働き方改革では「休み方」にも注目を。政府と企業の取り組みを紹介。

働き方改革では「休み方」にも注目を。政府と企業の取り組みを紹介。

公開日:2023/3/1

リモートワークの普及や長時間労働の是正など、「働き方改革」の成果も少しずつあらわれてきました。

しかし、気軽に休みを取れる企業はまだまだ少ないと言わざるを得ません。
直近の年次有給休暇の取得率は56.6%(令和2年)と過去最高となりましたが、政府目標である70%には未だ届いておりません。*1

このような状況のなかで、全国知事会が休暇のあり方を検討する「休み方改革プロジェクトチーム」を立ち上げました。

休み方改革プロジェクトチームでは、働く側が休日を柔軟に設けられるようにする仕組みや、家族で休暇を楽しめるよう子どもが親の休暇にあわせて平日に休める仕組みなど、特定の日に国民が一斉に休んでいる現状を改善する方策を検討する予定です。*2

近年の働き方改革では、柔軟な働き方を実現することに注目が集まっています。
これからは年次有給休暇の取得促進や、休みが取りづらい企業の風潮を改善していくことも求められるでしょう。

今回は、休暇を取ることの重要性や、政府が行っている休み方改善の取り組み、企業の事例を紹介していきます。

なぜ休みが必要?休暇をとることの重要性

日本の有給休暇取得率は少しずつ改善しているものの、他国と比べると低水準です。*3

日本人の年次有給休暇の取得率が低い背景には、「みんなに迷惑がかかると感じる」や「後で多忙になる」「職場の雰囲気で取得しづらい」など、職場環境や仕事の進め方に対する不安があります。*4

しかし、日々の忙しさを理由に、有給休暇をとらず長時間労働を続けると、ストレスや疲労が蓄積してしまい生産性が下がることが懸念されます。

継続的に良いパフォーマンスを発揮し、仕事で成果を出すためには、休暇を活用して定期的にリフレッシュし、心身のコンディションを整えることが重要です。

.企業が得られるメリット

適切な労働時間で働く環境を整備することは、社員の意識やモチベーションを高め、業務効率の向上にプラスの効果が期待できます。
一方、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性が高くなり、生産性は低下します。

その結果、離職リスクの上昇や企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じさせることになるでしょう。

政府が行っている取り組み

政府は休み方改善を進めるために、さまざまな取り組みを行っています。

ここではその一部を紹介します。

年次有給休暇の取得義務化・促進

働き方改革の取り組みの1つとして、2019年4月に労働基準法が改正されました。
年次有給休暇が10日以上付与される労働者を対象に、年5日については使用者(企業)が時季を指定して取得させることが義務付けられています。*5

時季指定に当たっては、使用者が労働者の意見を聴取し、できる限り労働者の希望に沿うよう努めなければなりません。

つまり企業は、労働者に希望を聴取したうえで、年5日間は年次有給休暇を確実に取得させなければならないのです。

また政府は、年次有給休暇の取得を促進させるために「年次有給休暇取得促進期間*1」を設けたり、「年次有給休暇取得促進特設サイト*6」を運営したりしています。

特別休暇制度の普及促進

特別休暇制度とは、労使による話し合いを通じて、休暇の目的や取得形態を任意に設定できる法定外休暇のことです。*7

(特別休暇の例)
・病気休暇
・ボランティア休暇
・リフレッシュ休暇
・裁判員休暇
・犯罪被害者等の被害回復のための休暇

特別休暇制度を設けることで、労働者に安心感を与えるとともに、休暇を取得しやすい職場作りに繋がることが期待できます。

政府は、導入事例を紹介したり、リーフレットを作成したりして、特別休暇制度の普及促進をしています。

勤務間インターバル制度導入の支援

「勤務間インターバル制度」とは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保するものです。*8

引用)勤務間インターバル制度とは

図1 勤務間インターバル制度とは
引用)厚生労働省「勤務間インターバル制度とは」
https://work-holiday.mhlw.go.jp/interval/

この他、定めた時刻以降の残業を禁止し、次の始業時刻以前の勤務を認めないこととするなどにより、インターバル時間を確保する方法もあります。

また政府は、勤務間インターバル制度の導入に取り組む中小企業に対して、助成金による支援を行っています。*9

働き方・休み方改善コンサルタントの配置

労働時間等の設定の改善等に関する相談に応じる「働き方・休み方改善コンサルタント」を各都道府県労働局に配置しています。

ワークライフバランス実現のため、働き方や休み方の見直しに取り組む企業であれば、無料で相談できます。*10

(相談例)
・従業員の健康のため、長時間労働を改善したい。
・フレックスタイム制や裁量労働制を導入したいけど、手続きがわからない。
・優秀な人材を確保するためにも、年次有給休暇をはじめ休暇制度を充実させたい。
・労働時間や休日・休暇等の全般について、専門家に相談したい。

休み方改善を実践している企業事例

実際に休み方改善に取り組んでいる企業では、どのようなことをしているのでしょうか。

今回はリクルートとNTTコミュニケーションズの具体的な取り組みを見ていきましょう。

リクルート

リクルートは、メリハリのある働き方を目指し、暦上の休日や有給休暇とは別に、取得する日を自分で決められる休日を増やしました。*11

具体的には、年間所定労働時間(1,800時間)は変えることなく、1日の所定労働時間を7.5時間から8時間に変更、年間休日を従来の130日から145日に増加しています。

さらに、人材や働き方の多様性を重視し、特定の要件や属性に偏らない休暇・休職制度に変更しました。

育児関連休暇は、従業員の性別に関わらず、妊娠中から子どもが12歳までの期間で取得可能な「出産・育児休暇(合計40日)」を新設しています。
また介護関連休暇・休職では、要介護認定などの法定要件を問わず、ペットも含めた家族のために利用できる「ケア休暇(5日)」を設けました。

NTTコミュニケーションズ

NTTコミュニケーションでは、ダイバーシティ経営の観点から、誰もが働きやすく活躍できる環境を整えることにより、業務変革の促進や生産性の向上を図ることを目的とした「働き方改革」に取り組んでいます。*12

時間外労働削減に向けた取り組み
・毎月の給与支給日や、特別手当の支給日を「全社一斉定時退社日」にする
・長時間労働削減に対する意識を醸成するために時間外労働の状況の見える化を実施 など

年次有給休暇の取得促進
・「プラス1休暇」や「ブリッジ休暇」取得の訴求
・「ライフプラン休暇*13」の設置
年度末に失効した年次有給休暇(毎年3日を限度)を積み立て、事由に関わらず利用可能
勤続 5年ごとに5日積み立てることも可能(合計40日までが上限)

その他にもNTTグループでは、社員一人ひとりの多様な働き方を受容する環境づくりを強化するためにライフイベントにあわせて活用できる、さまざまな制度を設けています。

引用)一目でわかるライフイベントと各種制度

図2 一目でわかるライフイベントと各種制度
引用)NTT「制度・仕組み」
https://group.ntt/jp/diversity/system.html

まとめ

働き方改革のひろがりを受け、日本人の働き方、仕事への向き合い方が少しずつ変わってきています。

働き方の次に見直されようとしているのが「休み方」です。
上手に休むことができれば、心身ともにコンディションを整えられ、継続的に良いパフォーマンスを発揮することができるでしょう。

企業としても生産性を向上させ、企業の成長、発展につながるはずです。

これを機に、自分の休み方を見直してみてはいかがでしょうか。
そして、より働きつづけられる環境づくりを目指していきましょう。

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この記事を書いた人

髙橋 めぐみ

求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供する大手上場企業に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在は人材や教育に関する記事を中心に、フリーライターとして活動中。

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