NTTコミュニケーションズ株式会社
グローバル全体でのCMS統合と運用体制の見直しで
ガバナンスを効かせたWebサイト運用を実現
Enterprise Cloud を利用したWeb 一元化ソリューション
NTTコミュニケーションズ株式会社
経営企画部 広報室 担当課長
森 佳織 氏
「Webサイトの運営に十分なリソースを割けない現地法人もありますが、CMSをグローバルで統合したことにより、本社側で更新することも可能になりました」
NTTコミュニケーションズ株式会社
経営企画部 広報室
舟越 葵 氏
「Webサイトの統合を図る際、バラバラだった制作体制をNTTレゾナントに集約することで、ガバナンスを効かせてWebサイトを運用できるようになりました」
課題
各現地法人で個別にWebサイトを運用
掲載されている情報に大きな差が散見
世界各地の110以上の都市に営業拠点を持ち、196の国と地域をカバーするネットワークサービスを展開するなど、グローバルに日本品質のICTソリューションを提供しているNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)。最新のSDN技術を採り入れた「Enterprise Cloud」や、ICT環境全体を集中管理できるマネジメントサービスである「Global Management One」など、幅広いサービスラインナップで多くの企業のICT活用を支えている。
2013年、NTT ComにおいてWebサイトを全面的にリニューアルするプロジェクトが立ち上がった。その背景について、同社の舟越葵氏は次のように説明する。
「NTT Comには世界各地に14の現地法人がありますが、Webサイトの制作体制が異なることもあり、それぞれのWebサイトで提供される情報のレベルに差がありました。私たちは開発したサービスをグローバルシームレスに展開する戦略を推し進めていますが、そのサービスのページの内容が本社と各現地法人のWebサイトで異なっている状態は、ブランディングやプロモーションの観点から望ましくありません。このような課題を解決するべく、グローバル全体を見据えたWebサイトのリニューアルプロジェクトに乗り出したのです」
現地法人だけでなく、日本の本社のWebサイトにも課題があったと話すのは森佳織氏だ。
「それまでNTT Com本社では、サポート情報の提供や個人向けサービスのキャンペーンの告知などを目的として、数百ものドメインでWebサイトが運営されていました。これらの中で統合可能なものをコーポレートサイトに集約することも、今回のリニューアルの目的でした」
特にグローバル全体でWebサイトのリニューアルを進める際には、各現地法人とのコミュニケーションが課題となるケースが多い。NTT Comはどのように意見をまとめていったのだろうか。
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対策
本社からの押しつけではなく
現地法人を巻き込んでルールを策定
リニューアルを実施する前、海外のWebサイトの運営は基本的に現地法人のWeb担当者に任されていて、新サービスの情報を掲載する際には本社のサービス担当者と直接やり取りして情報を入手するなど、必要に応じて個別に本社側とやり取りするという状況だった。
このような状況を改善し、ガバナンスを効かせた形でWebサイトを運営するべくリニューアルが計画されたが、当初は現地法人からの反対の声が大きかったと舟越氏は振り返る。
「提供する情報のレベルを全世界で合わせたい、あるいは本社で制作したコンテンツを各現地法人でローカライズして利用するというのは、あくまでも本社側の目線なんですね。現地法人からすれば、それまで自由に運営できていたのに、それができなくなるという不満があるので、最初は激しく反発を受けました」
一方、リニューアル前のWebサイトの内容には現地法人も課題を感じていた。グローバルシームレスサービス(GSS:全世界で共通して提供できるサービス)のWebサイトを通しての訴求が不十分である、Webサイトでやりたいことが実現できないといったものだ。そこでプロジェクトのスコープに本社側のWebサイト上の課題解決だけでなく、海外の現地法人が抱えている問題の解消も含めたほか、主要な現地法人のWeb担当者をメンバーに巻き込み、課題を解決するための議論を進めた。これにより、本社と現地法人がリニューアルのゴールを共有し、協力して進められる体制を整えたわけだ。
このように議論を進める中で、あらためて見えてきたのがWebサイトの役割の違いだったと森氏は説明する。
「現地法人によって、まず自分たちの会社を知ってもらうことが重要で、そのためのツールとしてWebサイトをとらえているところもあれば、実際のビジネスにつながるリードの獲得を目的としているケースもあります。これらはWebサイトの土台の部分であり、そのすり合わせに苦労しました。実際の打ち手としては、本社を含めた全現地法人で統一した情報を提供する領域と、各現地法人が独自にコンテンツを公開できる領域を切り分けました。この際、本社と現地法人のコンテンツをすべて洗い出して体系化し、あらためて定義し直すところから始めています」
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効果
グローバル全体で利用できるCMSを導入
運用体制も見直してガバナンスを確立
このプロジェクトでは、Webサイトの運用フローをグローバルで統一して効率化するために、CMS(Contents Management System)を刷新してグローバル全体で使うように改められた。CMSの選定では、まずNTT Comが求める機能を要件としてまとめ、それを基に数十製品の事前評価を実施。具体的な要件としては、本社で制作したコンテンツを海外の現地法人が容易にローカライズできる仕組みを備えていることや、GUI (Graphical User Interface)で手軽にページをデザインできる操作性の高さ、将来的な取り組みとして視野に入れている、デジタルマーケティングのプロセスを自動化するための仕組みであるマーケティングオートメーション(MA)への対応などが盛り込まれた。これらを満たした製品として6つが候補に残り、そこからWebサイトを運用するメンバーで実際に各製品の利用テストを経て、最終的に1つの製品を選定し、導入に至っている。
これにより、グローバル全体でのコンテンツの品質を高められたと、森氏は今回のリニューアルプロジェクトの効果を語る。
「現地法人によっては、Webサイトの運営に十分なリソースを割けない場合もあります。そのため、古い情報がそのまま掲載されていることもありましたが、CMSをグローバルで統合したことにより、本社側で更新することが可能になり、必要とあれば日本から修正することができるようになりました」
また、WebサイトのリニューアルおよびCMSの導入に合わせ、運用体制の見直しも進められている。本社のWebサイト内のサービスやプロダクトの個別ページは、それぞれを担当する事業部門側が制作を主導していた。デザインなどの統一化を図るため、Webサイト全体を管轄する広報室でルールを作成していたが、それでも細かな部分で違いが生じるといった課題があった。そこでNTT Comのグループ会社である、NTTレゾナントに制作業務と各種データを踏まえ継続的に改善するWebサイト運用を一元化したのだ。その効果について説明するのは舟越氏だ。
「リニューアルの中でさまざまなWebサイトの統合を図る際、それまでバラバラだった制作体制をNTTレゾナントに集約し、さらに運用体制についても極力NTTレゾナントに一本化することで、ガバナンスを効かせてWebサイトを運用できるようになりました」
ブランドを構築する、サービスやソリューションの情報を提供するなど、お客さまとのコミュニケーションにおいてWebサイトは欠かせないツールとなっているが、一方でグローバル全体を見据えてガバナンスを確立し、適切に運営していくのは簡単ではない。NTT Comは、今後も引き続きお客さまとのタッチポイントとして重要なWebサイトの改善活動を推進していく考えだ。
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NTTコミュニケーションズ株式会社
事業概要
クラウド、ネットワーク、セキュリティ、コンサルティングの提供を通し、お客さまのグローバルビジネスをサポート。拠点は世界40カ国/地域以上、110都市以上に広がっており、約20,000名のスタッフを配している。
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(掲載内容は2017年3月現在のものです)
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