育休から復帰も大幅給与カット… 忙しい子育て主婦が副業で稼ぐことは可能?
公開日:2023/1/6
男女雇用機会均等法が施行されてからというもの、女性の社会進出は年を追うごとに加速していきました。
しかし、出産後の女性が正社員として復帰することには、依然として課題があります。
図1 第2-1-3図 出産による離職・復帰状況
引用)内閣府「第2章 多様化する職業キャリアの現状と課題 第1節 職業キャリア形成の変化」
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2017/0118nk/n17_2_1.html
上記図は、2010年に出産した母親の就業状況を追跡調査したデータです。
出産前の妊娠判明時には62%の女性が有職ですが、出産半年後には有職の割合が36%と半数近く減少していることが分かります。
有職者の約4割の女性が、出産を機に無職となっているのです。
その後、有職者の割合は徐々に増加傾向を見せますが、増加したのはパートやアルバイトで、常勤の割合は減少したままです。
つまり女性の雇用は出産を機に非正規化し、これに伴い給与も減少する可能性が高いのです。
ではなぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
夫婦の家事・育児のバランスの悪さが要因
かつては「夫は外で働き、妻は家を守る」という価値観が定着していましたが、それは現在もあまり変わっていないことが分かります。
図2 図表2-2 6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間(週全体平均)(1日当たり,国際比較)
引用)男女共同参画局「男女共同参画白書 令和2年版 コラム1 生活時間の国際比較」
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-c01-02-2.html
上記の図は、6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間について、諸外国の状況を比較したデータです。
日本の夫の家事・育児関連に費やす時間は1週間で約2時間ほどで、他国の夫と比較すると低水準にとどまっています。
これに対して妻は、1週間で11時間以上家事・育児に費やしており、諸外国の女性と比較しても、際立って長いことが見てとれるでしょう。
このバランスの悪さが、女性の社会復帰を阻害しているといっても過言ではありません。
「家事や育児に時間をとられてしまいフルタイムの仕事、つまり給与水準の高い仕事に就業するのが難しい」
というのが、出産後の女性を取り巻く環境です。
子育てが落ち着いてから仕事に復帰したいと思っても、長いブランクを受け入れてくれる余裕のある会社はあまりありません。
日本社会において、出産後に家事・育児に専念した女性が働ける環境は、かなり限定的なのです。
副業はママを救えるか
かくいう筆者も、出産後の女性がぶつかる壁に当たりました。
育休があけて会社に復帰して早々、月5万、年60万の減給を知らされたのです。
「時短勤務となったことによる、様々な状況を勘案したから」
と説明を受けましたが、一つも納得できません。
要するに、「働く時間が短いため会社に貢献できなくなるので、それ相応の給与水準にする」ということでした。
ここで私に与えられた選択肢は二つです。
一つ目は怒り狂って退職すること、二つ目は仕方ないと諦めて勤務することでした。
しかし、私は退職することも、諦めることもしたくはありません。
退職すれば子供を育てるお金がなくなるし、諦めれば自分を裏切ったような悔しさが残ります。
そこで私は三つ目の選択肢を見出しました。
副業です。
訳もわからず減らされた月5万を何とか補填するためには、副業をするしか方法がなかったのです。
結果的に、私は副業に救われました。
スキマ時間を上手く使って、月5万どころか本業の収入を超える日もザラにあります。
忙しいママだからこそ、スキマ時間を上手く使える副業は、かなりマッチするのではないかと思うのです。
スキマ時間を上手に活用 ママ向けの副業とは
ワーキングマザーが、副業として本業とは別に店舗に勤務したり、会社に出勤するということは体力的にもかなり厳しいでしょう。
ママが副業を成功させるポイントは、「ちょっとしたスキマ時間にできる」ことなのかもしれません。
特段スキルがなくても、参入しやすいことが条件となる方もいるでしょう。
では実際にどのような職種があるのでしょうか。
図3 最も高かった報酬額×仕事内容②
引用)厚生労働省 「⑰【参考資料5】報告書参考資料」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000204093.pdf p54
イラストレーターからデザイナー、コンサルや営業事務など、副業には幅広い業種があることが分かります。
筆者はこの中で、ライターになることを選びました。
求人も多く、参入しやすかったのが理由です。
しかし、上記図からも分かるように、ライターは報酬が余り高くありません。
最も高かった報酬額が1万円未満と回答している業種は、「データ入力作業」(31.6%)、次いで「文書入力、テープ起こし、反訳」(13.4%)、「原稿・ライティング・記事等執筆業務」(8.3)となっており、ワースト3です。
どの業種もスキマ時間を効率的に使えるため、ママにはもってこいですが、報酬が低いのは歓迎できません。
その一方で、実は同じライティングの仕事でも40万円以上の報酬を手にいている方も、僅かながらいるのです。
図4 最も高かった報酬額×仕事内容
引用)厚生労働省 「⑰【参考資料5】報告書参考資料」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000204093.pdf p57
「データ入力作業」(7.3%)、「文書入力、テープ起こし、反訳」(3.3%)、「原稿・ライティング・記事等執筆業務」(3.9%)と、同じワースト3の仕事でも40万円以上の報酬を得ている方が、僅かながらいるのです。
ライティングで高報酬を目指す方法
ではどのようにすれば、比較的参入しやすいこれら業種でも高報酬を得ることができるのでしょうか。
ここでは、ライティングを例にとって考えてみたいと思います。
(1)得意分野を持つ
自分の得意分野を磨き、専門性を高めることは大きな手段になるでしょう。
資格を取得する、取得済みの取得をアップデートするという選択肢もあるかもしれません。
ITやサイエンス、医療やサブカルチャーなど、自身が得意とする分野を極めていくこともできます。
資格×ライティングの掛け算で、”売り”を持つということです。
誰にでも書ける仕事は、単価が安くても仕方がない一面があります。
しかし資格がある人しか書けない領域を持つことや、実務経験から説得力のある文章を書ける領域で強みを持つと、ひとつ上の条件を期待出来るようになるでしょう。
(2)総合力を身に着ける
専門性を高めるのではなく、敢えてライティングの幅を広げるという方法もあります。
どんな内容でも書けるというのは特技になり得ます。
実は筆者は、保有する資格を様々なジャンルに横展開し、様々な分野の記事を執筆しています。
最初は馴染みがないジャンルも、書いていけば次第に苦も無く書けるようになっていくものです。中には思わぬ強みを発見できることもあるでしょう。
資格×様々なジャンル×ライティングで強みを持てば、多くの仕事を得られるようになります。
食わず嫌いをせず、挑戦してみるのも一つの手です。
(3)媒体の幅を広げる
ライターの求人では、大抵Web掲載を前提としたコンテンツ記事が多いのが特徴です。
場合によってはSNSでの投稿記事などのライティングもあるでしょう。
最初はコツコツとWebで記事を書き、人気が出てきたら雑誌での連載や動画配信サイトや映像メディアへの出演、場合によっては出版なども夢ではありません。
どれも一長一短に出来ることではありませんが、常に最新の話題を仕入れながら、自分のできることを増やしていけば、安定的に収入を稼げる可能性が高いでしょう。
「誰にでもできることをしていれば、報酬は望めない」
「自分にしかできない強みを作れば、報酬も望めるようになる」
ということです。
日本労働組合総連合会の「ネット受注をするフリーランスに関する調査2020」によると、仕事をネット受注しているフリーランスのうち、クラウドソーシングを利用している割合は70.7%です。*1
副業の注目度が高くなるのに比例して、急速に気軽に仕事を受注する環境が整ってきました。
今や、誰でも気軽に副業を始められる時代になったのです。
まとめ
サントリーの創業者である、鳥井信治郎の口癖は「やってみなはれ」だったといいます。
チャレンジ精神あふれる名言です。
「忙しいから」
「実力がないから」
「やったことがないから」
様々なことが頭をめぐり、実際に行動に移せないこともあります。
でもそんな時は、難しく考えずに一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
できないことやできること、得意なことや苦手なことが発見できるかもしません。
心から楽しめる仕事が見つかることもあるでしょう。
本記事が、そのきっかけとなりましたら幸いです。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
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この記事を書いた人
FPかぴさん
フリーライター。某大手コスメ紹介サイトから保険ショップへ転職をした美容オタク。特にクリニックの肌治療とネイルにはうるさい。複数のメディアでコラムを執筆する2児の母。FP上位資格のAFP取得済み。