ターゲティング広告とは? 種類やメリット・デメリット、課題について解説
マーケティング戦略を展開する上で、ターゲティング広告は非常に効果的な方法です。ここでは、ターゲティング広告の概要をはじめ、その仕組みや多様な種類、メリット・デメリットを解説します。ターゲティング広告の実施に役立つおすすめのサービスも紹介するので、ぜひご参考にしてください。
目次
ターゲティング広告とは?
ターゲティング広告とは、高いコンバージョン率が見込めるユーザー層(ターゲット)を狙って広告を配信する手法です。広告出稿者は、ユーザーの属性や行動履歴などを分析し、どのようなユーザーにアプローチするか条件を設定した上で広告を配信します。例えば、旅行会社なら旅行に関心があるユーザーに対して、化粧品会社なら化粧品に関心があるユーザーに対して、自社の広告を配信するといった方法です。
仕組み
「自社の広告に関心がありそうなユーザーを特定して配信する」というターゲティング広告の特長は、主にCookie(クッキー)の機能に支えられています。Cookieとは、Web上に蓄積されるユーザーのさまざまな活動記録です。具体的には、自社サイトへの流入経路、閲覧したWebページ、検索履歴、クリックした広告、利用環境などが挙げられます。
これらの情報をもとに、広告出稿者はユーザーの興味関心を把握し、それに合致した広告を配信可能です。先の化粧品会社の例で言えば、「化粧品の検索をしているユーザー」などをCookieで識別して自社の広告を配信できます。
ターゲティング広告とリスティング広告の違い
ターゲティング広告と混同されがちな広告手法として、リスティング広告が挙げられます。
リスティング広告とは、検索エンジンにユーザーが入力した語句に対応して、検索ページのトップに表示される広告です。「特定の語句を検索したユーザーに絞って配信する広告」という意味では、リスティング広告はターゲティング広告の一種として捉えられます。
ただし、次の章で紹介するように、ターゲティング広告には、リスティング広告以外にもさまざまな種類があるので、「ターゲティング広告=リスティング広告」ではありません。ターゲティング広告は、リスティング広告も含めてさまざまな広告手法を包含した、より広義の概念です。
ターゲティング広告の種類
オーディエンスターゲティング
オーディエンスターゲティングとは、今どのようなWebページを見ているかに関係なく、ユーザー個々人の特性に適した広告を配信する手法です。具体的には、商品の購入履歴やサイトの訪問履歴などのCookieをもとにユーザーの興味やニーズを特定し、それらと密接に関連した広告を配信します。
オーディエンスターゲティング広告は、さらに以下のような種類に分類できます。
リターゲティング
リターゲティングとは、自社サイトに訪問したことのあるユーザーを対象に広告を配信する方法です。自社サイトへの訪問履歴があるユーザーは、その時点で自社の商材に一定の関心があると想定されるため、高いコンバージョン率が見込めます。
サイトターゲティング
サイトターゲティングとは、特定のサイトの訪問者に絞って広告を配信する方法です。そのサイトに訪問するユーザーはどのような興味関心、ニーズを持っているのか推測し、それらに即した広告を表示します。
行動ターゲティング
行動ターゲティングとは、サイトの訪問や商品の購入、資料請求、広告のクリックなどの行動にもとづいてターゲットを絞る方法です。ユーザーの関心を高精度に反映した広告を配信できます。
サーチキーワードターゲティング
サーチキーワードターゲティングとは、指定した語句を検索したユーザーに対して広告を配信する手法です。検索中のユーザーは、そのキーワードに対してリアルタイムに強い関心を持っていると想定されるため、高い訴求効果を期待できます。リスティング広告もこの一種です。
類似ユーザーターゲティング
類似ユーザーターゲティングでは、成約者や自社サイトへの訪問者などに近い特性を持ったユーザーに広告を配信する手法です。このようなユーザーはほかのユーザーより自社や自社サービスへのへの興味が高いと考えられるので、より効果的な広告配信が期待できます。
属性ターゲティング
属性ターゲティングとは、性別や年齢、地域、家族構成、世帯年収などの属性情報をもとにターゲットを絞り込んで配信する方法です。これによって、「30代の主婦層をターゲットにした商品」など、ターゲットがはっきりしている商材の広告を効果的に配信できます。
コンテンツターゲティング
コンテンツターゲティングとは、自社が設定したキーワードに対応したコンテンツを含むサイトに広告を配信する手法です。このアプローチでは、ユーザーの興味やニーズに直接結びついたコンテンツと類縁性のある広告を配信することで、コンバージョンの向上を目指します。
例えば、「化粧品」というキーワードにヒットする美容関係のハウツーサイトに化粧品の広告を配信するなどが挙げられます。この方法は、ユーザー個々人をピンポイントでターゲットにするオーディエンスターゲティングと異なり、コンテンツ単位で「面」のターゲティングを行えるのが特長です。広告の設定は、手動またはシステムによってカテゴライズされたコンテンツに合わせて行います。
デバイスターゲティング
デバイスターゲティングは、ユーザーが使用しているデバイスの種類にもとづいて広告を配信する手法です。デバイスのカテゴリには一般的に「デスクトップPC」「スマートフォン」「タブレット」などがあり、配信する広告の内容を、特定のデバイスを使用しているユーザーグループに最適化できます。
例えば、BtoBの広告はデスクトップPCユーザーに、BtoC向け商品の広告はスマートフォンユーザーに配信するなどです。デバイスの種類だけでなく、OSやそのバージョンに応じた設定もできます。
ジオターゲティング(位置情報マーケティング)
ジオターゲティングとは、スマートフォンなどの位置情報(GPS)やPCのIPアドレスから取得可能な位置情報を活用して、特定の場所にいるユーザーをターゲットに広告を配信する方法です。
例えば、「レストラン おすすめ」と検索した人が大阪駅にいる場合、大阪駅周辺のレストランの広告を表示するといった仕方が具体例です。この手法は特に実店舗を持つ企業が地域密着型のマーケティング戦略を展開したい場合に有効であり、オフラインでの集客を促進できます。
曜日・時間帯ターゲティング
曜日・時間帯ターゲティングは、広告の配信を特定の曜日や時間帯に限定する方法です。特定の曜日や時間帯にセールやキャンペーンなどを行う場合に適しています。
また、ターゲットとするユーザーの生活リズムや行動パターンなどに合わせて広告を展開したい場合にも有効です。例えば、一般的な会社員をターゲットにする場合、土日の昼間や平日の通勤時間などに広告を配信することで、コンバージョン率が高まる可能性があります。
ターゲティング広告の運用方法
自社で運用する
ターゲティング広告を運用する第一の方法は、自社に担当者を置いて直接的に広告運用することです。インハウス運用と呼ばれることもあります。自社運用の利点は、アウトソーシングする場合に比べて、コストを抑えやすいことです。また、ターゲティング広告の運用ノウハウを社内に蓄積していけることもメリットとして挙げられます。社内の人間という立場を活かして、他部署とスムーズに連携したり、広告で扱う商品の知識などを日頃から深めたりしやすいのも大きな点です。
ただし、ターゲティング広告を運用する際には、多種多様な選択肢の中から自社に適した手法を選んだり、細かな条件設定をしたりすることが求められます。そのため、自社運用で大きな成果を出すためには、ターゲティング広告に精通した人材の確保や育成が必要になるのがネックです。
代行業者を利用する
第二の方法は、広告代理店などの代行業者を利用することです。
この方法のメリットは、自社運用に比べて時間や手間を大きく省けることが挙げられます。広告運用には、ターゲットの分析から実際の運用、効果検証、改善策の立案まで、多大な労力が必要です。自社に広告運用に精通した人材がいなければ、雇用・育成する時間もかかります。その点、代行業者を利用すれば、そうした手間暇を最小限に抑え、スムーズに運用が可能です。優れたスキルやノウハウを持った専門家の手腕によって、自社運用以上に大きな成果も期待できます。
その一方で、代行業者を利用するデメリットとしては、当の業者が多数の案件を抱えている場合、対応スピードが遅くなる恐れがあることが挙げられます。また、代行業に依頼するには、手数料が必要となるので、費用対効果を慎重に見極めることが重要です。料金、運用実績、得意とする業界や媒体など、多角的な観点から依頼する業者を比較検討しましょう。
ターゲティング広告のメリット・デメリット
メリット
ターゲティング広告の最大のメリットは、コンバージョンにつながりやすく、コストを抑えられることです。ターゲティング広告では、あらかじめ自社の商材などに関心のある可能性が高いユーザーを選別した上で広告を配信するので、商品購入や資料請求などのコンバージョン率を効果的に高められます。コンバージョン率が高まることは、顧客獲得単価の低下に直結するので、広告運用の費用対効果を大きく向上可能です。
デメリット
ターゲティング広告のデメリットとしては、運用の難しさが挙げられます。ターゲティング広告で大きな成果を出すには、ターゲットの適切な分析・選定や、自社に最適な広告手法の採用など、複雑な判断を要します。分析・選定のリソースがなかったり、自社に知見のある方がいなかったりする場合は、AIを用いたターゲット設定の自動化サービスや運用代行を検討してみてはいかがでしょうか。また、ユーザーに不快感や不信感を与えかねないことも懸念される点です。Cookieをもとにした広告配信は、ユーザーに対して、オンライン上での行動を盗み見ているような悪印象を与える恐れがあります。
ターゲティング広告の今後の課題:Cookie規制
個人情報保護の意識が高まるのに伴い、ターゲティング広告に対して、先述のような不快感を覚えるユーザーが増えつつあります。こうした状況を反映して世界的に広がりつつあるのがCookie規制の流れです。
例えば、日本では、2020年に改正された個人情報保護法によって、ユーザーに無断でCookie情報を収集・利用することが禁じられました。また、GoogleやAppleなどのプラットフォーマー側からもサードパーティCookieを制限・廃止する動きが出ています。
サードパーティCookieとは、ユーザーが訪問している該当サイト以外の第三者によって発行されるCookieです。簡単に言うと、自社サイトの外でサイト横断的にユーザーの行動を追跡するために用いられます。さらに、AppleはサードパーティCookieだけでなく、端末識別情報(IDFA)を利用したユーザーの情報収集にも制限をかけるようになりました。
このようにCookieやIDFAを利用した情報収集が難しくなることは、ターゲティング広告の精度にとって大きな打撃です。そのため、Cookie規制や個人情報保護の意識がより強まっていくであろう今後、どのような方法で広告を運用していくべきかがマーケターにとって大きな課題となっています。
ドコモ広告サービスならAIを活用した効果的なターゲティングが可能
ターゲティング広告で成功を収めるためには、豊富なユーザー情報の取得と、それにもとづいた的確なターゲット設定が欠かせません。これらの課題を解決する上で役立つのが、ドコモビジネスが提供する「ドコモ広告サービス」です。
ドコモ広告サービスでは、NTTドコモが保有する膨大なユーザー属性データ※にもとづいて、事前のプランニングから広告配信後の効果検証まで、ワンストップで企業の広告運用をサポートします。ドコモの携帯電話契約者情報やdポイントクラブ会員データをはじめ、基地局による位置情報やd系サービスの利用情報など、多彩で正確なユーザー情報を活用可能です。
これらのユーザー情報を組み合わせ、さらに、AIも活用することで、高精度のターゲット設定が期待できます。
※個人の特定につながる情報は含まれません。
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