電話の「あふれ呼」とは? 原因や対策を解説
コールセンターは企業にとって顧客と直に関わる機会の1つなので、コールセンターでの対応業務が顧客満足度や企業ブランドに影響を与えることも多いです。
コールセンターで顧客からのお問い合わせが集中したとき、オペレーターが対応できずに対応漏れが発生してしまうことがあります。これを「あふれ呼」と言います。顧客に対応ができない状況が発生すると、それだけ企業への信頼度が低下することにもつながります。
- あふれ呼が発生する原因は?
- あふれ呼が多いとどんな問題が起きるか?
- あふれ呼の対策方法はどんなものがあるか?
本記事では上記のように思っている方に向け、あふれ呼の原因とその対策を3つ解説します。あふれ呼を防ぐためのツールもご紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
目次
「あふれ呼」って何?「待ち呼」「放棄呼」との違いは?
「あふれ呼」とは、顧客からの電話が集中したことでコールセンターの電話回線数を上回り、対応できずに「あふれてしまった呼(コールセンターへの着信)」を表す用語です。
あふれ呼は顧客を待たせることから「待ち呼(まちこ)」とも呼ばれます。あふれ呼が発生すると、電話がつながらず通話中に音声ガイダンスが流れ続け、顧客は問題を解決できずに長く待たされることになるからです。
コールセンターでは待機している顧客の人数や待機時間の表示を見て、「現在待ち呼が何人いるか」を常に確認しています。よく似た言葉として「放棄呼(ほうきこ)」があり、こちらはオペレーターに電話がつながる前に顧客側から切断した、またはシステム側から切ったコールを指します。この割合を示すのが「放棄呼率」です。
放棄呼率は顧客が電話の待ち時間や音声ガイダンスの長さに不満を抱いていることを示しており、これが低い状態は電話がつながりやすい環境にあるという意味になるので、顧客満足度も上がります。
つまり、あふれ呼や放棄呼を少なくすることが、売上を獲得する機会を逃がさず企業の信頼性を維持するためには必要なのです。
あふれ呼が発生してしまう原因は?
あふれ呼が発生する原因となるのは、入電数の増加やリソース不足などが挙げられます。原因を知ることでどういう対策をすれば良いかが見えるので、確認しておきましょう。
休日明けやイベントなどによる入電の増加
あふれ呼が発生する原因で、まず挙げられる理由が休日明けやイベントによる入電数の増加です。
月曜日は1週間の仕事が始まる日なので、早期に問題を解決したいと考えているお問い合わせ待ちの利用者が増える傾向にあり、入電が多くなる場合があります。特にお昼の時間帯は業務が休憩に入るので電話が集中しがちです。
特定のタイミングで顧客からのお問い合わせが増加すると、回線がパンクしたりオペレーターが対応しきれずにあふれ呼が発生しやすくなります。
また、期間限定のイベントを開いたり受注限定商品の予約受付を開始したりした場合も、お問い合わせや予約の電話が集中するのであふれ呼が増える傾向にあります。
一時的に電話が増加することによって、常駐している人員の数では対応できないケースの場合は、一時的に担当者の数を増やすことで対応は可能です。
しかしお問い合わせの数が普段と同じになると人員が余ることになるので、人を増やすという対策では別の問題が発生します。
Webサイトでは解決できず電話
次に挙げられるのが、顧客が商品やサービスに対する疑問を公式Webサイトでは解決できずに電話をかけてくる事例です。
例えば企業Webサイトには「よくある質問」やお問い合わせフォーム、メールフォームなどがありますが、使いにくかったり返答が遅かったりすると電話をかける顧客の数も増えます。
企業が展開しているサービスの主な利用者層にもよりますが、あまりWebサイトを見ない層をターゲットにしている場合は「とりあえず電話で訊いてみよう」とする顧客数は多くなりがちです。
コールセンターの人員やリソース不足
最後に挙げられる原因が、コールセンターのオペレーターの数や回線数などのリソースが足りない場合です。コールセンターの規模が小さく人員が少ない場合はすべての電話に対応できません。
例えば、1日に500件の入電があってオペレーターの数が10人だとして、1件のお問い合わせへの対応時間が15分だとします。その場合は1時間に4〜5件ほどしか対応できません。実働時間が7時間の場合は10人で約300件ほどしか対応できないので、残りの200件はあふれ呼になります。
また、そもそも企業が電話以外の解決手段を用意していない場合は、必然的に電話での質問件数が増加するのであふれ呼が発生しやすくなります。そのため改善策を考える際は、コールセンター以外のリソースの見直しも必要になるのです。
あふれ呼に潜む問題点
あふれ呼が発生しやすい状態のままでいると、顧客満足度の低下や商品やサービスの売上を得られる機会の損失を招き、企業の信頼度が低下する原因になります。ほかにもオペレーターの離職率の上昇を招いてしまう可能性もあります。
以下、あふれ呼が引き起こす問題点について詳しく確認していきましょう。
応答率の低下による機会損失
あふれ呼で応答率が下がると、売上にも悪い影響を与えます。コールセンターに寄せられるお問い合わせには、「商品についてわからない点があるので解決したい」「サービスの内容をもっと知りたい」などの、成約に直結するものも含まれています。
商品やサービスに興味を持っている顧客は、疑問が解消されれば購入を決めるケースも少なくないので、あふれ呼を生じさせてしまえば売上の機会を逃すことになるのです。
もう一度電話をかけてくれるケースもありますが、電話がつながらなかった時点で購入を止め、別の商品へ目を向けてしまうというケースが多いです。この場合は競合他社に顧客が流れたことになるので、自社の販売戦略に影響がおよびます。
企業イメージや信頼の低下
あふれ呼は企業イメージや信頼の低下にもつながります。コールセンターにお問い合わせをしたいときに電話がつながらず、長時間待たされるのは、顧客にとって大きなストレスです。
疑問点や問題をすぐに解消できなければ、顧客は企業に対してマイナスの印象を抱きやすく、もうその会社の商品を使わない・購入しないといったケースに発展しかねません。
あふれ呼が増えることは企業のサービスや商品の価値を損ねるだけでなく、顧客の企業に対する信頼を低下させる原因になるのです。
オペレーターのモチベーション低下
あふれ呼はオペレーターの勤労意欲低下の原因にもなります。長時間待たされてイライラしている顧客の中には、電話がつながった途端にオペレーターへ怒鳴ったりクレームをぶつけたりする人もいます。
真剣に対応しようとしているのに何度も怒鳴られると、オペレーターは心身ともに強いストレスを感じ、体調不良を理由に離職してしまうこともあるでしょう。
オペレーターが仕事を辞めると、そのしわ寄せは別の担当者が引き受けるので負担が増し、さらなる離職へとつながる可能性もあります。つまり、あふれ呼は自社の人材を失うことにも関係しているのです。
人を増やさずにあふれ呼を防ぎたい! 3つの対策
あふれ呼は各種問題につながるので、減らす努力をすることが大切です。しかし単に人員を増やすだけでは人件費の高騰や職場の負担増加を招くだけに終わる可能性があります。
あふれ呼を防ぐ以下の3つの対策をご紹介します。
- チャットボットを導入する
- IVRを導入する
- ボイスボットを導入する
①チャットボットを導入する
チャットボットとはテキストベースの自動返答システムのことです。
顧客からの質問にAI(人工知能)が24時間365日ずっと対応してくれるので、顧客は時間を気にせずに質問ができ、企業にとっては担当者の負担を軽減することになります。
よくある質問に対しては回答を覚えさせておくことで、瞬時に返答できるようにします。チャットボットで疑問が解決できれば電話をしてこない顧客が多いので、電話の本数が減少、あふれ呼を減らすために効果的な手段の1つです。
②IVRを導入する
IVRとは自動音声応答システムのことです。
顧客がコールセンターに電話をかけた際に自動で応答し、質問内容に応じて電話のボタンを押してもらうことで要件に最適な担当者へ誘導したり資料請求や商品購入などを自動で受け付けたりします。
オペレーターへの入電削減することや、対応が必要な要件だけを選別してつなげられるので、あふれ呼を大幅に減らすことができます。
③ボイスボットを導入する
「ボイスボット」とはAIによる音声認識技術を活用した、音声ベースの電話自動応答システムのことです。顧客の発話した内容を理解し、返答やオペレーターへの転送処理を行うといった機能を備えています。
チャットボットがテキストベースであるのに対し、こちらは音声対応が可能なので電話対応への導入ができ、オペレーターを介さずに顧客の用事を完結できる点が特徴です。
顧客から電話が入るとボイスボットのAIは事前に設定されたシナリオに沿って対応し、顧客の話す内容をテキスト化して解析、最適な回答を検出・テキスト化してから音声として出力します。
何度も顧客との会話を重ねることによりAIが学習し、状況に沿った精度の高い回答を返せるようになります。
顧客は利便性が向上し、コンタクトセンターは人員の負担軽減になるでしょう。
あふれ呼を防ぐならNTTドコモの「AI電話サービス」
あふれ呼を防ぐにはNTTドコモの「AI電話サービス」の利用がおすすめです。
AI電話サービスは従来の定型的な電話対応業務をAIが担うサービスなので、あふれ呼を防ぎやすく、オペレーターの負担軽減につながります。
ドコモ独自の音声認識技術により自然な会話が可能で、会話相手の名前や質問内容などの情報収集力も高く、質問に対する回答も素早いので顧客満足度の向上に役立てることが可能です。
さらに、顧客関係管理(CRM)システムなどの社内既存システムと連携させられるので、お問い合わせのあった顧客情報や対話履歴の一括管理・利用もしやすくなっています。
まとめ(あふれ呼対策について)
あふれ呼は顧客による商品購入の機会損失や顧客満足度の低下、人員の離職など複数の問題を引き起こす原因になります。
あふれ呼対策にはチャットボットやIVRの導入などがありますが、中でもボイスボットは顧客の話した内容を理解して返答するので、あふれ呼予防に大きな効果を発揮します。
ドコモのAI電話サービスは応対内容のカスタマイズができ、機械学習によって回答の精度向上が期待できるほか、各種システムとの連携ができるので利用者の満足度を下げずに企業の労力削減・業務効率化の実現へつなげることが可能です。
お問い合わせ業務などの業務効率化についてお悩みごとがあれば、AI電話サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。