【入門編】アドネットワークとは?
配信の仕組みやメリット・デメリットを解説

アドネットワークは、多くの広告配信メディア(広告媒体)に対して、まとめて広告を配信できる便利なネットワークです。しかし、なじみが薄い人にとってはわかりにくい点もあり、似た言葉や近いサービスとの混同もされがちです。そこで、アドネットワークの入門編として、概要やメリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。

アドネットワーク(Ad Network)とは?

アドネットワーク(Ad Network)とは、運用型広告の一種です。ブログやSNS、サイトなど複数の媒体を用いた、広告の露出量を増やすためのネットワークと表現することもできます。そもそも「アド」とは広告を意味するadvertisingの略語です。そこで、アドネットワーク自体が「広告のネットワーク」なのだと考えるとわかりやすさが増します。
アドネットワークを利用すると多数のメディア(媒体)を1つにまとめて広告を出せるので、個別のサイトに広告を上げる方法より効率的です。
以下の項目では、アドネットワークが世の中に登場するまでの背景や、DSP、アフィリエイトとの違いなどを解説します。

アドネットワークが登場した背景

インターネットを利用した広告配信は、1996年ころから始まっており、この時期にはバナー広告やメール広告が登場しています。その後、アフィリエイト広告やリスティング広告などさまざまな手法が登場し、アドネットワークが登場したのは2008年ころとされています。

アドネットワークが登場する以前には、自社にとってどの広告媒体が良いのかを見極めたり、個々の媒体に広告掲載を依頼したりするなど、広告担当者は非常に多くの手間がかかっていました。また、掲載に要する料金にも媒体ごとに違いがあったので、予算を都度考えたり、どの価格が適切なのかを判断したりする必要もありました。費用がわかりにくい場合、予算を組んだり稟議を通したりする手間もかかり、担当者だけでなく企業全体として多くのリソースを割かなければなりません。

ほかにも、広告がターゲットの目に触れるまでのタイムラグや、各広告媒体から上がってくるデータの分析の手間などもあり、アドネットワークが普及する以前の広告配信業務の煩雑さは、現在では考えられないほどでした。

このような背景から登場したアドネットワークでは、多くの媒体に一括で広告掲載ができ、トラフィック量の確保にも優位性がありました。そのため、広告配信を行う担当者にとって、配信までの煩雑さを大きく軽減できる存在として、広く利用されるようになります。

アドネットワークとDSPの違い

DSP(Demand Side Platform)は、「広告主が広告出稿時のコストパフォーマンスを最適化するためのプラットフォーム」といった趣旨で説明されます。しかし、この説明を見る限り、アドネットワークとの違いがわかりにくいのは無理もありません。

両者の違いは明確で、アドネットワークが多数の媒体を一括して扱える「ネットワーク」であることに対し、DSPはあくまでもツールやシステムとして位置付けられています。DSPはアドネットワークより後から登場したもので、想定したターゲットを規則性にもとづいて選択し、複数のアドネットワークに広告配信できるシステムです。アドネットワークの目的は広告配信の「最大化」で、DSPは「最適化」を目的としています。

アドネットワークとアフィリエイトの違い

アフィリエイトは掲載した広告に対して、事前に取り決めた以上の成果が出たときに報酬を出す広告システムです。広告主はASP(Application Service Provider:インターネット経由でアフィリエイトサービスを行う企業)に仲介してもらうかたちでアフィリエイターと契約し、広告を発信します。

アフィリエイターは自身が管理する媒体でアフィリエイト対象の商品やサービスを掲載し、クリック数やインプレッションに応じて報酬を得ます。
広告主としては、アドネットワークより費用対効果が高いメリットがある一方、報酬やトレンドと絡む条件次第で、アフィリエイターから選ばれにくい広告があることに注意しなければなりません。

アドネットワークの仕組みと関連技術

仕組み

アドネットワークの仕組みに関連するのは、広告主、アドネットワーク業者、アドネットワークに加盟する媒体の三者です。

まず広告主はアドネットワーク業者に対してLP(ランディングページ)やクリエイティブ(広告制作物や素材)、入札金額などを登録します。この際、広告主はジャンルや配信時間の指定が可能です。アドネットワーク業者は、広告主が出した条件を踏まえて適切な媒体に広告配信を行います。
広告主は、配信した広告が上げている成果を随時確認できます。成果として確認できるデータは、クリック数やクリック率、表示回数やコンバージョン率などです。 また、アドネットワークに加盟する媒体としては、少ない手間で広告主とつながれる点に加盟のメリットがあります。

アドネットワークを支える技術

アドネットワークを支える技術の中で重要なものに、RTB、データエクスチェンジ、アドエクスチェンジがあります。以下でそれぞれの概要を紹介します。

RTB (Real-Time Bidding)

RTBはReal-Time Biddingの略語で、日本語にすると「即時入札」という意味をもちます。この仕組みにより、アドネットワークでは広告をリアルタイムで入札可能です。1インプレッションごと、0.1秒以下のわずかな時間でオークションが実施され、最大の入札単価を出した広告主の広告がエンドユーザーに届きます。

データエクスチェンジ

企業にとって、ユーザーの購買履歴や属性、Web上における行動パターンは重要な情報です。このような情報(オーディエンスデータ)を交換するシステムを、データエクスチェンジと呼びます。このシステムによって、各企業は広告配信を最適化しやすくなります。

アドエクスチェンジ

アドネットワークと混同されがちですが、アドエクスチェンジは複数の広告媒体やアドネットワークにおける広告枠を、一括して入札できるプラットフォームです。1インプレッションごとに取引を行えるほか、広告媒体ごとにさまざまな課金方式があっても入札方式に統一できるなどのメリットがあります。

アドネットワークの配信方法

アドネットワークを使って配信を行う場合の方法には2種類あり、それぞれターゲティング配信、ノンターゲティング配信と呼ばれています。

ターゲティング配信

ターゲティング配信は、広告配信を行うにあたって、年齢や性別、関心をもつジャンルといったユーザーの属性を指定する方法です。ターゲットが限定されるサービスや商品の広告を出す場合に、コンバージョン率、ひいては費用対効果が上がりやすくなります。
自社のサイトを閲覧したユーザーに広告配信するリターゲティング広告は、効果的なターゲティング配信の一種です。すでに関心をもったユーザーにアプローチするので、成果につながりやすいというメリットがあります。

ノンターゲティング配信

ターゲティング配信のようにユーザーを絞ることなく、多くのユーザーに広告配信する方法です。ターゲットが限定されるニッチな商品よりも、多くの人に使用される日用品や美容品といった商品の広告配信に向いています。

アドネットワークのメリット・デメリット

アドネットワークには広告出稿の効率化や省コスト化といったメリットがある反面、利用の仕方や商材によってはデメリットもあります。

アドネットワークを利用するメリット

アドネットワークを利用すると、多くの媒体にまとめて広告配信できるので、発信時のリソースを軽減できます。また、入稿設定や入札設定など指定すべき条件が少ないことも魅力です。さらに、広告配信の成果はほぼリアルタイムで分析できるため、時間や曜日などの分析を加えて調整していけば、配信効果をより多く上げられます。ほかにも、各アドネットワークのターゲティング方法の違いに着目しながら利用することで、目的や目標に到達しやすくなる点も、アドネットワークのメリットの1つです。

アドネットワークのデメリット

まず、広告媒体(メディア)の指定が不可能であるため、ターゲットではない相手やサイトに広告が配信されることがあります。

そのようなトラブルを回避するため、広告の出稿先として適さないドメインを管理するためにアドネットワークのシステムでブラックリストを作成することが重要です。また、ほとんどのアドネットワークでは、提携している出稿先をカテゴリごとに分類しているため、出稿の際に掲載を希望するカテゴリを選択することが可能です。 また、提携先の種類や広告の形式(画像やテキスト)は、アドネットワークごとに異なり、特に効果的に配信できるターゲットが存在します。そのため、広告キャンペーンの目的に合わせて適切なアドネットワークを選択しないと十分な効果を得にくいという問題もあります。

さらには、アドネットワークによってターゲティング方法や入札方法が違うことから、煩雑な運用を要求されるケースも見られます。
広告出稿の効率化や利便性を重視してアドネットワークを取り入れるには、各アドネットワークに合わせた運用を行う必要があります。

アドネットワークの今後の懸念:Cookie規制

アドネットワークの今後を考える上では、Cookieとその規制が重要なポイントになります。なぜなら、リターゲティング広告に影響を及ぼすからです。

ユーザーがサイトを利用する際、Cookieによって入力情報やWeb上の行動が保管されます。Cookieの存在は、ユーザーにとっては同じ情報を何度も入力する手間が省けることにつながり、サイトを用意した側にとっては、ユーザーのWeb上での行動や、流入径路、回遊率などの入手につながるため、双方にメリットがあります。

Cookieには主として、ユーザーが閲覧したドメインが発行するファーストパーティクッキーと、ユーザーの閲覧していないドメインが発行するサードパーティCookieがあります。サードパーティCookieはドメイン間を横断してトラッキングしたり広告出稿したりするときに便利です。しかし、ユーザーにとっては、個人情報の侵害になるのではないかという点で懸念事項に当たります。

そこで、サードパーティCookieは規制すべし、という見方が世界で広がりました。日本では2022年から法的に明記された「個人関連情報」にサードパーティCookieも該当すると解され、その取得にあたってはユーザーに同意確認を求めることが義務づけられています。しかし、これによって同意しないユーザーが発生するようになり、アドネットワークが行っていたユーザーの追跡は困難になりました。

正確なデータが得られなければ、リターゲティング広告で十分な広告配信の効果を得られなくなります。Safariは2017年にサードパーティCookie規制を始めており、Chromeも2024年から段階的に規制することを告知しています。

これらを踏まえると、リターゲティング広告に頼る広告配信を避けることや、機械学習などを利用した情報収集を導入することなどが、今後の広告戦略として重要です。

ドコモビジネスのdocomo Ad Network(ドコモ アドネットワーク)

最後に、ここまで説明したアドネットワークを活用してドコモが運営するメディアに広告配信できるソリューション、docomo Ad Networkをご紹介します。

docomo Ad Networkは、メッセージS、マイマガジン、dmenu、dポイントクラブといったドコモ独自のメディアに横断的に広告配信できるアドネットワーク型広告サービスです。ドコモが持つ契約者情報※やdポイントクラブ会員データ※を活用するため、正確な情報をもとにターゲットを絞りこみ広告を配信することができます。また、ほかの媒体ではアプローチしにくいドコモ独自のユーザー、購買意欲が高めのユーザーに配信できる点もメリットです。
※個人の特定につながる情報は含まれません。

広告配信をご利用であれば、上記の点を踏まえて、ぜひdocomo Ad Networkをご利用ください。

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