英語教育をもっと自由に~最新テクノロジー活用で新しい発信の場を~

立命館大学が取り組む先進的な授業の1つが、生命科学部・薬学部の「プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)」です。学生たち自身が起ち上げたプロジェクトの成果をアカデミックな英語で発信するプログラムで、3回生の必修授業ではグループごとに専門テーマを研究し、考察をポスターセッション形式で発表します。2022年度は、初の試みとしてメタバース上でプレゼンテーションを実施しました。

メタバース空間で汎用的な英語力と発信力を身につける

新しい英語教育をめざす教員の挑戦で実現~大学初のXR英語プレゼン~

プロジェクト発信型英語プログラムでは、学生が自ら探究心を持って自律的に学ぶことをめざし、新しい英語教育の形を追求しています。さらなる発展のため、2022年5月に実施された学内の「教育開発DXピッチ」に教員がチームを組んで挑戦。英語学習のさまざまな障壁を取り除き、英語教育を成果発信型にアップデートする必要性を力強く訴えました。AIやVRなどの先端技術を活かした次世代型の英語学習プラットフォームを構築する計画を打ち出し、見事優秀賞を受賞。これを受けて早速7月に実現したのが、メタバース空間でのポスターセッションです。
3D空間で自らがアバターとして自在に動き回り、場所を越えたコミュニケーションを実現するメタバースは、コロナ禍で急速に注目を集めるようになりました。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などのXR技術は、ゲームに限らず企業活動や教育分野での活用が広がっています。今回の発表会で採用されたのは、NTTコノキューが提供するXRプラットフォーム「NTT XR Space WEB(DOOR)」。ウェブブラウザーからも簡単にアクセスでき、PCやスマートフォンの画面上でもVRゴーグルでも利用できる3Dバーチャル空間です。学生はグループの発表ルームにポスターを掲示したり好みのオブジェクトを配置したりして自由に空間を作り上げ、アバターの姿で発表を行いました。

3D空間で大規模なポスターセッションを開催

楽しみながら学ぶ! がここに
学生がアバターでバーチャル空間を行き交う

かつては大きな会場で開催されていた優秀グループによる合同ポスター発表会は、ここ数年、新型コロナウィルス感染症の影響により、やむをえずウェブ上での動画とPDFの公開で代替されてきました。しかし、メタバース空間であれば、リアルな環境と同様のにぎわいや双方向性を感じることができます。
必修授業の最終日にあたる発表会は、全500名の受講生を半数ずつ2時限に分けて実施されました。大勢の学生が、人や動物など好みのアバターとなってメタバース内を行き交います。3D空間内を移動すると、音の大きさで距離を感じられたり参加者同士で直接会話ができたりと、カジュアルな雰囲気ながら緊張感もあり、ポスター発表にはぴったりです。
発表は事前に選ばれたグループが各ルームで実施。オーディエンスは発表タイムに好きなグループを選んでプレゼンテーションを聞き、最後には全員が自由にポスターを見てまわりました。

発表者もオーディエンスもわくわく
個性的な発表ルームで自信を持って発表

発表者は、英語で作成したポスターを見せながら、すべて英語でプレゼンテーションをします。授業では専門領域で使う英語表現を効果的に体得する工夫がされており、このポスター発表はその集大成です。対面のような臨場感がありながら、姿はアバターになりきった独特の空間で、個々のスピーキングスキルに関わらず、皆自信を持って発表しました。
各発表グループが創り上げた3D空間は実に個性的です。ポスターを多数掲示しているグループもあれば、テーマに関連するオブジェクトをにぎやかに配置しているグループ、動画や3Dオブジェクトを取り込んでいるグループも。発表テーマも、びわ湖の環境問題や新型コロナウィルス、昆虫食、男性の美容などさまざまです。

教員も学生も最先端テクノロジーで新しい世界にチャレンジ

無理かな?が、やってみたい! に
メタバースで英語教育をアップデート

本英語プロジェクトがめざすのは英語教育のアップデート。語学の時間に英語を閉じ込めることなく、また、英語力や学年の違いで挑戦のチャンスを奪うことなく、英語で考え発信する経験を積める場なのです。リアルな環境では、失敗を恐れたり恥ずかしさを感じたりしがちですが、メタバースという空間が英語を使う経験を豊かにする1つの役割を果たしたといえるでしょう。楽しみながら学ぶ姿に、新しい英語教育の姿が見えました。
この新たな試みの中心を担ったのは、生命科学部の山中司教授、木村修平准教授、山下美朋准教授、薬学部の近藤雪絵准教授です。初のチャレンジも関わらず、学生が素晴らしいプレゼンテーションを展開したことを一同高く評価しました。

英語教育のアップデート英語教育のアップデート

テクノロジー×英語が今後学生の活動を支える必須スキルに

テクノロジー×英語が今後学生の活動を支える必須スキルに

山中教授は授業を振り返り、将来ビジネスや学会などで当たり前になるであろうメタバース環境を先取りして経験して欲しいという思いが込められていることを学生に説明。「最先端のテクノロジーの中でやっているという自負を持ってください」と呼びかけました。近藤准教授は「ポスターからコンテンツが飛び出してくるようなプレゼンでした」と、想像を上回る工夫で挑んだ学生を讃えます。山下准教授は「外国語学習や外国語でのコミュニケーションが新しいカタチとなってきていることを実感した」。木村准教授は、教員一同の意識を「テクノロジーとICTと英語をこれからの時代のインフラ的スキルと捉えている」と表現し、今後も最先端技術を取り入れた学習環境の構築に力を入れることを約束しました。
9月からは授業にAI自動翻訳を導入するなど、新たな試みも始まりました。単純な語学学習にとどまらず社会で使える能力として、学生自身が能動的にスキルを体得することを目指します。ドコモビジネスも未来に向かって挑戦する学校、先生、学生たちと共にこれからも歩んでいきます。

学校法人立命館 立命館大学(びわこ・くさつキャンパス)

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(びわこ・くさつキャンパス)

〒525-8577 滋賀県草津市野路東1丁目1-1
https://www.ritsumei.ac.jp/
プロジェクト発信型英語プログラム
http://www.pep-rg.jp/

学校法人立命館では学園ビジョンR2030「挑戦をもっと自由に」を掲げ、予測困難な時代に、柔軟に粘り強く変化に対応できる力を育むことを大切にしています。政策目標の1つとしてテクノロジーを活かした教育・研究の進化に力を入れており、NTTドコモ・NTT Comと連携し、サイバー空間とフィジカル空間が融合した新たなキャンパスの創造に向けて取り組んでいます。

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