自宅=事務所の個人事業主なら固定資産税が経費扱いに出来る?

自宅=事務所の個人事業主なら固定資産税が経費扱いに出来る?

公開日:2023/12/21

個人事業主の中には、自宅兼事務所で働いているという人も少なくありません。特に、個人事業主として駆け出しのときは、事務所を借りたり、購入したりする費用がないというケースが多いです。そのため、自宅の一部を事務所として運営し、仕事に取り組まれる方もたくさんいます。

個人事業主は1年間に1度、確定申告を行い、国に収入を申告する必要がありますが、この際に事業運営にかかったお金は経費として計上することができます。経費として落とすことで全体の利益が下がるので節税の効果を得ることが可能です。経費として落とせるものにはさまざまなものがありますが、自宅兼事務所の場合、固定資産税を経費扱いにできるのかどうか気になる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、個人事業主が自宅兼事務所の固定資産税を経費できるのかどうかについて詳しく解説していきます。

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固定資産税とは?

固定資産税とは、毎年1月1日に土地や建物、償却資産を保有する方にその固定資産の価格をもとに算出される税額を市町村が課税する税金のことです。納税義務者は、固定資産課税台帳に登録されている方となります。また、課税標準は適正な時価、標準税率は1.4%です。

固定資産税の対象となる具体的な資産は、土地や家屋、償却資産です。対象となる土地は、田畑や宅地、池沼、山林、牧場などが挙げられます。また、家屋は住家や店舗、工場や倉庫です。償却資産は、都市や家屋以外の事業用で使用している資産を表します。

個人事業主は固定資産税を経費にできる

結論からいえば、個人事業主は固定資産税を経費にすることができます。家屋や土地、償却資産を保有し、それを事業で使用している資産にかかる固定資産税は、経費計上が可能です。また、自宅兼事務所などプライベートと事業を併用して家屋等を使用している場合でも経費にすることができます。

しかし、自宅兼事務所として使用している場合、その家屋にかかるすべての固定資産税を経費計上することはできません。自宅兼事務所の個人事業主は、事業で使用している部分とプライベートで使っている部分を分類し、事業用で使用している部分だけの固定資産税を経費計上します。固定資産税に限らず、自家用自動車を事業で使用している場合など、生活費と事業費が混在しているもので合理的な基準でわけて計算することを家事按分といいます。

家事按分の計算方法は、床面積から事業用として使用する割合を算出する方法や自宅で事業を行う日数・時間で計算する方法などが一般的です。自宅兼事務所として使用している方は、固定資産税の全額を経費計上するのではなく、合理的な基準にわけて計算し、事業用の部分だけを経費計上するようにしましょう。

自宅兼事務所の事業用の使用率を家事按分で算出する計算式は下記の通りです。

【1 床面積から事業用の使用率を算出するための計算式】
事業用使用率=業務で使用している面積÷総床面積

【2 日数や時間から事業用の使用率を算出するための計算式】
事業用使用率=業務使用時間÷在宅時間

床面積から事業用の使用率を算出する場合、まずは上記の①の計算式で事業用使用率の割合を算出してそこから固定資産税の総額に対して使用率をかけます。例えば、事業用で使用している面積が50平米で総床面積が100平米の場合、事業用使用率は50%です。そして、固定資産税が50万円なら25万円を経費として計上することが可能です。

時間や日数から算出する場合、在宅時間から業務使用時間を割って事業用使用率を算出し、そこから固定資産税に業務使用率をかけます。例えば、在宅時間が20時間、業務時間が10時間の場合、事業で使用している割合は50%です。固定資産税が50万円の場合、同様に25万円を経費として計上することができます。

個人事業主が固定資産税を経費にする際の勘定科目について

個人事業主が固定資産税を経費とする際、使用される勘定科目は租税公課です。租税公課は、国や地方に納める税金、公共団体に支払う会費などが挙げられます。個人事業主で青色申告をしている人は、確定申告のときに青色申告決算書の損益計算書内で経費を記入しますが、経費の一番上に設けられているのが租税公課です。
自宅兼事務所の個人事業主が固定資産税を経費計上する際は、自宅から事業用部分の割合を算出して計上できる固定資産税を把握し、租税公課で処理するようにしましょう。

個人事業主が経費にできるそのほかの税金

個人事業主は固定資産税だけでなく、そのほかにも経費計上できる税金があります。税金を経費計上することで、節税効果を得ることができるので、確定申告をされる方は、ぜひ参考にしてください。

個人事業税

1つ目は、個人事業税です。

個人事業税は個人事業主が都道府県に対して支払う地方税のことです。課税対象者は、法定業種であり、事業所得が290万円を超える個人事業主となります。そのため、すべての個人事業主に課される税金ではありません。

個人事業税は、租税公課として経費計上することができます。

償却資産税

2つ目は、償却資産税です。

償却資産税とは、建物や土地以外の固定資産にかかる税金のことです。償却資産の例としては、ボートなどの船舶や飛行機、パソコン、機械などが挙げられます。

消費税

3つ目は、消費税です。

個人事業主は消費税を経費に計上することができます。ただし、免税事業者ではないことが条件です。

消費税は、一般的に税込処理方式もしくは税抜処理方式で会計処理されます。税込処理方式の場合、消費税は租税公課として経費計上することが可能です。また、税抜処理方式では仮受消費税等や仮払消費税等などの勘定科目で会計処理をします。

自動車税

4つ目は、自動車税です。

事業用として自動車を使用しており、それにかかる税金は経費に計上することができます。ただし、プライベートで使用している自動車の税金を含めることはできないので注意が必要です。また、自動車をプライベートと事業で併用して使用している方は、按分して経費計上しなければなりません。この場合、全額を経費計上することはできません。

不動産所得税

5つ目は、不動産所得税です。

不動産所得税は、土地や建物を取得したときに課される税金です。会計処理をするときは、租税公課で経費計上します。

都市計画税

6つ目は、都市計画税です。

都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業を実施する市町村がその都市の区域内にある土地や建物に課される税金のことです。事業用として使用している家屋や土地に課される都市計画税は経費計上することができます。

利子税

7つ目は、利子税です。

利子税は、税金を期日までに納付できず、税務署から延長が認められたときに発生する税金を意味します。所得税を滞納した場合、利子税を経費計上することはできませんが、事業所得などに関連するものは経費として会計処理することが可能です。

登録免許税

8つ目は、登録免許税です。

登録免許税は、商業登記や船舶登記など、特許や免許に課される税金です。登録免許税は租税公課として会計処理することができます。

まとめ

今回は、自宅兼事務所で仕事をしている個人事業主が固定資産税を経費計上することができるのかについて詳しく解説しました。自宅兼事務所の場合でも固定資産税を経費にすることができますが、使用率の部分だけを算出して正しい申告をすることが求められます。

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