日産自動車株式会社
新技術を随所に取り込んだクラウドで
日産の“顔”のイノベーションを目指す
日産自動車株式会社 アライアンス グローバルVP
常務執行役員 CIO
グローバルコーポレートIS/IT
行徳 セルソ 氏
「カスタマーエクスペリエンス戦略の要となる羅針盤の更改は、当社にとって非常に大きなミッションでした。今後もその成果を最大化するためNTTコミュニケーションズの技術とサービスに大いに期待しています」
日産自動車株式会社
グローバルIT本部 ITインフラサービス部 部長
兼 エンタープライズアーキテクチャー部 部長
木附 敏 氏
「当社のIT構想に沿ったOpenStackベースのクラウド環境は、NTTコミュニケーションズにとっても非常にチャレンジングな提案だったと思います。攻めのITを一緒になって支えてくださる心強いパートナーです」
課題
デジタルタッチポイントの高度化を模索
セキュリティとガバナンスの強化も課題に
「人々の生活を豊かに」を企業ビジョンに、世界のさまざまな国と地域に革新的なクルマやサービスを提供する日産自動車(以下、日産)。同社は2011年より中期経営計画「NissanPower 88」をスタートさせた。
「Nissan Power 88の狙いは、ブランドとセールスパワーを今以上に向上させ、グローバルでの市場占有率8%、営業利益率8%を達成することにあります。これを受けたIT戦略がフランス語でスピードを意味するVITESSE(ヴィテッセ)。これまでのような標準化や効率化のための“守りのIT”から、システムでいかにビジネスにイノベーションを起こせるか、経営に貢献できるかという“攻めのIT”を体現するものとなります」と日産の行徳 セルソ氏は語る。
現在、日産が進めているオフィシャルサイト「羅針盤」の更改もVITESSEの一環である。
「羅針盤は日産の“顔”ともいえる、お客さまとの重要なデジタルタッチポイント。日産車のラインアップに加え、オーナーさま向けサービス、購入検討サポートなど、幅広いコンテンツを提供しています。ここ10年ほどでクルマを買うプロセスには大きな変化が起きました。以前は購入まで平均7回ほどディーラーに足を運ばれていたのが、今では平均1.5回に減っています。それは事前に羅針盤のようなWebサイトやSNSで購入したいクルマの情報を十分に収集し検討されているから。それだけ羅針盤はビジネスやマーケティングの“勝負を決める場”として重要なポジションを担っています。それをより使いやすく、より多くの情報を提供できる環境にしたいと考えていました」(行徳氏)
その一方で、羅針盤のIT基盤そのものにも課題があったと語るのは、同社の木附 敏氏だ。
「各事業部や関連会社が独自に運営するマイクロサイトが多数存在しているため、セキュリティをはじめとするITガバナンスを効かせることが難しい状況でした。また当社のデータセンター内で複数ベンダーがアプリケーション/ネットワーク/セキュリティ/サーバーなどを個別に運用管理していたため、新機能やサービスの実装に時間がかかること、物理環境の更新でもメンテナンスコストや負荷が大きいことが問題となっていたのです」
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対策
新技術の取り込みが容易なOpenStackに注目
セキュリティとガバナンスの一元化も追求
こうした課題をトータルに解決するため日産が選択したのが、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)が提供する「Enterprise Cloud」を中核とした次世代クラウド基盤への移行だった。
「VITESSEの一環としてのプラットフォーム刷新ですから、羅針盤の提供価値を継続的にアップできるものでなければ意味がありません。その点、NTT Comの提案はクラウドのアジリティ(俊敏性)やスケーラビリティに加え、新しいテクノロジーや既存のリソースも取り込みやすく、コントロールやセキュリティの面でも信頼性の高いOpenStackベースの基盤であることが当社の考える方向性とマッチしました。またクラウドとネットワーク/セキュリティ/ PaaSなどを一体化したワンストップサービスであり、運用性の高さという面でも非常に魅力的だったのです」と木附氏は語る。
顧客との重要なデジタルタッチポイントである羅針盤には、常に新たなエクスペリエンスを提供できる最新テクノロジーを投入していきたいと日産では考えていた。そこで自由な開発や発想が制限されるベンダーロックイン的な基盤は避けたいという同社の思いに応え、NTT Comはグローバルなエコシステムとして進化しているOpenStackやOSSのリソースを、信頼性とセキュリティを兼ね備えたネットワーク上で提供する新発想のプライベートクラウドを提案したのである。
「将来的には開発スピードを上げるため、今後もAmazon Web ServicesやWindows Azureといったパブリッククラウドを活用するシーンが出てくるでしょう。その際にもEnterprise Cloudは外部の複数クラウドをポータルで一元管理でき、セキュリティとITガバナンスを束ねる役割を果たしてくれるのが安心できる大きな要素です」(木附氏)
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効果
顧客ニーズに対応した戦略的な施策が実現可能に
Nissan Power 88の大きな推進力として期待
羅針盤を構成するアプリケーションや各種データ、顧客に情報提供を行っていたマイクロサイトのリソースは、既存システムに影響を与えない形でNTT Comが提供する次世代クラウド基盤に段階的に移行している最中である。この新しいBtoCプラットフォームが本格稼働することで、どのようなビジネス効果が期待できるのか。行徳氏は次のように語る。
「新しいアーキテクチャーの導入で、お客さまのさまざまなニーズにお応えするための施策をスピーディーかつセキュアに実現できる環境が整うと期待しています。例えば、羅針盤をご覧になったお客さまが、どのカテゴリーのどの情報に興味を持ち、どのような遷移で購入決断に至ったのかを数値として可視化することができます。そうなれば、より興味を持っていただけるコンテンツやアイデアの創出、その効果測定が可能となり、お客さまに喜んでいただける効果的なアプローチと施策が戦略的に展開できるようになります」
今後はCRMシステムの強化とともに、羅針盤で得られたデータやディーラーからの情報、さまざまなキャンペーンから得た結果などをリンクさせ、個々の顧客にパーソナライズして活用することも可能となる。そういったマルチチャネルの顧客体験を日本市場だけではなく、グローバルにも共有・分析し、それぞれの国や地域の文化・特性に合わせた情報発信、アプローチの方法を展開していくことも検討しているという。それはこの基盤がNissan Power 88の大きな推進力として期待されていることを意味する。
「今回NTT Comに提案していただいたサービスは、これからの日産グループのITを支える重要な基盤となります。今後も我々はコスト効率の追求とビジネス価値の向上、双方を目指したデジタルトランスフォーメーションを進めていきます。そこでは常に最先端のITとグローバルなベストプラクティスの活用が欠かせません。これからもNTT Comの力強い支援と積極的な提案を期待しています」と行徳氏は語った。
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導入サービス
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インタビュー動画
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日産自動車株式会社
事業概要
日本を含む世界160以上の国や地域で革新的なクルマやサービスを創造し続ける自動車メーカー。電気自動車などによりCO2の排出をゼロにする「ゼロ・エミッション社会」の実現にも取り組んでいる。
URL
www.nissan.co.jp
(PDF 420KB)
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(掲載内容は2016年8月現在のものです)
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