現したいと考えています」と締めくくりました。

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