三菱商事株式会社
新ビジネスへの転換を柔軟に解決する
グローバルネットワークを構築しDXを加速
三菱商事株式会社
ITサービス部長
安藤 啓吾氏
「三菱商事グループとして、迅速かつ安全にDXに取り組めるプラットフォームを提供できる体制ができたことに満足しています」
三菱商事株式会社
ITサービス部
ITインフラチームリーダー
次長
三浦 弘晶氏
「グローバルネットワーク構築の鉄則は、あらかじめ遅延のリスクを想定した対策を行えるパートナー選びが重要です」
課題
自前のIT基盤では時代の変化への即応が困難
協働の要となるネットワークの更改を決断
三菱商事株式会社(以下、三菱商事)は、近年事業投資から事業経営へビジネスモデルの転換を図っており、ネットワークを含むグローバルIT基盤の更改が急務になっていた。
同社ITサービス部長の安藤啓吾氏は「国内外事業会社を含め三菱商事グループを取り巻くビジネス環境が急速に、また激しく変化している中、それら変化にタイムリーに対応できるスピード感、国内外事業会社を含むグループ全体への展開も見据えた、コストパフォーマンスに優れているグローバルなIT基盤を構築することが求められていました」と語る。
さらに安藤氏は、「自らすべてを対応する」既存のIT運用体制の限界も感じており、国内外の拠点のみならず各事業会社へ高品質のIT基盤を提供し続けていくことは難しいと続ける。「特に最近ではセキュリティ対応業務の増加が課題でした。事業継続のためには、常に最新の脅威の検知とタイムリーな対応が求められますが、IT運用稼働の負荷を大きな課題としてとらえていました」
そこで同社では、自らIT基盤の構築・運用を行う「自前主義」からの脱却を決断。「持つ」から「使う」への転換を図るため、IT基盤の礎となるスピードとコストを兼ね備えたグローバルネットワークの更改に着手する。同社ITサービス部の三浦弘晶氏は、新たなグローバルネットワーク構築に掲げた要件はスピード、コスト、セキュリティに加え、本店による一極集中管理だったと語る。
「従来は、ネットワークをはじめとしたIT基盤の運用管理は、各国、各地域のIT部門の裁量で行っていました。しかし、万一インシデントが起きた際に、的確な指示が出せないおそれがあります。そこでネットワークの更改を機に、IT基盤の一極集中管理を実現することで、インシデント対応を含むグローバルガバナンスの強化を狙いました」
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対策
グローバルの豊富な実績でパートナーを選定
緊密な知見の共有により納期遵守の構築を実現
三菱商事では、IT基盤更改に向けたグローバルネットワーク構築検討を開始。ITに関する豊富な知見とグローバルエリアにおける高い対応力が評価され、パートナーに選ばれたのはNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)だった。同社が提示した要件をクリアしたのがNTT Comの「Arcstar Universal One」だ。閉域網やインターネット接続、セキュリティ対策などの機能を一元提供し、国内外の拠点をシームレスに結ぶキャリア品質のマネージドVPNサービスである。
同社は新たなグローバルネットワーク構築にあたり、プロジェクトチームを編成。三菱商事の総指揮のもと、同社グループ内のシステムインテグレーター企業がプロジェクト全体を管理、NTT Comが現場でのネットワーク構築を行う三位一体でプロジェクトはスタートする。三浦氏は、約90の国・地域に広がる拠点のネットワークの切り替え作業の困難さを知っていたこともあり、ステークホルダーと密な連携を行うことで、この問題を乗り越えようとした。
「初期の段階でプロジェクト遅延のリスクをシミュレーションし、解消のための密な議論を精力的に行いました。そうすることで各国や地域の現地のIT担当者の理解と必要な協力を得ることができ、リスクがどんどん解消されていったのです」
途中、プロセスにおいて深刻な齟齬が生じていると感じる時もあったが、三浦氏はいち早く現地に飛び、解決に取り組んだ。「グローバルプロジェクトはプロジェクトメンバー間の信頼関係はもちろんですが、国籍、立場を問わず、現地のIT担当者をはじめとしたステークホルダーとの信頼関係の構築が肝要とあらためて実感しました。その甲斐あってスケジュール通りにグローバルネットワークの更改は完了しました」
三菱商事とNTT Comは、互いがグローバルビジネスの豊富な知見を持っている。それぞれの知見を共有し、作業にあたったことで、プロジェクトは尻上がりに加速した。その結果、納期通りにグローバルネットワークの更改プロジェクトは完了した。三浦氏は「経験上、納期は遅れる可能性も想定していました。今回のプロジェクトがスケジュール通りに完了したことは、予定通りではあるとはいえ、あらためてすごいことだと認識しています」と総括する。
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効果
安全に管理でき、現場では使いやすい
新たなネットワーク基盤でDXの推進へ
新たな三菱商事のグローバルネットワークは、国内外の全拠点を1つのネットワークに統合。東京にある本店による一極集中管理によりグローバルガバナンスが効く構成になっている。さらに、NTT Comによるグローバルでの一元受付窓口(サービスデスク)と、故障した際の24時間365日の問い合わせ受付も実現。課題であったITサービス部の運用負荷の軽減も実現した。
今回のプロジェクトで、安藤氏は確かな手応えを感じている。「東京一極のオペレーションで、世界の隅々にまで一定品質のIT基盤サービスを提供することは、私たちITサービス部の新たな挑戦だと思っています。今後運用を続ける中で、私たちが現地の要望、意見をきちんと吸い上げ、相互に是正を図るプロセスも必要になると思われます。これから継続的に改善を続けることで、サービスの完成度を上げていく計画です」
三浦氏は、グローバルネットワークが接続するプラットフォームをクラウド上に移行したことで、現地の各拠点がそれぞれ最適なIT基盤を調達できるようになり、利便性と柔軟性が向上していると続ける。「新たなネットワークに切り替えたタイミングでプラットフォームをクラウドに移行したことで、各拠点は事業のオポチュニティ(機会)に応じて、最適なIT基盤が調達可能になりました。メインネットワークに加え、バックアップやインターネット接続、セキュリティ対策などについては現地に合わせて選択できるようになっています」
三浦氏はネットワークが、低コストかつスピーディに導入できるようになったことで、今後は世界中の事業会社へIT基盤サービスを拡大させていきたいと考えている。
「一極集中管理と現場への馴致のバランスが取れたネットワーク設計は、NTT Comの提案力と技術力のなせる業だと感じています。しかも、従来のように一度導入したら5年、10年と使い続ける必要もなく、時代の変化に応じて俊敏に構成が変えられます。そのアジリティの高さも評価しています」
もちろん、これまでIT運用にかかっていた稼働も大幅に軽減。とりわけセキュリティ対策については、NTT Comにアウトソーシングしたことで迅速・的確な対策が打てるようになった。ITサービス部のリソースをDXの企画、開発といった創造的な領域にシフトできるようになったことも大きな収穫だ。
安藤氏は、今後の三菱商事のIT基盤の展望を語る。「今回のグローバルネットワークの更改を起点として、さらに広いレイヤーをカバーする共通プラットフォームの構築を計画しています。三菱商事グループの中には、自前でDX推進を支えるプラットフォームを構築することが難しい事業会社も少なくはありません。変化が激しい事業環境に迅速に対応するため、安く、早く、安全に導入でき、DXを強力に推進できるプラットフォームを、私たちは整備していくつもりです」
グローバル規模で新事業への取り組みを推進していくために、まずはネットワーク、プラットフォームといった足場をしっかり固めることが、大切なことではないだろうか。
図:構成イメージ
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三菱商事株式会社
事業概要
世界約90の国・地域に広がる拠点と約1,500の連結事業会社と協働しながらビジネスを展開。天然ガス、総合素材、石油・化学、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発の10グループ体制で、幅広い産業を事業領域としており、貿易のみならず、パートナーと共に、世界中の現場で開発や生産・製造などの役割も担っている。
URL
https://www.mitsubishicorp.com
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(掲載内容は2020年3月現在のものです)
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