システム運用とは?
仕事内容や保守・管理との違いについて解説!

システム運用は、システムが正常に動作するために必要な、保守や管理をエンジニアが行うことを指します。日常のあらゆるビジネスシーンでシステムが活用されている現代において、システム運用はなくてはならない業務の1つです。
しかし、その具体的な仕事内容は正しく理解されていないことも多く、システム保守の業務と混同されることも少なくありません。
そこで本記事では、システム運用の概要やシステム運用保守との違いを解説し、具体的な仕事内容を紹介します。

システム運用の概要やシステム運用保守との違いを解説し、具体的な仕事内容を紹介します。

システム運用とは?

まずは、システム運用とはどのような業務なのか、概要を解説します。

システム運用の概要

システム運用とは、コンピューターシステムやソフトウェアを正常に機能させるための管理業務を指します。ITやシステムが開発・導入されて、本格稼働を開始したあとは、永続的に行われる業務です。

システム運用業務には、システムの稼働状況の確認やトラブルの対応、定例のアップデートやセキュリティパッチの適用、バックアップや情報管理などが含まれます。

システム運用は、システムを利用するユーザーが、日々安心してシステムを使用できることを目的としています。

システム運用の種類

システム運用は、その管理対象から、大きく3つの種類に分けられます。

システム運用業務には、システムの稼働状況の確認やトラブルの対応、定例のアップデートやセキュリティパッチの適用、バックアップや情報管理などが含まれます。

  • システム管理
  • ネットワーク管理
  • 業務運用管理
  • システム管理は、システムの安定稼働を目指して、システム全体をエンジニアが運用・管理する仕事です。システム内のハードウェア・ソフトウェアなどの資産管理、ファイル管理やバックアップ、アプリケーションの設定などを行います。そのため、システム管理を担当するエンジニアは、サーバーやOSに関する知識などを含め、幅広いスキルが必要です。

    ネットワーク管理では、システムのインフラ部分であるネットワークを管理します。具体的な業務内容は、ネットワーク自体の監視やトラブル対策、ネットワーク運用に密接に関係するセキュリティ管理などです。

    ネットワーク監視では、コマンドや監視ツールを用いて、ネットワークが正常稼働しているか確認し、特定のネットワーク機器へのアクセス集中がないかなど、システムダウンにつながる兆候を事前に検知して対応します。

    業務運用管理は、システムの業務部分について運用を行う仕事です。例えば、スケジュールどおりにジョブが実行されているかの確認や、バックアップスケジュール実行・結果の正常確認などが含まれます。また、システムをユーザーが利用するためのユーザー登録・ユーザー情報管理なども、業務運用管理の仕事です。業務運用管理担当には、システム的な知識のほかに、ユーザー業務に関する知識が求められます。

    システム運用とシステム保守の違い

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    システム運用とシステム保守は、似た用語として混同されることが少なくありません。そこで、両者の違いをあらためて確認しておきましょう。

    システム運用とは、稼働中のコンピューターシステムや情報システムを、安全かつ効率的に運用するための管理業務を指します。

    システム運用に含まれるのは、トラブルシューティング、パフォーマンスの監視や最適化、バックアップやリカバリー、セキュリティ対策など比較的高度な技術を要する業務です。サーバー起動・停止、データ入力といったシステムに関する定例業務のほか、故障などのトラブルが発生した際に暫定対応を行い、最低限のシステム稼働を存続させる役割などもあります。

    一方のシステム保守は、すでに導入されたコンピューターシステムや情報システムを、定期的に保守することを指します。保守とはすなわち、修理・修繕・整備・交換・補充などを通して、システムを正常な状態やより良い状態にメンテナンスすることです。

    運用の多くがシステムの安定稼働を目的とした定期的な業務であるのに対し、保守の多くはシステムに手を加える突発的な業務である点で異なります。

    システム保守の具体的な業務内容には、システムのハードウェアやソフトウェアの修理・交換、故障などが発生した際のプログラム修正対応、データベースのチューニングなどが含まれます。また、業務フロー変更やユーザー要望追加に応じて、新しい仕様に合わせた新規機能追加の開発を行うこともシステム保守の業務です。

    このように、システム運用とシステム保守は異なる概念ですが、どちらもコンピューターシステムや情報システムの安全かつ効率的な運用に必要な業務という点では共通しています。組織体制によっては、1人のエンジニアが両者を兼任していることもあります。

    システム運用における仕事内容

    次に、システム運用の具体的な仕事内容をいくつか紹介します。

    システム監視

    システムが正常に動いているかを日々監視し、安定運用がなされているかエンジニアが確認します。具体的には、日々のジョブログやリソースの使用量を監視し、問題が発生していないか、今後問題が起こりそうにないかのチェックなどです。

    トラブル発生時の記録

    システム監視結果やシステム監視ツールから発報されるアラートを通じて、ネットワークやサーバーなどのトラブルをいち早く発見し、再起動や復旧作業をエンジニアが行います。その際、トラブル発生時の情報を記録・保存するのも、システム運用業務の役目です。

    トラブル発生要因の究明・対策

    トラブルへの対応が済んだあと、なぜトラブルが発生したのか原因究明を行います。また、その結果を踏まえて、今後同様のトラブルが起きないように対策を検討します。

    運用方法の考案

    システム運用方法の見直しや運用手順書作成、マニュアルの更新などもシステム運用業務の1つです。システム運用が属人的になるのを防ぎ、日々の運用からトラブル対応まで、エンジニアによって差が出ないように環境を整えます。

    システム運用における運用方法

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    システム運用方法は、システムの構築・運用形態から2種類に大別できます。それぞれの運用方法の特徴や、メリット・デメリットを紹介します。

    オンプレミス型

    オンプレミス型は、社内にサーバーや通信回線、システムを構築し、自社で運用する形態です。自社内で自由に構築・運用を行うため、カスタマイズ性が高く、既存システムとの連携も実現しやすいメリットがあります。

    一方で、ソフトウェアからハードウェアまで、自社ですべての環境をそろえる必要があるため、比較的コストがかかるのがデメリットです。運用開始後も、基本的に利用しているすべての機器・システムについて、メンテナンスや不具合対応などを自社で行わなければなりません。そして、それを担当する人材を採用・育成するためのコストもかかるでしょう。

    また、コストとともに構築の手間もかかるため、運用開始までに時間がかかる点もデメリットとして挙げられます。

    クラウド型

    クラウド型とは、インターネットを介して、オンラインサーバーで提供されているシステム・サービスを利用するものです。オンプレミス型と違い、ITインフラを自社で用意する必要がないため利便性が高く、現在多くの企業がクラウド型サービスを活用しています。

    クラウド型は、オンライン上にできあがっている仕組みを利用してシステム運用が行えるため、比較的低コストで利用できるのが特徴です。特に、オンプレミス型ではインフラ導入の初期費用がかさむ傾向にありますが、クラウド型であればそのコストを大幅に抑えられます。

    また、セキュリティ環境が整った状態で、サービスが提供される点もメリットです。セキュリティの確保はシステム利用に向けた重要な課題ですが、多くの企業にとって自社だけで万全な環境を整えるのは難しいのが現状です。その点は、クラウド型サービスの利用によって、セキュリティ確保の負担や手間を低減できるでしょう。

    デメリットとしては、自社の既存システムとの連携が難しく、オンプレミス型と比べてカスタマイズの制約がある点が挙げられます。場合によっては、クラウド型システムの利用に合わせて、既存システムや業務フローを大きく変えなければならないかもしれません。

    システム運用設計でのポイント

    システムを安全に運用するためには、適切なシステム運用設計が欠かせません。運用設計とは、日々の業務やシステムの運用方法・運用ルール、トラブル発生時の対応手順などをあらかじめ定めておくことです。

    これにより、日々のシステム安定稼働や効率的なシステム利用に役立つのはもちろん、故障などの非常時も迅速に対応でき、損失を最小限に抑えられます。

    以下では、システム運用設計を行ううえで、重要なポイントを5つ紹介します。

    運用環境を把握する

    運用設計を行ううえでは、システム運用環境について、ハードウェアやソフトウェア、通信環境などをすべて把握することが必要です。運用管理対象を漏れなく洗い出し、それぞれに必要な監視や管理方法を設定します。

    運用手順を策定する

    システム運用において必要な手順を策定し、それを実施するための作業手順書やマニュアル、関連資料を作成します。これにより、エンジニアは定例業務をスムーズかつ効率的に行えます。

    クラウド型は、オンライン上にできあがっている仕組みを利用してシステム運用が行えるため、比較的低コストで利用できるのが特徴です。特に、オンプレミス型ではインフラ導入の初期費用がかさむ傾向にありますが、クラウド型であればそのコストを大幅に抑えられます。

    故障時の対応を計画する

    システムに故障などが発生し、サービスが停止した場合の対応策を事前に想定し、計画しておきます。システム運用は、予期しない故障が起こってもシステム停止時間を最小限にとどめ、できる限りサービスや業務に影響が出ないようにしなければなりません。そのためには、故障などが起こった場所やパターンごとに対応方法を策定し、有事の際にスムーズに実行できるようにしておく必要があります。

    また、どのような状況でも機能維持するための仕組みを用意することも重要な活動です。予備電源を設けるなどの対策も、事前に講じておきましょう。

    どのタイミングで、どこに連絡・報告するかなどのエスカレーションについても、合わせて詳細の策定が必要です。

    バックアップや復旧に対する対策を講じる

    システムに問題が発生した場合に備え、データ保存のためのバックアップ取得や、復旧手順を策定します。バックアップにあたってはデータの性質に合わせて、適切なバックアップスケジュール(日次、週次、月次、年次)を検討しましょう。

    運用状況の管理を行う

    システムの運用状況を監視し、問題発生時には早期に検知できる体制を整えます。監視対象リソースと監視方法を適切に設定し、問題発生時は必要なアラートが必要な場所に届くような設計が求められます。

    Kompiraで既存の運用フローを自動化

    近年では業務におけるクラウドの導入やDX推進などで、システム数自体が増えており、監視作業や定期業務などにおける負荷も増しています。Kompiraでは、これまで手作業で行われていた既存業務を、既存の運用フローを変えることなく自動化することができます。

    なお、Kompiraには4つのシリーズがあり業務内容に合ったツールを導入することで、効率的に運用フローを自動化することが可能になります。

    ・Kompira AlertHub
    オペレーターに頼っていた監視アラート業務を自動化することが可能。通常エンジニアが開発するような自動化システムを簡単に導入することができます。

    ・Kompira Pigeon
    エスカレーション電話を自動化できる「Kompira Pigeon」。重大アラートを担当者に知らせることができる自動電話があり、24時間稼働するサービスを守ります。

    ・Kompira Enterprise
    人の手で行っていた運用業務のフローを変えることなく、さまざまなシステムとの連携を行うことで運用業務の自動化を実現します。

    ・Kompira Sonar
    構成管理をエージェントレスで自動化することが可能。オンプレ・クラウド双方の構成情報を一元管理することができます。

    なお、これらのシリーズはさまざまなツールとも連携することが可能で、既存で使用しているツールを変えることなくスムーズに自動化へ移行できる点も魅力の1つです。

    また、Kompiraを導入することで以下の問題も解決することができます。

  • 運用業務における人手不足の解消
  • 人為的ミスの防止
  • 業務の属人化を防ぐ
  • まとめ

    システム運用は、ITシステムやそれによる日々の業務を安定稼働させるための、重要な業務です。システムの改修などを担当するシステム保守とともに、利用者が安全かつ効率的にシステムを使えることを目的としています。それを実現するためには、毎日の定例業務だけでなく、故障などの非常時でもスムーズに対応できるよう、適切な運用設計が必要です。

    システム運用はシステム全体を管理するため、自社ですべてをまかなおうとすると手間やコストがかさみます。その際に、Kompiraのようなサービスを活用すれば、運用管理のコスト削減に役立つでしょう。

    最適なシステム運用設計とともに、ルーティン業務などをできる限り標準化・自動化することは、運用業務のクオリティを上げることにもつながります。

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