持続可能な社会の実現!
「SDGs」の達成を目指すIT活用とは
SDGs達成に向けたIT活用とは?ここではITを活用したSDGs達成に向けた取り組みについて紹介します。
クラウドで実現するエネルギー利用の効率化
「SDGs」(Sustainable Development Goals)は、2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で採択された持続可能でよりよい世界を目指す開発目標である。
SDGsでは「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」といった17の国際目標が掲げられており、その下に169のターゲットと232の指針が決められている。たとえば「貧困をなくそう」では「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」や「2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる」などといったターゲットが示されており、その実現に向けてアクションを起こすことが先進国を含めたすべての国に求められている。
昨今では、SDGsの達成に向けた取り組みを進める企業も増加している。例としては、男女や国籍を問わず活躍できる仕組みを整えることによる、「ジェンダー平等を実現しよう」や「人や国の不平等をなくそう」への貢献、あるいは事業活動で生じるゴミの削減による「つくる責任 つかう責任」への対応などが挙げられるだろう。
このSDGsを早期に達成するためには、ITを社会全体で有効に活用する必要があると言われており、NTT Comの「X Managed®」も、そのような取り組みを支援するために活用できると考えられる。
たとえば「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」という目標では、「2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる」がターゲットの1つとなっている。これを実現する上で、大きなポイントとなるのはクラウドの積極的な活用だろう。各企業が利用するシステムをクラウド上に集約すれば、個別に運用するよりも効率的にエネルギー利用ができる可能性がある。
Amazonにおいては、2030年までに全世界の事業で使用する電力を自然エネルギー100%で調達する取り組みを行ってきたが、新たにオーストラリア、スペイン、スウェーデン、米国の4カ国で自然エネルギーの開発プロジェクトに着手。4カ国のプロジェクトを合わせると発電規模は約300MW(メガワット)に達し、年間で約8億4000万kWh(キロワット時)の電力を供給できる見込みであり、いずれも各国にあるAWSデータセンターで利用する電力になるという。Amazonはパリ協定の目標よりも10年早く、2040年までに事業活動で排出する温室効果ガスをネットゼロに削減することを宣言している。
X Managed®では、クラウドサービスとして幅広く使われている「Amazon Web Services」および「Microsoft Azure」の運用支援や、クラウドを含めた運用負荷を軽減することができる「ITSM Platform」を提供している。また、セキュアなVPN環境で「ServiceNow」を利用できる「ServiceNow Secured over VPN」も注目される。
これらを利用することでクラウド利用を加速し社会全体のエネルギー効率を改善することができれば、SDGsの達成に向けた支援ができるというわけだ。さらに、各クラウドサービスが動作するデータセンターを再生可能エネルギー由来の電力で運用するようにすれば、「つくる責任 つかう責任」のターゲットである「2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する」においてもより多くの貢献ができるだろう。
またクラウドの利用は、「作業と技術革新の基盤をつくろう」で求められている、「持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する」ことにも貢献できる。しかし、その一方でクラウド上でのシステム運用では、オンプレミスとは異なるスキルやノウハウが求められるのも事実だ。それをカバーするのがX Managed®であり、このサービスを利用することで比較的容易に安心してクラウド利用環境を整えることが可能となり、幅広い分野で技術革新を加速できる可能性がある。
運用業務の自動化やアウトソースで向上する経済生産性
SDGsでは雇用環境の改善や労働における不平等の改善、そして経済成長をターゲットとする「働きがいも 経済成長も」という目標も掲げている。このターゲットの1つとして挙げられているのが「高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する」だ。
これをITの運用・監視業務に置き換えて具体例を挙げてみる。今後、単純な運用業務やセキュリティのための監視業務については、更なる自動化およびアウトソースによって合理化し、オペレーターの労働時間をより付加価値の高い業務にシフトすることが求められてくる。そのような中で利用できるのが、セキュリティ監視業務をアウトソースできるX Managed®の「トータルマネージドセキュリティ」や、社内ユーザーからの問い合わせに対応する「スーパーヘルプデスク」といったサービスである。これらを利用することで、自社の従業員を付加価値の高い業務にシフトすることが可能となり、その結果として、働きがいの向上と経済の成長を果たすことができると考えられる。
なおNTT Comで提供しているスーパーヘルプデスクは、多言語に対応し、言葉の違いによる障壁を少なくしていることも大きな特徴となっている。そのため、SDGsの「人や国の不平等をなくそう」のターゲットとなっている「2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する」に対する貢献を考える上でも有効である。
また、SDGsでは、都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靱かつ持続可能にするため、「住み続けられるまちづくりを」という目標も掲げられている。そのターゲットに、「2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う」というものがある。
これの達成に貢献できると考えられるサービスが、監視運用を支えるカスタマーサービスセンター(CSC)のBCP対策である。情報通信システムを利用しているさまざまな企業の事業継続に役立つだけでなく、その企業で働く人たちや、その企業のサービスを享受している人たちの命や暮らしを守ることにもつながるため、こうしたサービスを活用したBCPの実現は極めて社会的意義が大きいだろう。
このように、ITおよびIT関連サービスを効果的に利用すれば、SDGsのさまざまな領域で、より多くの貢献をすることが可能になると考えられる。企業としての社会的責任を果たすことで顧客や投資家から選ばれ続け、自社を持続的に成長させてゆくために、SDGsへの貢献に向けてITをどのように活用していくべきか、仕事仲間といっしょに議論し、検討してみてはいかがだろうか。