ヤマハ発動機株式会社
グローバルで基幹系システムのクラウド移行を推進
BCP強化、コスト削減の両立をEnterprise Cloudが支える
ヤマハ発動機株式会社
企画・財務本部 プロセス・IT部 IT技術戦略グループ
グループリーダー
相場 智康 氏
「ITインフラグランドデザインの実現に向け、基幹系システムのクラウド化という重要なプロジェクトをともに推進する戦略パートナーとして、NTTコミュニケーションズには今後も期待しています」
課題
ITインフラグランドデザインにもとづき
基幹系システムのクラウド移行に着手
バイクやマリン製品、四輪バギーから電動車いす、各種産業用ロボットまで、小型エンジンを軸とした多様な製品を開発・生産・販売するヤマハ発動機。早くから海外進出を進めてきた同社は、現在では連結売上高の約9割を海外で占めるに至っている。
同社は、こうしたビジネスの変化をとらえ、的確な業務遂行を実現するためのIT基盤についても常に最適化を図っている。2013年には、経営への貢献と利用者・開発者の業務効率の更なる向上を目指し、2020年のITインフラの姿を見据えた「ITインフラストラクチャグランドデザイン」を作成。グローバルにITインフラ改革を推進してきた。
「このITインフラグランドデザインにもとづく施策の1つが、『基幹系システムのクラウド化』です」とヤマハ発動機の相場 智康氏は説明する。
最大の目的は、「BCPの強化」だ。同社の基幹系システムは、長年、静岡県磐田市にある本社サーバールームに約700台のサーバーを配置することで運用してきた。立地上、東海地震などの被災リスクを低減し、BCPを強化することが、ビジネス上の重要課題になっていたのである。
また、その対策実施に当たっては、ITインフラコストも抑える必要があった。
基幹系システムのBCPには、例えば現在の自社データセンターに免震化を施す方法や、地勢的リスクの少ない土地にデータセンターを移設するといった方法のほか、すでに適切な地域に拠点を擁するデータセンター事業者のコロケーションサービスを利用するといった方法が考えられる。しかし、いずれも実施には多くのコストがかかるため、同社はそれを極力抑制したいと考えた。
「そこで当社は、クラウド化がベストな手法だと判断しました。もちろん、基幹系システムなので、高い可用性やセキュリティは確保しなければいけません。クラウドサービスのデータセンターは、十分に強固であり、機密性の高い運用がされています。また、設備資産を所有することなく、維持管理や終わりのない老朽化更新からも脱却でき、俊敏性も得ることができる。適切なサービスさえ選択すれば、最も多くのメリットが得られる方法だと判断したのです」と相場氏は語る。
こうして同社は、全14のキャリア・ベンダーに提案を依頼し、最適なサービス、およびパートナーの選定に動き出した。
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対策
戦略的パートナーとしてNTT Comを採用
ワンストップサービスで課題を解決
「今回のクラウド移行では、本社内にあるシステム群に加え、シンガポールで運用してきたアジア拠点の基幹系システムも対象となっていました。その要件から、グローバルに提供されるクラウドサービスであることが前提でした」と相場氏は付け加える。
これらの要件をもとに最終的に採用したのが、法人向けクラウドサービス「Enterprise Cloud」、VPNネットワークサービス「Arcstar Universal One」を擁するNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)だった。
将来的な発展性も含め、世界30カ国/地域のヤマハ発動機グループ140社の拠点をサービス提供エリアとしてカバーすることはもちろん、一元運用を容易にするカスタマーポータルまでがワンストップで提供される点は「他社にないアドバンテージで決め手になった」と相場氏は強調する。またBCPの観点でも、NTT Comのデータセンターを視察し、地勢、ファシリティーの両面で問題ないと評価したという。
加えて、豊富な経験と技術力を持つNTT Comなら、“基幹系システムのクラウド化”の実現という重要プロジェクトをともに進める「戦略パートナー」になると感じたこともポイントになった。
「当社の基幹系システムの多くはクライアントサーバー型のシステムのため、磐田から遠隔地のクラウドサービスを利用するには、距離の問題を解決する必要がありました。NTT Comは、その解決策として標準のクラウドサービスでカバーできない部分を、近隣にあるNTTグループのデータセンターに確保して迅速にサービスを提供してくれました。当社の目的を理解し、達成に尽力してくれたことは大きいと感じています」と相場氏は言う。
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効果
段階的にクラウド化を実現中
「進化するクラウド」に期待を込める
最終的には、「アジア・日本・中国・台湾・欧州・北米・南米」という7つのリージョンごとにクラウド化する計画だが、その第1段階としてアジア地域のシステムを、Enterprise Cloud(シンガポール)へ移行を完了した。現在は第2段階として、日本国内のシステムのEnterprise Cloud(横浜)への移行に着手している。
「クラウド化する上では、商用ソフトのライセンス証明という課題が浮上しました。当社が証明するためには仮想レイヤでの権限が必要でしたが、クラウドサービスであるため、その権限はNTT Comが管理しています。この課題に対し、NTT Comは、それをサービスとして提供してくれたのです。これは、エンタープライズ向けサービスならではの対応力・優位性です。顧客の要望にあわせて『進化するサービス』に魅力を感じました」と相場氏は満足感を示す。
一方、同社は今後も順次基幹系システムのクラウド移行を進めていくが、その際には、Enterprise Cloudの「標準サービス」を極力カスタマイズせずに使うことで、将来的な横展開を加速していきたいと考えている。
「他社クラウドサービスとの柔軟な連携や、SD-WAN(WAN仮想化)の提供にも期待していますが、なによりNTT Comには、カスタマイズが不要になるほど『標準サービス』を一層進化させることで、将来にわたり最良のパートナーであり続けてくれることを期待しています」と相場氏は語った。
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導入サービス
Enterprise Cloudは、データセンター、ネットワーク、サーバーが連携した通信事業者ならではのプライベートクラウドサービスです。柔軟なリソース提供とお客さまの要望に応じた豊富なオプションを装備し、基幹系業務でも利用可能な環境をご提供します。
インタビュー動画
インタビュー内容を動画でもご覧いただけます。
ヤマハ発動機株式会社
事業概要
小型エンジン技術、車体・艇体技術、制御技術をコア技術とし、基幹の二輪車事業をはじめ、ボート・船外機といったマリン製品など多軸に事業を展開。世界30カ国/地域のグループ140社を通じた開発・生産・販売活動を行っている。
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(掲載内容は2016年7月現在のものです)
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