二地域居住で豊かな暮らしを実現!メリットや後押しするサービスを紹介
公開日:2023/04/12
リモートワークが浸透し、場所を問わずに働けるようになってきました。
その結果、仕事を変えずに住む場所を「都市から地方へ」と移す人が増えています。
特に最近は、様々な移住のスタイルが誕生しており、自分のライフスタイルに合わせて選択できるようになってきました。
今回は、最近人気の「二地域居住」についてご紹介します。
二地域居住とは?
二地域居住とは、都市と地方に2つ以上の拠点を持ち、定期的に地方でのんびり過ごしたり、仕事をしたりする生活スタイルのことです。*1
例えば、平日は都市で暮らし、仕事をして、週末などの休みを活用して地方で趣味などのゆとりのある生活を過ごすことが考えられます。
図1 二地域居住とは
引用)国土交通省「地方公共団体向け二地域居住等施策推進ガイドライン」P6
https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/content/001491148.pdf
しかし近年では、コロナ禍を契機として、働き方・生き方・住まい方が大きく変わろうとしています。
今後のウィズ・コロナ、ポスト・コロナ社会にあっては、テレワーク等を前提として「地方に就労を含む生活の主な拠点を移し、都市との関わりも副次的に残す」という、いわゆる新しい生活様式に沿った新たな二地域居住が可能となり、より二地域居住が進展、拡大することが期待されます。*2
二地域居住のメリット
二地域居住は「実践する側」と「受け入れる側」の双方にとって、下記のメリットがあるライフスタイルです。*1
図2 二地域居住のメリット
引用)国土交通省「二地域居住」
https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/kokudoseisaku_chisei_tk_000073.html
実践者にとっては、地方での田舎暮らし、趣味、自己実現、地域コミュニティへの参加、社会参画・協働など、多様なライフスタイルを実現する手段となります。
受け入れ側にとっても、人口減少下で、担い手確保が難しくなっている中、二地域居住の実践者が地域活動に参画することによって、地域づくりの新たな担い手となってもらえる可能性があります。
つまり二地域居住は、実践者のスローライフやふるさと回帰等への志向に応えるとともに、地域課題の解決、地域経済の活性化といった質的な向上が生まれる可能性を有しているのです。
二地域居住を後押しするサービス
近年、二地域居住を後押しするサービスが続々と立ち上げられ、気軽に始められる環境が整ってきています。
ここでは、国土交通省の「二地域居住等施策推進ガイドライン」で取り上げられた4つのサービスについて紹介します。*2
定額制住居サービス
定額制住居サービスは、複数の拠点で生活できるサブスクリプションサービスです。
生活の質を高めたい、仕事をする際にも豊かな環境に身を置きたいと思う人が増えたことで、住まいの自由化という新しいライフスタイルが誕生しました。
定額制住居サービスにより、二地域居住のネックであった費用面の負担が和らぎ、より気軽に二地域居住を体験できるようになってきています。
定額制移動費サービス(実証実験)
定額制移動費サービスは、対象区間の移動交通費(電車賃・航空費等)を定額・割引料金で利用できるサービスです。*3
現在は実証実験の段階ですが、新しい移動価値の創出により、二地域居住の促進が期待されています。
定額制オフィス・シェアオフィス
定額制オフィス・シェアオフィスとは、専用個室スペースの利用ではなく、共有型のオープンスペースをデスク単位で使い放題のサブスクリプションサービスです。
自宅、会社以外でも、ワークスペースの確保ができるようになりました。
サテライトオフィス
企業の本社、本拠地から離れた場所に設置する小規模なオフィスのことです。
地方に拠点を設けることで、地方における新たなビジネスのスタートや事業拡大が期待できます。
都市部の社員が地方で働くことで、ワークライフバランスも向上すると期待されています。
二地域居住とウェルビーイング
厚生労働省の資料*パーソル総合研究所は、多拠点居住とウェルビーイングの関係を調査しました。
調査の結果、多拠点居住者(毎月1泊以上滞在している就業者)は、計画者(多拠点居住する計画を立てており、サブ拠点の地域も決まっている就業者)や意向者(多拠点居住したい気持ちの強い就業者)よりも、ウェルビーイングが高い傾向が見られました。*4
つまり「多拠点居住」という生活スタイルが、ウェルビーイングを高める傾向にあることがうかがえます。
図3 多拠点居住とウェルビーイングの関係
引用)パーソル総合研究所「就業者の多拠点居住に関する定量調査」P48
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/multi-regional-life.pdf
また、多拠点居住者・計画者・意向者を多拠点居住の目的に基づいて5つのタイプに分類した場合は、能動的に多拠点居住を選択しているタイプの人の方が、ウェルビーイングは日本の平均値よりも高い傾向となりました。*4
図3 多拠点居住とウェルビーイングの関係
引用)パーソル総合研究所「就業者の多拠点居住に関する定量調査」P49
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/multi-regional-life.pdf
この結果から、「能動的に働き方や生活を自己選択すること」が、「人生をより豊かにする」とも考えられます。
二地域居住をしたくなったら
二地域居住をするための準備を進めていきましょう。
国土交通省が出している「個人向け二地域居住ハンドブック*5」を参考にするのがおすすめです。
ここでも二拠点居住を開始するまでの流れを、簡単に説明します。
1.どんな二地域居住がしたいか考える
2.候補地を検討する
3.住まいを探す
1.どんな二地域居住がしたいかを考える
最初に、二地域居住ではどのような暮らしがしたいのか、具体的に考えてみてください。
「自然に囲まれた環境でのびのびと子育てしたい」「地域に貢献できる仕事がしたい」「自分のお店を持ちたい」「農業がやりたい」など、色々な考え方があるでしょう。
また働き方についても、「今の仕事を続けるのか」「今の会社で実施が可能なのか」「新しい仕事を見つけるのか」などを考える必要があります。
2.候補地を検討する
理想の暮らしが決まったら候補地を探していきます。
インターネットやSNSで、二地域居住をしている人を探し、どんなライフスタイルを送っているのかを調べると、想像がしやすくなります。
また、「ふるさと回帰支援センター」などの支援組織が開催する移住者向けの相談会に行ったり、各自治体や地域団体等が開くオンライン移住相談会に参加したりしてみてください。
候補地が絞れたら、短期間でも実際にその地域に足を運んでみるのがおすすめです。
スーパーや病院、学校の位置や、交通手段などを自分の目で確認しておきましょう。
お試し移住を利用して数日間滞在すれば、その土地の良い点も悪い点も知ることができるはずです。
3.住まいを探す
住まいを探す時には、自治体に相談してみるのがおすすめです。
不動産業者で物件を見つけることが一般的ですが、自治体が運営している空き家バンクなどで探せば、比較的安価な物件を手に入れることが可能です。
さらに、二地域居住者を対象にした空き家の購入費や移動交通費に支援金等を支給している市町村もあります。*5
自治体に相談することで、安い物件を見つけたり、支援金について教えてもらったりすることができるでしょう。
また民間事業者の中にも、地方公共団体と連携し、お試し居住施設と運賃をサブスクリプションで提供しているケースもあるようです。
まとめ
二地域居住の広がりによって、「平日は都市部で働き、週末は豊かな自然に触れ合いながら過ごす」といった、理想の暮らしも実現できるようになりました。
二地域居住を始めるためのコストや移動時間の課題は残っていますが、二地域居住を後押しするサービスが続々と立ち上げられています。
自分らしい働き方の選択肢として、二地域居住を実践してみてはいかがでしょうか。
資料一覧
- *1 出所)国土交通省「二地域居住」
https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/kokudoseisaku_chisei_tk_000073.html - *2 出所)国土交通省「地方公共団体向け二地域居住等施策推進ガイドライン」P5、P6
https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/content/001491148.pdf - *3 出所)国土交通省「空き家等の活用を通じた二地域居住の推進」P8
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg6/20210423/pdf/shiryou2-4.pdf - *4 出所)パーソル総合研究所「就業者の多拠点居住に関する定量調査」P21、P48、P49
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/multi-regional-life.pdf - *5 出所)国土交通省「個人向け二地域居住ハンドブック」P21、P25
https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/content/001475113.pdf
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この記事を書いた人
髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供する大手上場企業に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在は人材や教育に関する記事を中心に、フリーライターとして活動中。