インボイス制度で押さえておくべき領収書のルール4つ

インボイス制度で押さえておくべき領収書のルール4つ

公開日:2023/10/31

2023年10月からインボイス制度が開始されており、すでに対応を求められている企業も多いのではないでしょうか。インボイス制度とは、売り手が適格請求書を買い手に発行し、それを両者が保存しておくことで仕入税額控除を受けられる仕組みです。実際にこの制度を利用するためには、今までの区分請求書に適格請求書発行事業者の登録番号や適用税率などを追加しなければならないため、記載項目が変化します。そのため、対応に迫られる企業も少なくありません。

また、インボイス制度では請求書だけでなく、領収書やレシートにおいてもいくつかの要件を満たす必要があります。そのため、企業が仕入額控除を受けるためには領収書に関する定められたルールを押さえておく必要があるでしょう。

今回は、インボイス制度における領収書の概要やインボイス制度の要件を満たすために押さえておきたいルールなどを解説します。

インボイス制度における領収書とは?

インボイス制度における領収書とは?

インボイス制度は、売り手が買い手に適格請求書発行し、仕入額控除を受ける仕組みです。この適格請求書は、一般的な請求書に加えて領収書やレシートなども取引を証明する証憑書類として扱われます。そのため、仕入額控除を受けるためには、領収書に関してもインボイス制度の要件に則って記載する必要があるのです。

つまり、領収書においても仕入額控除を受けるためにはルールに則って適格請求書を発行しなければなりません。また、領収書をもとに適格請求書を発行した場合、その領収書は控えを保管する義務が生じます。

適格請求書とは?

適格請求書とは、適格請求書発行事業者によって発行されるインボイス制度の要件を満たした請求書や領収書のことです。インボイスは適格請求書を意味します。売り手が買い手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるために発行され、従来の区分記載請求書に登録番号や適用税率、消費税額等が記載された書類のことです。

適格簡易請求書とは?

適格簡易請求書とは、適格請求書に比べて記載内容が簡略化された請求書のことです。別名、簡易インボイスともいわれます。

適格簡易請求書は、適格請求書のように受領者氏名や名称を記載する必要がありません。また、適用税率もしくは消費税額のどちらかを記載するだけで発行可能です。適格簡易請求書は、記載すべき内容が適格請求書に比べて少なくなると覚えておくとわかりやすいでしょう。

インボイス制度で押さえておきたい領収書のルール4つ

インボイス制度で押さえておきたい領収書のルール4つ

インボイス制度を利用して仕入額控除を受けるためには、以下のルールに沿って適格請求書を発行する必要があります。具体的なルールを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

適格請求書は登録番号、適用税率、消費税額を記載する

1つ目のルールは、登録番号や適用税率、消費税額を適格請求書に記載することです。

領収書を適格請求書として発行する場合、従来の区分記載請求書に『登録番号』、『適用税率』、『消費税額』を追加する必要があります。これらの記載がない場合、領収書を適格請求書として発行することができないので、注意するようにしましょう。

適格簡易請求書は登録番号及び消費税額を記載する

2つ目のルールは、適格簡易請求書を発行する場合、登録番号及び消費税額を記載することです。

不特定多数の人々に対して事業を行う企業は、適格簡易請求書を発行することができます。不特定多数に向けてサービスを展開する企業例としては、飲食業やタクシー業、小売業などが挙げられるでしょう。

前述した通り、適格簡易請求書は適格請求書に比べて記載すべき項目が少なくなります。従来の区分記載請求書に登録番号及び適用税率もしくは消費税額のどちらかを記載すれば要件を満たすことが可能です。

1つの適格請求書に対して端数処理は1回

3つ目のルールは、1つの適格請求書に対して端数処理は1回という点です。

端数処理とは、消費税計算を行う際、1円未満の端数が発生したときにそれを切り捨てたり、切り上げたりすることです。基本的に、端数処理の仕方は法律による定めがなく、判断は企業に委ねられます。

インボイス制度では、この端数処理を適格請求書・適格簡易請求書ごとに1回と定められています。例えば、複数の商品を買い物するとき、領収書には購入したそれぞれの商品の金額と消費税が記載されます。インボイス制度導入前は、商品ごとに端数を処理することが可能でした。しかし、インボイス制度導入後は領収書(商品の合計金額)ごとに端数処理を行う必要があります。

仕入税額控除を受ける場合、3万円未満の領収書も保存が必要

4つ目は、仕入額控除を受ける場合は3万円未満の領収書も保存しなければならないという点です。

インボイス制度前において、3万円未満の取引に関しては帳簿の記載条件を満たしていれば領収書を保存する必要がありませんでした。一方、インボイス制度導入後は、仕入額控除を受ける場合、3万円未満の領収書も保存義務が生じます。

しかし、3万円未満の公共交通機関を利用した運送料など適格請求書の交付が困難なものは免除されるため、領収書の保存は不要です。

受領する側が押さえておきたいインボイス制度領収書の注意点

企業は領収書を受領し、インボイス制度のルールに則って処理する必要があります。インボイス制度開始後は大きくルールが変化するため、受領側がどのような点に気を付けなければならないのかについて解説します。

適格請求書発行事業者かどうかで仕分けをする

1つ目の注意点は、領収書ごとに適格請求書発行事業者かどうかを仕分けすることです。

適格請求書もしくは適格簡易請求書を発行することができるのは、適格請求書発行事業者のみとなります。しかし、免税事業者の場合も経過措置の適用を受けることができるため、登録番号がある事業者と登録番号がない事業者で領収書を仕分けしなければなりません。

適格簡易請求書に不備がないかチェックする

2つ目の注意点は、適格簡易請求書に不備がないかチェックすることです。

適格簡易請求書は適格請求書に比べて記載項目は少ないものの、従来の区分記載請求書と比較して記載内容が増えます。そのため、記載漏れが発生する可能性があるのです。

適格簡易請求書を受領する際は、登録番号の有無や適用税率もしくは消費税額の記載があるかチェックするようにしましょう。

原本及び電子データの領収書を保存する

3つ目の注意点は、原本もしくは電子データの領収書を保存しなければならない点です。

インボイス制度を利用して領収書から適格請求書を発行する場合、3万円未満のものも領収書の保存が義務付けられます。また、領収書を電子データとして受領したときは、電子帳簿保存法に則って領収書を保存しなければなりません。

今後、ペーパーレス化に伴い電子データの領収書を受領する機会は増えるので、電子帳簿保存法に対応した経費精算システムの導入が求められるでしょう。

まとめ

今回は、インボイス制度で押さえておくべき領収書のルールについて解説しました。領収書から適格請求書を発行する場合、従来の区分記載請求書に比べて記載項目が増えたり、領収書を適切に保存しなければならなかったりします。また、電子データで領収書を受領したときは電子帳簿保存法に対応した領収書の管理が求められるでしょう。

NTTコミュニケーションズでは、電子帳簿保存法に対応した経費精算システム『SmartGo® Staple』を提供しています。インボイス制度を利用して仕入額控除を受ける場合、電子帳簿保存法へ対応しなければならない機会は増えるので、このタイミングで導入を検討しましょう。

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