Interview Vol.2-2

VOICE FROM TEACHERSline
私の挑戦とミッション その②

授業づくり主体の
ICT活用を

市内の全公立小中学校134校を対象にした熊本市の教育ICTプロジェクトが始動し、先行24校に対する教育ICT環境の導入が完了しています。いよいよはじまった、教育現場でのICT活用。その推進役として、各校ではそれぞれ3人程度の先生を選抜しました。そのひとりが、熊本市立楡木小学校で図画工作に造詣が深い西尾 環先生です。市のプロジェクトがはじまる以前から、タブレットを授業に持ち込み、活用していたとする西尾先生に、教育ICTにかける想いをうかがいました。

熊本市の教育ICTプロジェクトによって、2018年9月から、楡木小学校にも新たな教育ICT環境が導入され、すべての教員にタブレットが支給されました。

これに対する私の第一印象を一言でいえば、「ようやく導入されたか」というものでした。

今回の教育ICTプロジェクトがスタートを切る以前、熊本市の公立小中学校における教育ICTの整備状況は熊本県内でも低い水準にあったといえます。

CONFUSION

不安と戸惑い

第一印象は
「ようやくはじまった」

私自身は個人的にタブレットを使い、担当する図画工作の授業に活用していましたし、2011年の時点でタブレットを子どもに使わせ、作品をつくらせる試みを展開していました。それもあり、市のプロジェクトの話を聞いて「ようやく導入をはじめてくれた」という印象を受けたことをよく覚えています。

一方、教育ICT導入の話を聞いた時点では、どれだけの台数のタブレットが配備されるのかがわかりませんでした。そのため、「学級やクラスによって、教育ICTの活用レベルに差が出てしまうのではないか」という不安も頭をよぎりました。教育現場でのICT活用レベルの差は、そのまま子どもたちの学びの差となります。こうした格差が出ることは、教育上あってはならないことであるため、非常に大きな不安がありました。

POSSIBILITY

見えてきた未来

“教員1人1台に
タブレット”の意義

教員1人1台にタブレットの意義

教育ICTプロジェクトを推進するなかで、学級・学年・クラスによって、ICT活用のレベルに差が出てしまう要因のひとつは、教育ICTに対する先生たちの意欲や活用のスキルにバラつきが出ることです。ただし、どのような学校でも、授業でのICT活用に消極的な先生方がいます。そうした先生方をICT活用の輪のなかに引き入れ、学級・学年・クラスによって、ICT活用レベルに差が出てしまうといった問題を回避する上では、すべての先生に等しく同じ水準の教育ICT環境がいきわたるようにすることが大切です。

その意味で、今回の教育ICTプロジェクトによって、教員1人1台のタブレットが支給された意義は、とても大きいといえます。実際、本校(楡木小学校)の担任の先生たちは、全員がタブレットを自分たちのクラスで使いはじめています。教育ICTレベルの底上げが、すでにはじまっているということです。

教員1人1台にタブレットの意義

私は長く研究主任の立場にあり、現在の楡木小学校でも研究主任の役割を担っています。その関係から、本校における教育ICTの推進役となり、ドコモの「推進チーム研修」にも参加しました。

この研修はとても有意義で、非常にわかりやすいものでしたね。ベンダーが催すこの手の研修は、製品の機能の話に終始してしまうのが通常なのですが、今回の研修はそれとは違ってワークショップ形式でいろいろと学べて、ICT活用の実践例も聞けたのでたいへん満足しています。また、今回の研修では、ICT活用の現場への定着には「雰囲気づくり」と「日常化」が大切との指摘がありましたが、まさにそのとおりで、それは私が実践してきたことでもあります。

たとえば、これまで自校内でワークショップ型のタブレット研修を行ってきましたが、ここで大切にしているのも雰囲気づくりで、先生たちに「タブレットを使うことは楽しい」と感じてもらうことです。ですから、あるときの研修では、先生たちのいいところを互いに紹介するプレゼン動画づくりにチャレンジしてもらいました。もちろんこれは、タブレットを授業で使うための研修ではありませんが、ここで楽しく学んだことはそのまま授業に活かすことができます。

以前は、研修が終わった段階で先生たちの手元からタブレットがなくなるので、タブレットに対する理解が深まっても、そこで立ち止まっていました。それが現在は、すべての先生の手元にタブレットがあるので、タブレット研修を日常化するのも容易になっています。日常的な研修のなかで授業でのタブレットの使い方を自然に身につけてもらうことを大切にしています。

SCENARIO

転換のシナリオ

雰囲気づくりと日常化

雰囲気づくりと日常化

雰囲気づくりと日常化

CHALLENGE

これからの挑戦

子どもたちの未来を
見据えて

子どもたちの未来を見据えて

すべての教育カリキュラムでICTの活用が必須というわけではありません。大切なのは、教育にICTをどう使うかではなく、子どもたちの将来のためにどんな授業をつくりたいかです。

その検討を重ねた結果として、授業でのICT活用が不要なら、それで構わないということです。ただし、その検討を進めるなかでは、ICTを使う使わないを自由に選択できるに越したことはありません。また、子どもたちをどこに導きたいのか、それにはどのような学びが必要なのかを考え抜いた上で、ICTをうまくあてはめることができれば、必ず大きな効果が得られるんです。

子どもたちの未来を見据えて

仮に、教育ICTでどのようなことを実現したいのかと問われたとすれば、私は子どもたちの「思考力」と「表現力」を磨くことと答えるでしょう。

すでに日本の教科書も変化しつつあり、たとえば、国語の教科書では、文章を読解したのちに、生徒が文章に関連する事柄を自分で調べてプレゼンをするような構成になっています。要するに、子どもたちの読解力だけではなく、思考力と表現力も高めようとしているわけです。

また、これからの社会では、「問題解決」の能力や、問題を自ら見出す「問題発見力」が必要になるようにも思えます。そうした能力の開発にも教育ICTは有効に使えるのではないでしょうか。

子どもたちが大人になる、未来の社会がどうなるかは正確にはわかりません。いえることは、私たちがこれまでに経験したことのないような変化が起きるということです。そのなかで生き抜いていかなければならない子どもたちのためには、私のような古い世代の人間よりも明確に未来が見通せる若い世代の先生たちに、教育ICTを含む、これからの教育をリードしていただきたいと願っています。

VISION

明日への想い

若い世代に期待をかける

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