読売新聞社
デジタル時代に求められる「新聞の進化」を目指し、
マンパワーを最大化する組織横断型の働き方改革を推進
読売新聞東京本社
総務局情報管理委員会事務局
兼 グループ本社社長室 同事務局
事務局長
野中 武生氏
「Office 365は非常に多機能なサービスなので、まだ一部の機能を使っている状況です。今後、弊社の働き方改革に資する、創造的な労働時間の拡大に役立つ機能があれば積極的に利用していきたいと考えています」
読売新聞東京本社
制作局技術三部
次長
清瀬 一行氏
「いままでのシステムはIT部門の主導で使ってくださいというスタンスでしたが、Office 365では利用者主導になっています。特にTeamsでは機能強化が頻繁に行われますので、新機能を使うとより利便性が上がるようにシステム面からサポートしていきたいです」
課題
社員の生産性を高め、やりがいを持続できる、
働き方改革が必要
1874年(明治7年)創刊の読売新聞は明治、大正、昭和、平成、そして令和の5代の歴史を紙面に刻んでいる。長い歴史の中で新聞の立ち位置は劇的に変化した。とりわけ近年のインターネットの普及に伴うデジタルメディアの拡大を受けて、多様化した読者のニーズを満たすため新聞業界は変革の時期を迎えている。
「読売新聞が世の中に役立つ存在であり続けるためには、新たな試みに挑戦することが不可欠です。同時に、労働人口が減少する中で継続的に事業を発展させるためには、業務効率化による社員の生産性向上、優秀な人材確保につながる職場環境の整備が急務となっています」と語るのは読売新聞東京本社総務局情報管理委員会事務局の野中武生事務局長だ。
報道に関する機密情報を扱う新聞社は、新聞社特有の厳正なセキュリティポリシーを定めている。現場に張り付くことが多い記者を除き、PCの外部持ち出しが禁止され、社外からのアクセスができないなど、多様な働き方がしづらいという課題を抱えていた。
「さらに従来の現場は、部門、部署ごとにコミュニケーション基盤の個別最適化が進んでおり、組織間の情報連携を実現するには不十分な環境でした。コミュニケーション基盤を統合することで、社員の生産性と組織間の情報連携性を向上する必要がありました」(野中氏)
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対策
コミュニケーション基盤の統合ツールをOffice 365に決定、
目指す働き方改革を実現するパートナーを選定
同じ時期、同社では既存のオンプレミスのメールシステムの更改が迫っていた。これを好機ととらえ2017年に経営管理部門主導で「ITを活用した働き方研究会」を立ち上げた。
「いろいろな部門の社員を集めて働き方に対する要望を集め、IT部門を交えて解決手段の議論を重ねていきました。メールで保全できる容量が少ない、部門横断での情報の連携がやりにくいといった当時のシステムへの改善要望に加え、記者以外の社員からはリモートワークがしづらく不便と感じるという声もありました。また、複数のメールソフトやチャットなどを使っていて、コミュニケーションツールが組織として統一されていないことも情報連携の阻害要因でした。そうして議論を重ねてたどり着いた結論が、コミュニケーション基盤の統合ツールをクラウドサービスのOffice 365に切り替えることでした」(野中氏)
日本国内では多くのベンダーがOffice 365 を提供しているが、パートナーに選ばれたのがNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)だった。選定の理由を同社 制作局技術三部の清瀬一行次長は次のように述べる。「既存のメールシステムレベルのセキュリティをクラウドで担保できるのか、複雑化したIT ツールの用途をOffice 365 で実現できるのか、という懸念がありました。その点でNTT Comの提案には、ITインフラの高水準のセキュリティ対策を講じながら短期間での導入を実現する方法論の提示がありました。加えて、自社の働き方改革で得た知見をもとに、導入効果を発揮するための具体的な施策や定量的な指標の提示もあり、我々が目指す働き方改革を実現できるパートナーとして高く評価しました」
さらに選定後のNTT Comの取り組みを野中氏は評価する。「NTTComが企画したOffice 365 の導入後の新たな働き方を体験できるワークショップには、全国から延べ100名以上の社員が参加しました。そこで得た知見は導入の詳細仕様を決定する際に、利用者の『生の声』として非常に役立つとともに、仕様決定のプロセスの短縮にもつながりました」。ワークショップの開催と併せて、同社では社内ポータルや社員食堂に設置されたモニターで社長からのビデオメッセージを放映するなど全社への周知を行うことで社員の関心を高めるための工夫をこらした。
IT部門では同時進行で移行検討を実施。懸案だったセキュリティ対策は社員のPCにクライアント証明書を入れることで、なりすましを防ぎ、不特定の場所からアクセスできない仕組みを構築した。「クライアント証明書による認証、必要なネットワーク帯域の確保、クラウドに移行できない基幹系システムの分離、各種テストなどの移行作業はNTT Comと確認しながら行いました。端末側のメール環境の移行はマニュアルを準備し社員自身に行ってもらいましたが、設定教室を開催するなどサポートに力を入れることで、1年間で国内外300拠点、6,500台に及ぶPCへの導入が完了しました」と清瀬氏は説明する。
図 Office 365の利用イメージ
新たなワークスタイルを実現するクラウド型のグループウェアである。
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効果
部署、拠点を横断した200のチームで情報連携を活性化
一人ひとりの創造性を最大化し、新たなデジタルサービスの創出へ
Office 365の導入により全社的なコミュニケーション基盤が統合されたことは、働き方改革の追い風となったと野中氏は語る。「当初の課題の多くが解決されつつあります。とくに遠隔地間や組織間を結ぶ情報共有ツールとしてTeamsの利用が活性化し、導入からわずか半年で部署、拠点をまたいで約200のチームができています。テレビ会議、チャットを活用した共同作業により、資料作成といったアウトプットのスピードが格段に上がり、タスクの進捗管理も容易になりました。組織横断の情報連携から新たな試みが創出される気運を感じています」
社内の「働き方に対する意識」も急速に高まりつつある。同社はもともと、育児や介護と仕事の両立支援制度の導入などワークライフバランスの向上に積極的に取り組んできたが、リモートワーク環境が整備されたことで直行直帰のスタイルが浸透。読者のニーズを満たす多様なコンテンツ、サービス、イベントの企画実現といった創造的な業務により多くの時間を充てることにも意識が向くようになった。
利用者のみならずIT部門の稼働も軽減されたと清瀬氏は語る。「PCなどのトラブルサポート業務は、70名近くが交代制で当たっています。このうちOffice 365 については、問い合わせや対処の内容がTeamsで情報共有されていて、対応困難な案件だけがIT部門にエスカレーションされるようになりました。さらに基本的なシステム運用はNTT Comが行っているので、移行前に比べてサポート業務稼働時間は減っています」。もちろん、空いたリソースはデジタルサービスの強化や新機能を考える「攻め」の開発業務に活かしていく方針だ。
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導入サービス
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読売新聞グループ
事業概要
140年以上の歴史を持ち、世界最大の発行部数を誇る読売新聞を中心に、文化、スポーツ、レジャーなど多様な分野の有力会社を抱える「総合メディア集団」。読売新聞は伝統に基づく充実した報道、明快な主張を強みとしており、「読売新聞オンライン」などのデジタルサービスにも積極的に取り組んでいる。
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(掲載内容は2019年4月現在のものです)
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