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GIGAスクール構想により1人1台のPCが整備され、さまざまな学習サービスの利用が広がっています。多様なサービスに簡単にアクセスできる学習eポータルとして活用されているのが「まなびポケット」です。文部科学省が提供するCBT※システムMEXCBTに対応し、利便性の高い教育クラウドプラットフォームサービスとして注目されています。
MEXCBTの登場で高まる学習eポータルの重要性
クラウド時代の学びやすさをていねいにサポート
現在学校で利用されているデジタル学習教材やツールの多くはクラウド型で、個別に異なる仕様で提供されています。これらすべてにひとつのIDで共通の入り口から簡単にアクセスできるようにするなど、学びやすさの環境を整えるのが学習eポータルの役割です。「まなびポケット」は、各教材の利用状況を一元的に把握できる機能や、欠席連絡などの保護者向け機能も備え、子ども達の学びやすさだけでなく、保護者の利便性向上や教員の業務負荷軽減も実現しています。
さらに現在学習eポータルの役割として求められているのがMEXCBTとの連携です。近年国際的な学力調査や資格検定試験でCBT化が進んでいる流れを受け、文部科学省では公的CBTプラットフォームMEXCBTの開発を進めてきました。コンピューター上で全国学力調査や地方学力調査を実施したり、豊富に蓄積された問題を授業や家庭学習の演習に利用したりできるシステムで、すでに全国の希望する学校での利用が始まっています。MEXCBTは基本システムを提供しますが、学習者や教員が利用しやすい形で問題を提示したり、学習データの分析をしたりするには学習eポータルが必要です。まなびポケットはMEXCBTに対応した学習eポータル標準モデルに準拠しているため、安心の学習プラットフォームとして選ばれています。
※CBT:Computer Based Testingコンピューターを使用して回答する方式の試験
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教育関係者向けセミナーで新しい学びの姿を共有
教える授業から子どもたちが学びとる授業設計へ
まなびポケットを運営するNTTコミュニケーションズでは、2022年7月に「教育ICTオンラインセミナー2022 令和の日本型教育が目指す姿」を開催し、新しい学びの姿に学習eポータルが与えるインパクトを探りました。
セミナー冒頭では熊本大学大学院特任教授前田康裕先生が講演。1人1台のPCと学習eポータルにより環境が整ったとしても、子ども達が自ら学びたいと思わなければ仕組みは機能しないと指摘し、子ども達が学びに向かう力を高めるために学習の設計自体を変える必要があると語りました。ポイントになるのが、教師が教える授業から、子どもたちが学び取る授業スタイルへの転換です。対話をもとに問題解決につなげる協働的な学びや、自分のやり方で到達度に応じた学習する個別最適な学びを設計することが重要です。
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
自ら学ぶ力を育てることが大切
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前田先生は、協働的な学びや個別最適な学びの中でPCを活用している実例を示し、思考の見える化、共有や対話の促進、学びの振り返り、個別の能力の増幅などにPCが役立っていることを解説しました。これらの活動の中で、自分の考えを客観視するメタ認知の力が育まれ、自己肯定感が上がり、自律的に学ぶ力を高めることができるのです。
「仕組みを作っていく部分と、一方で、教育の側として学校や保護者や子ども達がどうやって自ら学べるようにしていくかということの両面が必要です」と前田先生。新しい仕組みは教育観の変革とセットになって初めて生かされるという、大切な視点に立ち返ることができました。
まなびポケットが新しい学びの現場を支える
複数アカウントの効率的な管理が必須
続いて鹿児島市立学校ICT推進センター所⻑木田博氏が、鹿児島市でまなびポケットを導入した経緯と活用可能性について講演しました。鹿児島市の公立学校では、用途の異なる10種類近くのクラウドサービスを使用しています。「アカウント管理業務をいかに軽減するかということが今、教育委員会においても学校においても至上命題になっています」と木田氏。まなびポケットを使うと、ひとつのアカウントで、連携するクラウドサービスにすべてアクセスでき、学習者にも管理者にも非常に便利です。ポータル画面は学校ごとにカスタマイズでき、安心して使える保護者機能もあります。
学習eポータルを選定する際には、鹿児島県内の学校で継続利用できる県域アカウントの運用価値も考慮して、各社のサービス内容を一つ一つ項目ごとに比較検討したと木田氏は明かします。その結果、鹿児島市の状況に最も合うのがまなびポケットでした。
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学習データの利活用で学びをサポート
木田氏がまなびポケットの可能性として注目するのが、学習データの利活用です。まなびポケットでは、連携する各クラウドサービスの使用状況を、学習者別、学級別、教員別などで可視化できます。木田氏は、データから子どもたちの個々の学びの型を見とって個別最適な学びにつなげたり、先生ごとの傾向を把握して効果的な指導ノウハウの共有につなげたりできることを示し、教員の勘と経験に頼ってきた現場に、エビデンスをもとにしたサポートが広がる可能性に期待を寄せました。
これを受け、モデレータを務めたNTTコミュニケーションズの稲田友は、まなびポケットの学習データ分析機能は今後さらに充実することを紹介しました。将来的にはMEXCBTの回答状況と各種アセスメントのデータをかけあわせた分析も行う展望です。教育現場のニーズに寄り添いながら、まなびポケットも成⻑していきます。
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まなびポケット
「まなびポケット」は全国の学校で利用されている教育クラウドプラットフォームサービスです。児童生徒がPCで利用する多様なデジタル教材や授業支援ツールと連携し、1つのIDで簡単にアクセスできるポータル環境を提供します。学習履歴や、ユーザー情報の管理など、教職員や管理者にとって便利な機能も充実しています。