生活を潤す「推し活」を始めよう 何する?どんな効果がある?

生活を潤す「推し活」を始めよう 何する?どんな効果がある?

公開日:2023/05/31

「推しが尊い」ー。

「推し活」をしている訳ではない人は、なにがそんなに楽しいのだろう?よくお金を使えるものだなあ、自分には無理だ、と思うかもしれません。あるいは、実際に「推し活」に興味があっても、そこまでハマることができるものが今の自分にはない、という方もいらっしゃるでしょう。

しかし、「推し活」は案外簡単に始められるのです。
筆者はプロ野球が好きですが、すっかり友人を「野球好き」にしてしまいました。そして「推し活」の楽しさを知ってもらうことができました。
どんないきさつだったかを通じ、「推し活」の魅力をご紹介したいと思います。

「推し活」の持つ力

推し活とはみなさんご存じの通り、芸能人、声優、ミュージシャン、スポーツ選手、YouTuberなどお気に入りの人を応援する行動のことです。あるいはアニメのキャラなど、実在しないものも対象になります。

消費者庁によれば、「有名人やキャラクターを応援する活動」、つまり推し活にお金を使う人の割合は下図のようになっています。

「推し活」にお金を使う人の割合

「推し活」にお金を使う人の割合
(出所:「令和4年版 消費者白書」消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2022/white_paper_132.html

「とても当てはまる」「当てはまる」を合わせると、若い世代ほど推し活にお金を使っていることがわかります。70歳代以上になっても、推し活にお金を使う人が一定数いることがわかります。

しかし推し活動とは、必ずしもコンサートや観戦に行く、グッズを買うなどのお金を使う行為をさすわけでもありません。SNSでの投稿や写真をシェアする、その人にまつわる話題をチェックする、といったお金を伴わない行動もじゅうぶん「推し活」に当てはまります。

お金を使っても使わなくても「推し」の存在が気になる、元気が出る、癒されるー。推し活にはそのような効果があります。

「推し活」の効能

推し活はなかなか良いものだな、と思うのは、筆者自身も推し活を楽しんでいるからです。ある球団を応援しています。特にこの選手が好きだなあ、という人も何人かいます。

実際、観戦に行けるのは時間的にも金銭的にも年に数回ですが、勝てば嬉しい、負ければ悔しいというよりも、SNS上には熱心なファンが毎日のようにいろいろな選手の写真をアップしてくれているため、それを眺めているだけでも元気が出ます。

球団公式だけでなくSNSを利用している選手もいますから、時々チェックして選手の素顔を楽しむのも良い時間です。日々練習を重ねる選手たちの姿を見て、「推しが頑張っているんだから自分もここは頑張らないと」という気持ちになることもしばしばです。

生活のなかに、自分でなし得ること以外の喜びが増える。それも、お金をかけなくてもできる。とても良いものです。

仲間がいればより楽しいですし、SNSなどでの繋がりは「自分が好きなものと同じものを好きでいてくれる人がこんなにいる!」と勝手に喜んでしまいます。

そしてスポーツ選手には怪我がつきものですが、手術から復活して大活躍をした選手がいれば、自分や友人などの誕生日よりも嬉しく思い感動します。感極まって泣けてしまうこともあります。「感動」は人生の中で重要なエキスかもしれません。

しかし時々、「そんなに熱中できるものがあるなんて羨ましい」と言われることもあります。

「推し」は作れる!

今の自分にはそこまで熱中して応援できる対象がないー。
そんな方もいらっしゃるでしょう。

しかし安心してください。「推し」は「作れる」のです。

筆者の友人にも、そんな人がいました。
気心知れた遠慮のいらない友人ですから、筆者は、自分の推し活が過ぎる(?)ために、選手の写真などを頻繁にLINEで送っていました。「見て見て!いいでしょ?」という具合です。「送りつけていた」というほうが正しいでしょう。

正直、彼女からすれば鬱陶しかったと思います。「きょうはお腹いっぱいだよー」と言われることもしばしばでした。興味のない彼女からすれば、「何がそんなにいいのかわからない」からです。

しかし、そんなことを続けているうちに、野球にほとんど興味のなかった彼女がどういうわけかWBCの試合は早起きして見てしまったというのです。寝坊していた筆者よりも熱心に観戦していたようです。

「さやかちゃんがいっつも野球の写真送ってくるから、なんとなく気になって見ちゃったよー」ということでした。日本が優勝した今年のWBCはかなりの盛り上がりを見せました。ドラマチックなシーンも多く、感動したという人も多いことでしょう。

彼女はこのWBCを見てから、特に大谷翔平選手のことを「推す」ようになったのです。それどころか、テレビでプロ野球の試合が見られる日はチェックするようになったといいます。特にどのチームを応援しているわけではないのですが、「野球のルールを覚えたいから」なのだそうです。
わからない用語があると時々筆者に尋ねてくれます。

日本代表メンバーの「ヌートバーさんと牧くんも好きになった」ということです。

ずいぶんと入れ込むようになったな、という彼女の変貌ぶりに筆者は驚きました。
彼女はそこにお金を使うというわけではありませんが、日々の生活の中で楽しみがひとつ増えたわけです。

そしてある時、野球について名言を発しました。

「野球って、ほかのスポーツと違って、『仲間をホームに帰す』ことで点が入るんだね。そこがいいよね」。

筆者よりもいいことを言うではないか!と思いました。彼女は筆者を経由して、自ら積極的になることで自身の「推し」を作り上げたとも言えます。

「にわか」の何が悪い?

実は、推し活についてはこんな話があります。マーケティングの一分野である「ファンベースマーケティング」の第一人者はこのように綴っています。

「世の中に商品や情報やエンタメが溢れかえっている今、『自分にぴったりの商品』や『まさに今の自分に有益な情報』や『自分のツボにハマるエンタメ』にいったいどうやって出会えばいいのだろう。
(中略)
友人が薦めるなら話は別だ。
なぜなら、友人とは『価値観が近い人』だからである。
価値観が近い友人がツボにはまるコンテンツは自分もツボにはまる可能性が高いし、価値観が近い友人が愛用しているモノは自分も愛用する可能性が高いし、価値観が近い友人が熱中するコトは自分も熱中する可能性が高いからだ。」

<引用:佐藤尚之「ファンベース-支持され、愛され、長く売れ続けるために」p72-73>

何か特定のものを「推す」活動は楽しいものですが、世の中にはたくさんのものが溢れすぎて「自分のツボにはまるもの」を探すのが難しくなっている、というものです。

確かにその通りかもしれません。
そして実際「何かにハマる」というのは、偶然の出会いということもあるかもしれませんが、友人の話を聞いてちょっと覗いてみた、というところから始まることも多いものです。

よく「にわか」という言葉で知識の浅い人を揶揄する人もいます。これも推し活に積極的になれない理由かもしれません。あるいは、「どこがいいの?」と聞かれても答えられない自分は大したことないのかな、と考えてしまうかも知れません。

しかし、それは「余計なお世話」です。
「好き」にいちいち理由を求めていたら、がんじがらめで何もできなくなってしまいます。

外野の余計なマウントは気にせずに、何か気になる存在が現れたらまず調べてみる。ちょっと多めに観察してみる。
なにも気合を入れなくても、それを繰り返している間に自然と「推し」は生まれるものですし、「推し」はいくつあっても構いませんし、都合が悪くなったらやめてしまってもいいのです。

また、推し活をきっかけに他の趣味が生まれる人もいます。カメラがその代表かもしれません。また、韓流アイドルグループを「推す」人の中には、韓国語を勉強しはじめる人もいます。

推し活は客観的なものではなく、布教活動をする必要もなく、純粋に自分の中にあれば良いのです。他人に黙っていたってかまいません。
新たな趣味を作り上げてくれる可能性のある推し活を気軽に始め、日々の生活に少しでも潤いをプラスしていただければ、と思います。

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この記事を書いた人

清水 沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として各種市場・産業など幅広く取材、その後フリー。
取材経験や各種統計の分析を元に多数メディアに寄稿中。

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