デロイト トーマツ グループ
グローバル案件の増加に伴い社内翻訳ニーズが急増
AI翻訳サービスの導入で迅速かつ高品質な顧客対応を実現
デロイト トーマツ グループ
Corporate Management Division
コーポレート企画
真鍋 幸二氏
「セキュリティ面と使い勝手の良さ、コスト面がサービス選定のポイントとなりました」
デロイト トーマツ グループ
Document & Language Support Division
安本 真那氏
「増え続ける翻訳業務に対応するには、AI翻訳サービスの導入が必須でした」
課題
グローバルな連携ニーズの増加、バイリンガル人材への対応などで
社内翻訳部署への潜在ニーズは従来キャパシティの約10倍に
監査、税務、法務、コンサルティングといった幅広いプロフェッショナルサービスを提供するデロイト トーマツ グループの掲げるPurposeは「makes an impact that matters.」。国内拠点はもとより、提携するデロイトのネットワークにある世界150の国や地域のファームとの緊密な連携により、最も重要な課題に挑戦し、解決し続けることで顧客の成長、社会の発展に寄与することだ。
近年のデジタライゼーションの進展に伴い、同社の顧客を取り巻く環境は大きく変化。とりわけグローバルエリアをまたぐ顧客案件の増加に起因し、スピーディかつ的確な事業のサポートや知見の提供が求められるケースが増えた。デロイトトーマツグループの真鍋幸二氏は、顧客ニーズの変化が同社の社内業務を変革させる契機になったと語る。
「変化する顧客ニーズに対応するため、グループを統括するコーポレート機能(部署)の主導で社内業務を効率化、高度化するプロジェクトを立ち上げました。現在、ITや自動化ツールを積極的に導入し、グループ経営の強化に向けた取り組みを進めています」
取り組みの一環として、導入を検討されていたのがAI翻訳サービスだった。同社ではグループ内の翻訳を一手に請け負うDLS(Document & Language Support)という部署を設けている。近年、海外のグループ法人と連携する機会が増え、さらにグループ内のバイリンガル人材が増加。デロイト トーマツ グループの安本真那氏は、自身の所属するDLSの負荷が増大していたと振り返る
「DLSでは年間11,000時間の稼働をかけて翻訳業務にあたっていたのですが、人手では対応できないボリュームの依頼が舞い込んでいました。潜在的な翻訳ニーズを含めると、おそらくDLSの許容量の10倍近くに達しており、これらのオーダーすべてに対応するためにAI翻訳サービスの導入検討を開始しました」
さらにDLSに加えて、全国の拠点でも便利な翻訳サービスを求める声が急増。グローバル規模の事業を推進する顧客からスピード感のある対応が求められるケースが増え、DLSへの依頼だけでなく「(各組織が)自分たちで対応したい」というニーズも生まれていた。
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対策
使いやすさやコストを条件にサービスを絞り込み、
強固なセキュリティ対策が最終的な選定の決め手に
一般的なAI翻訳サービスの選定では、翻訳の精度やツールとしての使いやすさ、導入や運用コストなどが重視される。しかし同社では、以前よりクラウド型AI翻訳サービスの導入を検討する際、その都度セキュリティの壁に阻まれていた。顧客情報を含むグループ内の機密情報を安全に利用できることが、導入の前提条件だ。
「デロイト トーマツ グループは非常に厳格なセキュリティ基準を定めています。また、今回クラウド型AI翻訳サービスの導入にあたっては、SAML認証によるシングルサインオンの実装は外せない条件でした。複数サービスの中で、その条件を唯一クリアしたのがNTTコミュニケーションズ株式会社からの提案だったのです」(安本氏)
同社が選定したのは、AI自動翻訳サービス「COTOHA® Translator」だ。ニューラル機械翻訳技術によりTOEIC960点超レベルの翻訳精度を実現し、翻訳に要する時間を人間の数十分の一から数百分の一に短縮できる。さらに業界特有の専門用語を登録できる辞書機能も備えており、使いながら翻訳精度を高めるチューニングも可能だ。
「決め手はセキュリティと利便性を両立できるSAML認証に対応していたことです。加えてDLSはもとより、全社展開を想定した場合に定額制で利用できるコストパフォーマンスの高さも評価しました」(安本氏)
COTOHA® Translatorは、手始めにDLSを含むコーポレート機能内のスタッフ600名に試験導入された。
「いきなり全社に展開するとシステムの負荷が大きいと判断し、まずは運用の感覚や課題感をつかむために1カ月ほど回してみました。ここで手ごたえをつかんだため各ビジネスの現場にアナウンスし、全社展開しました」(真鍋氏)
導入から約半年が経過し、現在はグループ内で約2,000 IDが利用されている。真鍋氏は、急速な普及の理由は“使い勝手の良さ”にあると述べる。
「マニュアルを読まなくても直感的に操作でき、OfficeやPDFのファイルごと翻訳できる利便性の高さが好評です。本来、新たなツールを導入する際には研修が必要ですが、今回はグループ内への告知だけで、利用者が増えています」
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効果
ヒトとAIの協働体制で圧倒的なスピードと品質を両立
翻訳業務の大幅な効率化で本来の顧客対応力も強化
サービス導入から半年で、すでにグループ内には大きな変化が起きている。DLSでは英訳、和訳の双方で使われており、安本氏は自然な表現に仕上がる翻訳精度の高さを評価する。
「とはいえ社外に出すオフィシャルな文書の翻訳にはプロによるアシストは必要です。AIと専門知識を持つ人を連携させることでDLSのキャパシティが拡大され、スピーディに対応できる体制ができると考えています」
ビジネスの現場での利用が拡大したため、DLSへの依頼内容も変化。一から翻訳するのではなく、AIで翻訳した文書をチェックする依頼が増えたことで、DLSの負荷軽減につながっている。さらにAI翻訳が従業員に気軽に使ってもらえている点を安本氏は評価する。
「利用ログを見ると短文が圧倒的に多く、通常のメールのやり取りでも頻繁に使われているようです。当グループでは、最新のグローバルトレンドを分析した英語版インサイトを多数発行していますが、それを簡単にCOTOHA® Translatorで和訳し大筋を把握することで、お客様への提案に役立てるような使い方も見られます」
図 「COTOHA® Translator」導入後の効果
真鍋氏は、このような圧倒的なスピード感がビジネス現場での利用者の拡大や高評価につながっていると分析する。
「私の部署は社内文書が多いので、簡単にAIにかけてレビューしてリリースできるようになりました。手軽に翻訳できるスピード感が社内はもとより、お客さまとのやりとりでも重宝されているようです。煩雑な翻訳業務から解放され、本来業務に注力できることで事業基盤の強化にも貢献していると思います。今後、さらなる利用者の拡大、運用の効率化に向けてチャットボットでの一次回答やID申請の自動化なども進めています」
今後、デロイト トーマツ グループでは、VPN接続によるセキュリティ強化、多言語の翻訳対応なども視野に入れ、よりセキュリティレベルの高い機密文書の翻訳を目指す計画だ。AI翻訳による抜本的な事業変革により、顧客のグローバルな事業を支える迅速かつ高品質なサービスの提供を実現する。同グループの取り組みは、社内変革が顧客満足度に直結する好事例と言えるのではないだろうか。
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デロイト トーマツ グループ
事業概要
1968年、日本全国規模の初の監査法人として設立。現在は国内30都市以上に1万名以上の専門家を擁する日本最大級のビジネスプロフェッショナルグループとして監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務・法務などの幅広いサービスを提供している。
URL
https://www2.deloitte.com/jp
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(掲載内容は2020年3月現在のものです)
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