女性管理職比率は9.4%…女性活躍に取り組む企業のメリットを事例を通じてご紹介

女性管理職比率は9.4%…女性活躍に取り組む企業のメリットを事例を通じてご紹介

公開日:2023/05/17

女性の社会進出が進み、日本の女性管理職は増加傾向にあります。

しかし諸外国と比較すると、女性管理職の比率は低く、女性の社会的活躍にはまだ課題が多い状況です。

この記事では、女性管理職の現状と女性活躍に取り組む企業のメリット、女性管理職を増やすための取り組みについてご紹介します。

女性管理職の現状

政府は男女共同参画社会の実現に向け、
「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」
という目標を掲げてきました。*1

しかしこの目標は未達に終わり、「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう取組を進める」という目標に変更されています。*2

帝国データバンクが行った「女性登用に対する企業の意識調査(2022年)」によると、現在の管理職に占める女性の割合は平均9.4%となり、過去最高を更新するも依然として低水準が続いています。*3

また、政府が目標として掲げている「女性管理職30%」を超えている企業は9.5%で、過去最高となったものの、依然として1ケタ台にとどまりました。

女性管理職の割合

図1 女性管理職の割合
引用)帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査(2022 年)」P2
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220813.pdf

日本と諸外国の女性管理職の比率

日本の女性管理職の比率は、諸外国と比較するとどのような位置づけなのでしょうか。

2019年3月に発表された国際労働機関(ILO)の報告によると、2018年の世界の管理職に占める女性の割合は27.1%だと発表されました。*4

しかし日本の女性管理職の比率は12%と低く、主要7カ国(G7)の中で最下位の結果となりました。

また、上場企業における女性役員の状況を比較した調査では、2012年から2022年の10年間で、上場企業の女性役員数は5.8倍に増え、着実に成果は上がっています。*5

しかしその割合は、依然として15.5%と低く、諸外国の女性役員割合と比較しても低い水準にとどまっています。

諸外国の女性役員の割合

図2 諸外国の女性役員の割合
引用)男女共同参画局「女性役員情報サイト」
https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/yakuin.html

これらの結果から、世界と比べて女性管理職の活躍に関して、日本が大きく遅れをとっていることが分かります。

女性活躍に取り組む企業のメリット

企業にとって女性活躍はどのようなメリットがあるのかを、内閣府が出している資料を基に説明していきます。

・企業のパフォーマンス向上
・優秀人材の獲得・流出防止
・資本市場からの評価向上

企業のパフォーマンス向上

女性管理職がいる企業は、パフォーマンスが向上するようです。

女性役員比率が高い企業の方が、女性役員がいない企業よりも、ROE(自己資本利益率)とEBITマージン(支払金利前税引前利益と売上高の比率)が高くなったという調査結果があります。*6

女性管理職の割合

図3 役員に女性がいる企業といない企業のROE・EBITの比較
引用)男女共同参画局「令和3年度女性の役員への登用に関する課題と取組事例」P3
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/yakuin_r03.pdf

また、女性取締役がいる企業の方が、株価のパフォーマンスも高く、金融危機後の回復力が強い傾向にあることも分かっています。*7

女性管理職の割合

図4 企業(時価総額100億ドル以上)の株価推移
引用)男女共同参画局「女性活躍で企業は強くなる」P1
https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/pdf/yakuin_5.pdf

優秀人材の獲得・流出防止

1980年~1995年生まれのミレニアル世代は、就職先を選定する際に、企業の「多様性・平等性・受容性についての組織方針」を重要視しており、男性は74%、女性は86%が「重要である」と回答しています。*7

さらに、従業員構成が多様な組織で働いていると感じている従業員は、多様でないと考える従業員よりも、5年以上長期で勤続する予定と回答しました。

女性管理職の割合

図5 5年以上長期で勤続する予定の従業員の割合
引用)男女共同参画局「女性活躍で企業は強くなる」P1
https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/pdf/yakuin_5.pdf

女性が活躍している企業は、優秀人材の獲得・流出防止に良い影響を与えるのです。

資本市場からの評価向上

女性活躍推進に優れた上場企業は、機関投資家も注目しています。

例えば、経済産業省と東京証券取引所では、「女性活躍推進」に優れた上場企業を選定し、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家に魅力ある銘柄として「なでしこ銘柄」を紹介しています。

また、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が女性活躍に着目した「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」に連動したESG(環境・社会・ガバナンス)投資を開始するなど、ESG投資において企業の女性活躍状況を考慮する動きも広がっているようです。*7

女性管理職を増やす取り組み

日経WOMANと日経ウーマノミクス・プロジェクトが「企業の女性活用度調査」を実施、2022年版「女性が活躍する会社BEST100」をまとめました。*8

その中の「管理職登用度部門」で、上位になった企業の取り組みをご紹介します。

1位 資生堂
2位 りそなホールディングス
3位 パソナグループ

資生堂

資生堂グループの80%以上が女性社員で、取締役・監査役の女性比率は46.2%、日本国内の女性管理職比率は37.3%です。*9

2030年までに日本国内のあらゆる階層における女性管理職比率を、機会均等の象徴である50%にすることを目指しています。

また2017年から、女性リーダー育成塾「NEXT LEADERSHIP SESSION for WOMEN」を開催しており、2021年は48名の女性社員が参加しました。

このプログラム開始から5年が経ち、受講した133名の女性社員のうち44%の59人が昇格を遂げているようです。

りそなホールディングス

りそなホールディングスは、職層別にキャリア意識醸成のための研修・セミナーを開催しています。*10

女性社員向けキャリアセミナー

図6 女性社員向けキャリアセミナー
引用)りそなホールディングス「ダイバーシティ&インクルージョン」
https://www.resona-gr.co.jp/holdings/sustainability/sdgs/human_rights/diversity.html

また、女性活躍推進における課題と新たな取り組みとして、2030年度までに女性役員比率30%以上、グループ6社の女性経営職階比率20%以上、グループ6社の女性ライン管理職比率40%以上という目標を設定しました。*10

パソナグループ

パソナグループは、2021年から女性幹部候補育成プログラム「Women's Advanced Program」を実施しています。*11

企業の未来を切り拓く女性幹部候補を育成する合宿型プログラムで、第一線で活躍する経営者や専門家、実践者らが、企業の経営幹部に求められる「新規事業創出」や「インパクトをもたらす経営」、エグゼクティブとしての「プレゼンス力」などについて講義を行っています。

2021年の女性管理職比率は56.3%、女性執行役員比率は34.9%と、高い水準を保っており、『なでしこ銘柄』にも選定されました。

まとめ

女性管理職の現状と、女性活躍に取り組む企業のメリット、女性管理職を増やすための取り組みをご紹介しました。

女性管理職を増やす取り組みを行うことは、女性が活躍しやすくなるだけでなく、優秀人材の獲得や流出防止、資本市場からの評価向上にもつながっていきます。

そして、これからの企業の存続の原動力にもなっていくことでしょう。

女性向けキャリア意識醸成のための研修などを開催し、女性からも社会からも選ばれる企業になってみてはいかがでしょうか。

資料一覧

■お知らせ

私たちNTT Comは新たな価値を創出できるワークスタイルの実現を支援しています。
企業の働き方改善にご活用ください。

ワークスタイルDXソリューション
>> Smart Workstyleはこちら

NTTコミュニケーションズのデジタル社員証サービス

スマートフォンをポケットにいれたまま、ハンズフリーで入室!

Smart Me®︎は、社員証機能をデジタル化することにより、物理的なカードを無くすことを目的にしています。
中でも入退館・入退室機能は、どこにも触れない入退認証を実現し、入館カードを常時携帯する煩わしさを解消します。
管理者は、発行・再発行のたびに掛かっていた物理カードの手配・管理コストが無くなるほか、
ICカードにはできなかった、紛失時に残るカードを悪用されるセキュリティリスクを低減できます。

>> Smart Meはこちら

この記事を書いた人

髙橋 めぐみ

求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供する大手上場企業に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在は人材や教育に関する記事を中心に、フリーライターとして活動中。

人気コラム

おすすめコラム